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【ADCC2015】ノーギ組み技世界一決定戦<01>66キロ以下級、準々決勝。百花繚乱、それぞれのJiu Jitsu

8月29日(土・現地時間)と30日(日・同)の両日、ブラジル・サンパウロのジナーシオ・マウロ・ピンヘイロにてアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の、世界サブミッション選手権が行われた。2年に1度、世界最高峰の組業師たちを集めて行われるこの大会。今年もグラップラーの祭典と呼ぶに相応しい強豪たちが集まった。実質上ギ無しグラップリングの世界最強決定戦と呼ばれるこの大会の模様を、まずは最軽量の66キロ以下級・準々決勝の3試合から紹介したい。

<66キロ以下級準々決勝/10分1R>
フーベン・シャーレス
Def. by 3-0
ジャンニ・グリッポ

アリアンシの同門対決が実現。世界柔術では、新鋭のグリッポがレジェンドのコブリーニャことシャーレスに勝利を譲ったが、ADCCはそういうことをした選手は二度と招待しない、という厳しい方針を打ち出しているために実現した一戦。

引き込みによるマイナスポイントが付かない前半、グリッポは引き込むと下から回転、50/50の体勢を作ってみせるなど、得意のモダン柔術戦法で攻撃を仕掛けてゆく。下から揺さぶりをかけるグリッポだが、対するコブリーニャもまた、メンデス兄弟やフラザトとの長年に渡る激闘から対モダン戦法の第一人者というべき存在だ。グリッポのインバーテッド・ガード(逆向きオープンガード)をスネで潰してからの両足担ぎへ移行し、後転を余儀なくされたグリッポの背後に付くなど、上から抜群の安定感をもって対処してゆく。それでも結局最初の10分間は両者得点を許さず、試合は延長に持ち込まれた。

引き込むとマイナスとなってしまうなか、グリッポはアームドラッグ等のスタンドで攻撃を仕掛けるが、コブリーニャは動じずにタックルへ。グリッポはこれをキムラロックからのスクランブルで切り返そうとするが、コブリーニャは抜群のボディバランスで上をキープ。結局グリッポにマイナスポイントが付いた。後のないグリッポに対し、コブリーニャは膝を両足の間に入れると、胸を合わせて上半身をがっちり固めることに成功。そのまま足を抜いて3点を奪取。決定的な差を付けた後は、さらに試合終了まで背後からバックを狙い続けて勝利を得た。

ADCCならではの同門対決は、コブリーニャがモダン柔術への対処能力とテイクダウン力を見せつけて完勝。今年の世界柔術では同門勢に勝ちを譲ってもらってなお、ハファ・メンデスに差をつけられて敗れたコブリーニャだが、その凄まじい強さは健在だ。

<66キロ以下級準々決勝/10分1R>
アウグスト・メンデス
Def. by 0-0 マイナスアドバンテージ1
エディ・カミングス

北米グラップリング界における最新動向=サブミッション・オンリー大会で活躍する注目の足関節師エディ・カミングスは、1回戦をヒールによる秒殺で突破。元柔術世界王者、タンキーニョことアウグスト・メンデスとの注目の一戦に挑んだ。

試合開始後、いつものように引き込むと同時に足を搦めて回転し、ひたすらヒールフックを狙ってゆくカミングス。タンキーニョも冷静に対処して脱出するが、カミングスは表情を変えずに何度でもヒールを仕掛けにゆく。まるで、相手が対処しきれなくなるまでひたすらベリンボロを仕掛け続けた、かつてのミヤオ兄弟の足関節版の如き攻撃を見せるカミングスだが、タンキーニョも対処を続けて10分が経過、スタンドで仕切り直しての延長戦となった。

ここでもカミングスは、マイナスポイントを承知で迷わず座って足関節狙いに。しかしやがて疲労とともに動きに鋭さが失われ、タンキーニョが上から低くプレッシャーをかける場面が増えはじめる。やがてタンキーニョは横に動いて見事にカミングスの両足をクリアしてパスに成功し3点を先取してみせた。その後カミングスはガードに戻すことに成功したものの、強固なタンキーニョのベースを崩せずに試合終了。世界王者のタンキーニョが、最高峰の壁の厚さを見せつけた形となったが、前半はレジェンドに防御に徹することを余儀なくさせ、最後まで渡り合ったカミングスの今後の進化も、ますます楽しみなものとなったこの一戦だった。

<66キロ以下級準々決勝/10分1R>
ジオ・マルチネス
Def. by 5-0
ジェフ・グローバー

かつて南カリフォルニアのグラップリング・シーンを席巻したジェフ・グローバーは、1回戦から両手をマットに付け、相手に尻を向けたまま近づいてゆき、その体勢で片足を上げて飛び跳ねるなど奇抜な動きを披露。さらにそのまま3点倒立をしたところで苛立った相手の前蹴りを受けて潰され、サンパウロの観衆からブーイングを浴びても、懲りずに相手に頭を向けて仰向けに。ここで抑えに来るとすかさずスペースを作って足を搦め、内ヒールを極めて勝利。自身のスタイルを貫いてみせた。

対するエディ・ブラボーの弟子マルチネスのほうも、ジョアオ・ミヤオの代打として出場したアレッシャンドレ・ヴィエイラ相手に延長でアームドラッグからバックを奪取。キムラグリップで相手の腕を固定すると前三角で相手の上半身を固めて、そのまま腕を伸ばして勝利。最新動向サブミッション・オンリー勢の成長を見せつけ、かつてEBI1で勝利しているグローバーとの再戦に臨むこととなった。

ここでもグローバーは試合開始と同時に相手に尻を向けたまま四つ足で前進。するとマルチネスも同じ体勢を取ったため、両者の尻と尻がハイタッチするという異様な幕開けとなった。その後も変幻自在の攻防を続けた両者。クロスヒールホールドなどを仕掛けたグローバーは、やがて下からのダースチョークで締め上げるが、マルチネスは逃げるとハーフ上から前転、師匠エディ・ブラボーばりのツイスター・ロールを二回転して膝固めの体勢に入ってみせた。さらにツイスターを狙ってグローバーの腕を引こうとするが、逆にマルチネスの首を引きつけたグローバーは、下半身のロックを解除すると一瞬で三角絞めの体勢に。前代未聞のツイスターへの三角でのカウンター、これは掛け値無しに神業と呼ぶに値するムーブだった。

しかし、絞め技への耐性を誇るマルチネスは、体重を前に賭けて三角を耐えると、グローバーの体を少し持ち上げてスラムに。「サブミッションから脱出するときのみスラムOK」というADCCルールならではの対処だ。それでも三角が解けないとみるや、マルチネスはさらに高く持ち上げてスラム!! それでもグローバーが三角を解かないと、マルチネスは三度、そして高々とリフトしてからスラム!!!! 今度はグローバーは両手だけ離して受け身を取ることで対処。さらに三角を作り直すかと思われたが、ここでグローバーは体から力が抜けたように三角が外れてしまう。

スラムの衝撃で動けなくなったグローバーに、怒涛の攻撃をするでもなく様子を伺うマルチネス。やがて少し回復したグローバーが動き始めると、マルチネスは攻撃を再開してパスガードに。まだダメージの残るグローバーはあっさりパスを許し、その後も目立った攻撃をできないままマルチネスが勝利、EBI1に続いて対グローバー2連勝、そしてADCC初出場にしてベスト4進出は、師匠エディ・ブラボーに並ぶ快挙となった。

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