【UFC Fuel 10】背水の廣田瑞人、「不安は遠いことと減量――」
【写真】以前より早めに体重を落としていた廣田。腰回りなどやはりライト級時代と比較すると、スッキリとしている(C)MMAPLANET
8日(土・現地時間)にブラジルはセアラー州フォルタレーザのジナーシオ・パウロ・サラサテで開催されるUFC on Fuel 10「Nogueira vs Werdum」。同大会でホドリゴ・ダムと対するのが日本の廣田瑞人だ。
3月のUFC JAPANでフェザー級&オクタゴン初陣を迎えた廣田だが、ハニ・ヤヒーラのテイクダウン&ポジショニングの前に判定負けを喫した。その裏には減量失敗という要因が隠されていたが、当然、今回の試合でも減量はついてまわる。加えてブラジルでもフォルタレーザという地方都市での試合について背水の廣田が何を想うかインタビューを試みた。
――どうしても気になってしまうのが、廣田選手の減量が上手くいっているかということなのですが……。
「(苦笑)。そうっスね、この前よりはこの時点で落しています。前の試合ではもう死ぬ思いだったので。ハハハハ」
――試合後に『なぜ、力が出なかったのか分からない』という風に話されていましたが、計量前日に病院の世話になったという随分と経ってから伺いました。
「あんまり言いたくないですけど(笑)。そうッスね」
――そこを是非とも、どのような状況だったのか教えていてだけないでしょうか。
「ハイ……。計量前日に脱水症状で具合が悪くなってしまって、吐いてしまって。で、『ヤベェなぁ』って思って、とりあえずにマネージャーに連絡して、タクシーで病院に連れて行ってもらったんです」
――脱水症状になると、病院では点滴を打って体内に水分がいきわたるように処置されるのではないですか。
「点滴は1リットルぐらいかな、打ちましたね。だから、もう一度、体重を落とさないといけなくなって。あの時点で死んでいましたね。でも、ハニ・ヤヒーラに負けた理由の全てが、減量による体調不良だとは思っていないです。甘く見ていたところ、舐めていましたね」
――舐めていたのは減量ですか、それともハニ・ヤヒーラを?
「減量ですね。みんな、水抜きの幅が大きいから自分も大丈夫だろうと思っていたら……」
――そうやって話を伺うと、試合2週間前の現時点でライト級の頃と随分と体つきも違いますね。
「落していますね。練習前で73キロほどで、練習後は72キロぐらいですかね」
――日本人ファイターに厳しい状況が続いているUFCですが、日本大会でメインカードだったのが、次はブラジルのプレリミ、オファーが来たときはどう思いましたか。
「『断ってください』と言いました(笑)。でも、自分はそんなこと言える立場じゃないんで。致し方ないって思って、戦うしかないですからね。ヤヒーラに負けて、マネージメントの方が『リリースをしないで欲しい』という連絡をかなりしていたようで。最初は、どうなるか分からないっていう素っ気ない返答だったらしくて。そうしたら、次の週にブラジルで――という連絡がありました」
――リリースをしないで欲しいという連絡を逆手に取られ、絶対にNOとはいわないと思われていたのでは(笑)?
