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【WJJC2016 No-Gi】ヒンガーが涙の戴冠=ミッドヘビー級。Sヘビーはパンザが極め技師の面目躍如

5、6日(土、日・現地時間)、カリフォルニア州ダリーシティのカウ・パレスにて、IBJJF(世界ブラジリアン柔術連盟)主催の世界ノーギ柔術選手権が行われた。ADCC世界大会に次ぐノーギ・グラップリングの最高峰の舞台であり、今年も注目すべき強豪が多数出場したこの大会。レビュー第3回は、アダルト男子黒帯のミディアムヘビー級、ヘビー級、スーパーヘビー級の模様をお届けしたい。


【ミディアムヘビー級】
出場者中最大のビッグネーム、ムリーロ・サンタナが体重オーバーで欠場。そのライバルと見られたマテウス・ディニズ(アリアンシ)にチャンス到来かと思われたこの階級。ディニズは準決勝でサンディエゴのアトス本部で修行し、13年に総帥アンドレ・ガルバォンから黒帯を許された34歳、ジョシュ・ヒンガーと対決した。

この試合、終盤までディニズがスタンドからのギロチン等でアドバンテージを獲得しリードする展開となったが、残り1分半で引き込んだところでヒンガーが胸を合わせてハーフで抑え込むという大チャンス到来。ここでヒンガーは、ディニズがブリッジで返そうとした際にニアマウント、さらにバックを奪って逆転!! 4-0で決勝に進出した。

もう一つのブロックから勝ち上がったのは、ホジャー・グレイシー率いるグレイシー・バッハロンドン本部の主席インストラクターのシャーウス・ネグロモンテ。伏兵同士の決勝戦が実現した。

<ミディアムヘビー級決勝/10分1R>
ジョシュ・ヒンガー(米国)
Def. by 11-0
シャーウス・ネグロモンテ(ブラジル)

立ち技の攻防がしばらく続いた後、ヒンガーはテイクダウン狙いから、脇をくぐってネグロモンテの背後に回ると、すかさず背中に飛びつく。そのままグラウンドに引きずり込んだヒンガーは両足フックを完成して4点先制し、さらにマウントを奪って8点の大量リードを奪ってみせた。

大きく遅れを取ったネグロモンテも、空間を作ってガードに戻して反撃を試みるが、重心の低いヒンガーのベースを崩せない。やがてヒンガーはハーフで脇を差し胸を合わせて抑え込んで、膝を抜いてのパスに成功。リードを11-0と広げて完勝した。

悲願の世界制覇を果たしたヒンガーは、涙を浮かべながら「呆然としているよ。現実じゃないみたいだ。この日が来る、来ると思いながら毎日練習してきたんだ。そして本当にやってきた。師匠のガルバォンはいつも『お前はチャンピオンになれるぞ、だから練習を続けなさい』って言ってくれた。僕はそれを信じてやってきたんだ」と語った。

【ヘビー級】
優勝候補の2人、ヴィトー・オリヴェイラ(GFチーム)とルーカス・バルボーザ(アトス)が順当に決勝進出、覇を争った。

<ヘビー級決勝/10分1R>
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
Def. by 0-0 アドバンテージ 1-0
ヴィトー・オリヴェイラ(ブラジル)

テイクダウンからのトップゲームを得意とする両者だけに、どちらが上になるかが注目されたこの試合。開始早々組み合った体勢でバルボーザが押してゆくところに、オリヴェイラは支え釣り込み足の要領で捻ってのテイクダウンを狙う。しかしオリヴェイラは圧に押されたかバランスを崩し、そこにバルボーザに体重を掛けられ尻餅をついてしまう。すぐに立ちあがったものの、これでバルボーザがアドバンテージを先行した。

その後しばらく立ち技の攻防が続くが、両者とも譲らず。展開を変えたいオリヴェイラは引き込んでデラヒーバガード等での揺さぶりを試みるが、バルボーザのベースを崩せないと見るや立ち上がり、試合はテイクダウンの攻防に戻った

残り時間が少なくなってくるにつれ、オリヴェイラは強引なシングルやダブルでのテイクダウンを狙うが、バルボーザはことごとくスプロウルして潰す。やや露骨に距離を取ってディフェンス一辺倒になったバルボーザにマイナスアドバンテージが付く可能性が懸念されたが、レフェリーは動かず。最後にバルボーザはオリヴェイラのダブルを切り返して逆に倒しかける場面もみせ、アドバンテージを守り切った。

バルボーザは去年のミディアムヘビー級制覇に続き、この大会2連覇を飾った。

【スーパーヘビー級】

優勝候補の一人、ティム・スプリッグス(ロイド・アーヴィン)が欠場。スプリッグスと並ぶ有力候補だったルイス・パンザとジャレド・ドップの二人が順当に決勝進出した。

<スーパーヘビー級決勝/10分1R>
ルイス・パンザ(ブラジル)
Def. by 膝固め
ジャレド・ドップ(米国)

開始早々テイクダウンを狙ったドップに対し、極め業師パンザは高々と跳びついてのサブミッション狙い。これがすっぽ抜けて着地しても、あっという間に内回りから50/50の体勢を作って必殺のアキレス腱固めを狙ってゆく。ドップは捕らえられた足を深く入れてパンザの頭を掴んでディフェンス。その後は50/50の体勢で上下が入れ替わるなか、アキレスで絞り上げたパンザがアドバンテージを稼いでいった。

展開を変えたいドップは何度か足を抜いて50/50から脱却することに成功するが、近づくとシッティングしているパンザにすかさず足を絡まれてしまい、なかなかパスに行けないまま時間が過ぎてゆく。

終盤下から揺さぶるパンザは、ドップが嫌がって背中を向けたのに乗じて、自らの左足をドップの左足に絡める膝固めの体勢に。そのままシットアップしてドップに背後から抱きつき、その身体を一気に引き寄せるとドップがタップ! 残り1分のところで、まさに極め業師の面目躍如というべきサブミッションで優勝を飾った。

■リザルト

【ミディアムヘビー級】
優勝 ジョシュ・ヒンガー(米国)
準優勝 シャーウス・ネグロモンテ(ブラジル)
3位 マテウス・ディニズ(米国)
3位 ヴァルディア・リマ(ブラジル)

【ヘビー級】
優勝 ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
準優勝 ヴィトー・オリヴェイラ(ブラジル)
3位 ウィリアム・ブッシュ(米国)
3位 ニック・シュロック(米国)

【スーパーヘビー級】
優勝 ルイス・パンザ(ブラジル)
準優勝 ジャレド・ドップ(米国)
3位 ポール・イバラ(米国)
3位 ムスリム・パトサリゴフ(チェチェン))

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