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【European Open】アジア最強・芝本らが、打倒テハを目指す

Koji Shibamoto【写真】ポイント獲得でなく、テハとの力試しが楽しみな芝本 (C)MMAPLANET

21日(水・現地時間)から25日(日・同)にかけて、ポルトガルの首都リスボンはパピリャオン・ド・コンプレッソ・デスポルチーボ・ムニシパル・ド・サカウ・ヴィストソで。IBJJF主催のヨーロピアンオープン柔術選手権が開催される。強豪ひしめく軽量級=ルースター級、フェザー級、日本人参加選手にタフな戦いが待ち受けるこれらの階級を中心に見所を紹介したい。

【ルースター級】

最軽量のこの階級の大本命は、前回優勝にして世界最強の軽量級戦士の1人、カイオ・テハ(ブラザCTA)。去年はヨーロピアン後のパンナム、世界柔術を欠場したため圧倒的な存在感を出すことはできなかっただけに、世界再獲得に向け、まずはこの大会を連覇して幸先の良いスタートを飾りたいところだろう。そのテハの1回戦の相手は日本の戸所誠哲(パレストラ岐阜)。2012年の欧州オープンで準優勝者は、柔道家としても実績を持つ戸所がその瞬発力を活かした攻めでテハを追い込む場面を期待したい。

テハの対抗馬に挙げられるのは、2012年本大会王者にして、去年テハと決勝を争いアドバンテージ差で惜しくも敗れた芝本幸司(トライフォース)だ。その後の世界柔術ではジョアオ・ミヤオのレッグドラッグと抑えに完敗を喫した芝本だが、それにより「自分のイメージする軽量級柔術家の到達できる上限値」を大幅に引き上げられ、俄然やる気が出たという。その後招待を受けて出場したIBJJFプロリーグではパウロ・ミヤオの軍門に下ったが、11月のアジア・オープンでは、やはり今大会に出場する吉岡崇人(徳島柔術)、戸所誠哲の2人に絞めで完勝して3連覇を果たしている。

今大会の組み合わせでは、芝本は1回戦で吉岡崇人との再戦が決まっている。芝本同様、昨年はヨーロピアンとアジアで3位入賞を果たしている吉岡も、ポルトガルまで遠征して、アジアで戦っている同朋との戦いだけで、帰国となるのは避けたいと思っているに違いない。頂点に到達する前に、過酷な日本人同士の争いが行われることとなった。

【フェザー級】

【写真】ハーフガードからのスイープは、もう認知され始めている。ハーフ&シングルレッグの融合など見てみたい岩崎だ(C)MMAPLANET

【写真】ハーフガードからのスイープは、もう認知され始めている。ハーフ&シングルレッグの融合など見てみたい岩崎だ(C)MMAPLANET

昨年ハファエル・メンデスがあえて上を選択し、パウロ・ミヤオのガードを完全パスして抑え込むという名場面が見られた同階級。

今年は世界最高峰の超強豪の出場こそ見られないものの、昨年世界柔術の茶帯の部で優勝して黒帯を獲得したマーシオ・アンドレ(ノヴァ・ウニオン)、ジャンニ・グリッポ(アリアンシ)、カイオ・テハの弟キム・テハ(ブラザCTA)等若手の強豪黒帯が多く出場している。

日本からも岩崎正寛(カルペディウム)が出場しており、初戦を勝ち抜くとアンドレとぶつかることとなる。磨き抜いたハーフガードからスイープに加え、レスリングを取り入れ幅を広げてきた岩崎が、将来の世界王者候補を相手にシノギを削ることになる同階級模様注目だ。

【その他の階級】

世界柔術へ向け、ポイントシステムの導入が本格的に始まったため昨年の世界王者や、アジアで結果を残したブラジル勢が参加を控えているという影響もあるのか、今年のヨーロピアン大会は、見所満載の軽量3階級に比べると、中・重量級での強豪のエントリーがやや少なめとなっている。ライト級は前回優勝のマイケル・ランギ(アリアンシ)、ミドル級は昨年クラウジオ・カラザンスとの同門対決を敢行し、僅差で敗れたJT・トレス(アトス)、ミディアムヘビー級はアトス創始のアンドレ・ガルバォン、スーパーヘビー級は恐るべき破壊力の足関節技を誇るルイス・パンザ(チェッキマット)が大本命。

これら世界超一流の強豪が順当に勝ち上がることができるか、あるいは彼らを打ち破って名を挙げる新鋭が現れるのか。後者のような柔術家が出現した階級は、3月のパン選手権の行方にも大いに影響を与えることとなるだろう。日本人勢としては、やはりアジアで結果を残した芝本のように、世界へ向け強豪と戦うことで試運転ができるという状況がベストといえるか。各大陸のメジャー大会が試し切りの場でなく、確実に結果を残す場となったため、勢力の分散と終盤の集中という流れが出来上がるかもしれない柔術界だ。

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