【PXC37】激勝タクミ、詳細とインタビュー「桜庭さん的に――」
【写真】ケージに上って勝利の雄叫びを上げるタクミ (C)MMAPLANET
<フェザー級/5分3R>
タクミ(日本)
Def.1R by キムラアームロック
ジョー・ペシーナ(米国)
18日(土・現地時間)にフィリピン、マニラのイナレス・スポーツセンターで行われたPXC37の第2試合に出場し、ジョー・ペシーナと対戦したタクミ。
試合はペシーナがワンツーでフックを振るいながら前進し、組みつくとタクミをケージに押し込む。右ワキを差し返したタクミが態勢を入れ替えてボディにヒザを入れるが、頭を低くしてペシーナがダブルレッグダイブを仕掛けタクミを一気に右肩口に乗せて、そのままスラムしサイドを奪う。
一度キムラを取りにいったタクミが背中を預けて立ち上がると、ペシーナが豪快なバックスープレックスで投げる。すぐに立ち上がったタクミはバックを取られたままケージ際に移動し、スタンドからキムラへ。背中をつけてスイープを狙うが、ペシーナが踏ん張る。タクミはキムラを解いて、ここでもバックを取られたまま立ち上がり、胸を合わそうとするがが、ペシーナがバックコントロールから再び、豪快に真後ろにタクミを投げ捨てる。
タクミは再びキムラを取りながら立ち上がると、今度も自ら引き込み、アームロックからトップを奪う。頭を跨いでペシーナの左腕を極めに掛かるタクミだったが、乗りすぎて腕のクラッチを支点としたペシーナが上体を起こす。
立ち上られてクラッチが外れないようタクミは、両足でペシーナの頭を挟みこみ、もう一度リバーサルしトップへ。そのまま一気にペシーナの左腕を絞り上げる。ペシーナがタップをしないと、タクミはレフェリーに視線を送り、ここでビッグ・ジョン・マッカーシーが試合を止めた。
会場にどうだとばかり両手を広げてアピールし、大声でカメラに向かって叫び声を上げたタクミは、念願だったビッグ・ジョンに左手を高々と差し上げられ、勝利者コールを聞いた。
そして場内では、タクミとストリーグル戦が見たいか――というリングアナのアピールに大声援と、一部ストリーグル・ファンからブーイングが起った。参戦決定から2週間、対戦相手が2度も変更された初のフィリピン遠征で勝利したタクミの話を試合後に聞いた。
「ありがとうございます」
――バックスープレックスを2度に渡り受けたときには、ヒヤリとしました。
「ダメですねぇ。相手の力を使わせたかったというのはありますけど、あの形になること自体が問題ですし、ポイントも向こうに有利になりますからね。今回の試合は、一本しか狙っていなかったので、組んで来たときにフガフガ言って、凄く力をいれていたので、そのまま攻めさせて疲れさせようという感じではあったのですが。
最初に組まれた時に、極められるなぁというのはあったんです。投げられて、よほど当たり所が悪くてもKOとかケガがない限り、グラウンドになっても向こうに極められることはないし、立ち上がれるという気持ちだったんで、落ち着いてはいました」
――その立ち上がるという部分、試合前にも言われていたのですが、最初のダブルレッグから担ぎ上げられてスラム気味にテイクダウンを許したあと、サイドを許したままだったのでペシーナはトップコントロールに長けている選手なのかと不安になってきました。
「あれは落された時に相手の肩が、鳩尾に食い込んで苦しかったんです。大丈夫だとは思っていたのですが、あのまま抑えてくるんじゃなくて、ラッシュを掛けられた方が嫌でしたね」
――正直な話、スクランブル出場で減量の大変さなどあったのですが、純粋に実力という部分ではペシーナはこれまで戦ってきた相手と比較するとどうでしたか。
「いや、全然落ちましたね。急なオファーで僕の方も減量――、体重を落とすことに精いっぱいで調整不足でしたし」
――そのなかでガードからキムラの態勢になり、そこに拘った展開のなかで2度のリバーサルから一本を取りました。
「あの態勢に入ったときにコントロールできるやろうなって感覚があって、伝わったかどうか分からないですが、桜庭さん的なちょっと派手な形で一本を取ろうかって(笑)。普段はあのまま向き直ってスタンドに戻るという繋ぎなんですけど、『これで極まるな』って感じたんで狙いに行きました」
【写真】当大会にビッグ・ジョン・マッカーシーがレフェリーを務めることを知り、「僕の試合でレフェリーして欲しい」と切望していたタクミ。念願叶い、ビッグ・ジョンに高々と左手を掲げてもらった(C)MMAPLANET
――返されてしまった状況は?
「力を使い過ぎないようにクラッチをしておけば――という感じでした。ただ、ペシーナは我慢強かったです。最後も形的には入っていたのにタップをしないんで、『折らなしゃあないやん』って思って力を入れると、バキバキバキって音がしたんです。そうしたら、少し遅れてレフェリーがストップしてくれました」
――かなりの角度でしたよね。
「嫌なんですよね、タップしない相手は。『タップしてくれよ』って思いながら、もうしょうがないなって……。どんな事情でも勝つことしか許されない試合だったので、ホッとはしました。判定までいかせるつもりはなかったんで、自分の力を出せると信じて戦おうと思い、一本取れたんで良かったです。これまでアームロックで勝ったことなかったんです」