「そういうこともあるかもしれないですよね……。でも、本当にシビアですね」
――そのブラジルで戦う相手が、ブラジル人のホドリゴ・ダム。戦極時代に同じ大会にも出場しています。
「戦極のときは、前評判が高かったけど光岡(映二)選手、真騎士(マキシモ・ブランコ)にも負けているし、そう考えると……そうですね、強いとは思いますが負けていられないです」
――TUFブラジルがないと、UFCには出ていなかったというのはあるでしょうね。
「そうですよね。ちょっと、気持ちの部分で打たれ弱い。そういうところを見せていますので。ただ、弱点といえばそこぐらいで、オールラウンダーだし、打撃も結構付き合ってくれそうですね。リーチが長くて、強気に出てくるところは出てくるんですよね。
俺が簡単に倒れると思っているだろうから、組みついてくるかと。あとは、結構ローを蹴ってくるので、ローにパンチを合せたいですね、バチン、バチンって感じで。
UFCで1勝1敗で、ダムに勝っているアントニオ・カルバーリョはリリースされていますからね。もう、負けたらクビは確定でしょうね。開催地もブラジルですし……。ここで勝って、また近くで試合をさせてもらえればって思っています」
――ブラジル大会は通常の大会よりも、寝技でのブレイクが早いと思います。
「じゃあ、俺には有利じゃないですか(笑)。まぁ、そんな風に期待していちゃダメなんですけどね(笑)」
――ダムはテイクダウンから、トップコントロールも巧妙な選手です。
「気を付けないといけないです。ただ、あんまり自分の方からテイクダウンに入るタイプじゃないですよね。打撃を貰ってダメージがあると、組みついていくような感じで。自分の方は体調次第ですけど……。まぁ、ブラジル人が日本に来て戦っていたことを考えると、自分も向こうに行ってしっかりと戦わないといけないんですよね。だからこそ、勝てば大きな試合だと思います」
――ブラジルへ行くということは、ロングフライト&時差が待ち受けています。
「一番、乗換の待ち時間とか少ない便を調べてもらってチケットを抑えてもらえたので、30時間チョットで行けることになりました」
――……。それでも30時間以上ですか――。
「まぁ、長いッスね(笑)。いやぁ、行きたくないっスよ(笑)」
――試合前に体重を落とすというある意味、自分との戦いがあるときにロングフライトというのは、やはり厳しいです。
「だから、少しいつもより落してから飛行機に乗ろうと思っています。ただ、さっきも言いましたが、ブラジル人はそうやって日本で戦ってきたので。遠すぎることと体重は不安といえば不安です。ホドリゴ・ダムよりも、心配かもしれないです」
――今回の試合のために、どのような練習をしているのでしょうか。
「CAVEに(中村)K太郎君とか安藤(晃司)君が来てくれて、あとはパラエストラ八王子で金原(正徳)君や、徳留(一樹)君と練習しています。朝は走って体重を落として。安藤君のテイクダウンなんて、凄いパワーですよ」
――安藤選手のテイクダウンを止めることができれば、ダムのテイクダウンも大丈夫ではないですか。
「まぁ、倒されることもあるし、防ぐこともある。自分に力さえ入っていれば大丈夫だろうなって」
――つまり力が入るかどうか、行きつくところは……。
「という話になっちゃうんでよね(笑)」
■UFC on FUEL 10対戦カード
<ヘビー級/5分5R>
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)
ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)
<TUFブラジル02ウェルター級決勝/5分3R>
ヴィリアム・パトリーノ(ブラジル)
レオ・サントス(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
チアゴ・シウバ(ブラジル)
ハファエル・フェイジャォン・カバウカンチ(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
ダニエル・サラフィアン(ブラジル)
エディ・メンデス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
エリック・シウバ(ブラジル)
ジェイソン・ハイ(米国)
<フェザー級/5分3R>
ホニー・ジェイソン(ブラジル)
マイク・ウィルキンソン(英国)
<バンタム級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル)
ヴァウアン・リー(英国)
<ミドル級/5分3R>
ホニー・マルクス(ブラジル)
デレック・ブルンソン(米国)
<フェザー級/5分3R>
ゴドフレイド・ペペイ(ブラジル)
フィリッピ・アランテス(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
イルデマウ・アルカンタラ(ブラジル)
レアンドロ・シウバ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ホドリゴ・ダム(ブラジル)
廣田瑞人(日本)
<ミドル級/5分3R>
カイオ・マガリャエス(ブラジル)
カーロス・ヴェモラ(チェコ)
<ミドル級/5分3R>
アントニオ・ブラガ・ネト(ブラジル)
アンソニー・スミス(米国)