【PJJC2017】ニューヨーク発、岩崎正寛「世界で戦う心を学んでいる」
【写真】NY、MGの日々が岩崎に初心を思い出させてくれたようだ (C)MASAHIRO IWASAKI
マーカス・ウィルソンにまさかの逆転一本負け。パン柔術は岩崎正寛にとって思いもしない唐突な終わり方をしてしまった。しかし、この思わぬという心情こそ、今回の敗北の要因と岩崎は気づいた。
そして、パン柔術後に向かったNY、マルセロ・ガウッシアの俊英たちとのトレーニングで――あの日々を思い出すこととなった。
嶋田裕太と同様、パン柔術後に帰国せずNYで自ら磨く岩崎の想いをお届けしよう。
岩崎正寛
「パン柔術の敗北を呑み込んで自分に何が足りないかよく考えました。ポジションやポイントでは圧倒しておいて一本負けするという不甲斐ない結果は、僕が成長している上で起こった新しい障害だと思っています。ポジションを取れるからこそ起こる余裕が油断に繋がりました。色々な油断が今回はあったと思います。
前回のヨーロピアンではある程度強くなったことを確認できたし、今回も2回戦当たるはずだったマイケル・リエラに勝つつもりでいました。結果的に目の前の敵をしっかり見なかったことも良くなかったと思います。
結局、試合が終わってしっかり怒ってくれたのは石川さんだけでした。この反省点に基づき、悪かった点を改善するために今、NYで練習中なのですが、レベルが高すぎて僕の心のどこかで『俺は強いんじゃいの?』と思っていた自信が粉々に崩壊中です(笑)。
MGは去年も1カ月ほどお世話になっていたのですが、やられながらも心のどこかで意外と俺もやれる――と思っていました。今回はさらにレベルアップして臨んでいるはずなのに、毎日ボロボロにされています。単純に自分の間違った認識が現実にさらされているだけなんですが、精神的に昔の弱かった自分を取り戻しつつあります。
神戸の柔専館で練習していた頃は毎日、伊東元喜さんにボロボロにされながらも必死で食らいついていく練習で、僕は強くなれたことをここに来て思い出しました。いつの間にか、練習の中で作られる挑戦する気持ちが薄くなっていたと気付かさされました。
NYに来てからはジャンニ・グリッポ、マンシャー・ケラ、ディロン・ダニス、ジョナサン・サタバ、マルコス・ティノコらとスパーをしては削られ、悔しい毎日を送っています。MGの練習は基本30分準備運動、テクニック、30分から1時間のスパーリングなのですが、毎日試合さながらのスパーリングをやります。
これを日に2回やるのですが、最初は良い動きができていても途中でバテて、結局は毎日のようにボロボロにされるわけです(笑)。MGの選手たちはアグレッシヴで、1度攻撃に呑まれたらもう修正はできません。なので、1回の練習でどれぐらい集中力を切らさないかがポイントになって来ます。
ダブルガードはほとんどなく、皆真っ向勝負でくるので気持ちがいいです。足関節、テイクダウン、スクランブルと僕に必要なゲームがここには揃っています。ですが、大きい選手も多いので例えば僕はマテウス・ジニスやベルナルド・ファリアとは練習できません。
練習しても意味のない練習になるので彼らと練習したい気持ちがあっても。そうさせない空気があります。
マルセロ・ガウッシアが試合が終わった直後のクラスで、マインドの話をしてくれました。『勝った者は今までの努力が実っただけ。負けた者はなにもない。明日からまた練習だ。負けることを怖がってはいけない。やっていればいつかは勝てる。ただし、やらないと勝てない。それがたまたま昨日勝ったか来年勝つかの違いなだけ』という内容でした。
今の練習で得るものを日本に持ち帰って、いかに継続できるかが今後のポイントだと思います。まずはMGではエゴをなくし、自分が強くなるための姿勢や心構えを作ることが大切です。それこそが慢心や油断をなくすことになるので、次のワールドに向けてしっかりと準備しなければいけない部分です。
NYに来て心技体の世界で戦う心を学んでいます。僕が今後勝つための必須事項だという確信を、ここで得ることができました」