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【Interview】UFC世界王者の弟・RFA王者セルジオ・ペティス

2013.09.25

Sergio Pettis

【写真】所属するルーファスポーツのシンボルマークの前で。取材の12日前に20歳の誕生日を迎えたばかりのセルジオ・ペティス。まだあどけなさが十分に残っている (C)MMAPLANET

8月31日、ベンソン・ヘンダーソンを破ってUFC世界ライト級王者となったアンソニー・ペティス。彼には20歳になったばかりのMMAファイターの弟がおり、現在8連勝中という結果を残している。

セルジオ・ペティス、全米を代表する人材育成イベント=RFAでフライ級王者に君臨しているUFC王者の弟に初インタビューを試みた(※取材はアンソニー・ペティスが王座につく、前日=8月30日に行われました)。

──RFAでセルジオの試合を初めて見た時、とても10代の選手とは思えなかったです。

「フフ、ありがとう」

──日本のMMA界の状況と比較しても、本当に恐ろしく感じました。まだ、20歳になったばかりのセルジオの強さの背景にどのような米国MMA事情が見え隠れするのか、インタビューさせてください。もちろん、お兄さんがアンソニー・ペティスという大きな影響があるとは思うのですが、MMAに興味を持ったのはいつぐらいからなのですか。

「僕は兄といっしょに伝統的なテコンドーのトレーニングを長い間していて、その頃はMMAファイターになるなんていう思いはなかった。ポイント制の競技を楽しんでいたに過ぎない。

それから徐々に柔術やレスリングと、トレーニングに幅が広がった頃、アンソニーがまずキックボクシングに興味を持つようになったんだ。兄の練習を見て、僕も興味を抱き、14歳になった時にシリアスに練習するようになった。試合にも出るようになったんだ」

──つまりは中学のときにMMAのトレーニングを始めたということですね。

「そうだね。8年生のときから、ハイスクールに入るようになってから本気でMMAファイターになろうって考えるようになったんだ。それ以前もMMAの映像は見たことはあったけど、あまり理解していなかった。それが急に人気が出てアンデウソン・シウバやGSPの試合を必死になって視聴するようになった(笑)。

15歳のときに初めてアマチュアMMAに出て、ハイキックで勝ったんだ。本当に凄く気持ち良くて、高校を卒業したらMMAに専念しようと決心した」

──常にアンソニーの存在があったと思うのですが、人々がアンソニーと比較することなどなかったですか。

「アンソニーはその頃にはもう名前が知れていたから、皆が彼と僕を比べたよ(笑)。周囲の人間は、色んなことを言ったけど、別にストレスを感じることはなかった。僕は兄のやってきたことを誇りに思っているし、アンソニーの弟として彼のような道を歩みたい」

──それはファイトスタイルに置いても、ですか。あの三角蹴りなどファンやプロモーション関係者に求められると重荷とならないでしょうか。

「全く構わないよ(笑)。僕には僕のスタイルがある。ちょっとずつケージで戦うことにも慣れてきたけど、今は基礎を固める時期だから。もっと完成度が上がって、ケージで戦うことが普通になれば、ショータイムJrっぽい動きも出すことができるかもしれないよ(笑)」

──6月21日にAXS TVで中継されているRFAでフライ級王者に輝きました。キャリア8連勝、ここから皆が期待しているのはいつUFCに上がるんだということになると思います。

「もちろん、僕の目標はUFCのような大きなイベントで戦うことだよ。でも、急いではいない。ちゃんと時間を掛けて、その目標を達成したいと思っている。もっとテクニックを磨き、成熟しスマートが戦いができるようになってからUFCに上がっても遅くはない。UFCのことは大好きだし、戦ってみたい。でも、今は自分のやるべきことがあると思っている」

──UFCに上がるためでなく結果を残すために、何が必要だと考えていますか。

「レスリングだね。テイクダウンを奪った選手が勝つという状況がUFCにはあるから。でも、打撃だってもっと成長させないといけない。もともとテコンドーをやっていたから、キックもパンチも大好きなんだ。打撃だって、つねに一つ上のレベルに成長したいと思っている。ただ、UFCで戦うにはそれよりもグラウンドワーク、そしてレスリングを伸ばす必要がある」

──組み技は練習しただけ、成果が見込めるような気がします。ただ、打撃に関しては才能が左右する。その点で兄アンソニーと同じように、セルジオには天から打撃の才能を授かっています。

「ずっと打撃が好きだったからね。なんだろう、打撃を使うっていうことは僕にとっては、ごくごく自然なことで、体を動かせば、打撃になっていたということを考えれば、他の人と比較しても、ストライキングに関してアドバンテージを持っているんだと思う」

〈この項続く〉

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