【K-1】ジャオ・フーカイ<02>「中国国内で満足するのではなく、世界各国で強さを証明したい」
【写真】中国キック界の現状、日本との関係を語ってくれたジャオ・フーカイ。中国で日本人選手、日本で中国人選手の活躍の場が広がることを願いたい(C)MMAPLANET
3日(月)、東京都渋谷区の国立代々木競技場第二体育館で行われた「K-1 WORLD GP 2014 ~-65キロ初代王座決定トーナメント~」に初来日を果たしたジャオ・フーカイのインタビュー後編。
大会翌日、散打をベースとして戦うフーカイに、躍進中国キックボクシング界の現状、そして彼が認める強豪選手について尋ねた。
Special Thanks to Mr. Hiroyuki Iwakuma
<ジャオ・フーカイ インタビューPart.01はコチラから>
――散打の投げ=ムエタイの首相撲という考えは興味深いです。フーカイ選手の言葉にもあったように、今、中国の立ち技格闘技イベントはとても盛り上がっています。中国国内でどのようなイベントが行われているのか教えていただけますか。
「中国の国際大会として紹介できるのは、私も出場しているクンルンファイト、武林風、英雄伝説の3つですね。それ以外には数えきれないほど多くの格闘技イベントが頻繁に開催されているので…ちょっと私でも把握しきれていません(苦笑)。ただし、多くの中国人ファイターがクンルンファイト、武林風、英雄伝説のいずれかを目標にしている状況だとは言えると思います」
――クンルンファイトにサワーやンギンビ、武林風にブアカーオとアルバート・クラウス、英雄伝説にマイク・ザンビディスと、かつてK-1MAXで活躍したビッグネームが中国のイベントに続々と参戦しています。これは中国の選手にとってもいい影響を与えていますか。
「間違いなくいい影響を与えてくれていると思います。中国ではたくさん試合をして経験を積むことで強くなるという考えがあるのですが、先ほど名前が挙がったような世界的に有名で強い選手と戦うことはとても大きな経験になります。その1試合だけで10試合分くらいの経験を積めるような。私自身、ンギンビ選手と戦って、それを感じました。中国人ファイターが中国にいながらにして、こういった選手と戦えることは本当に恵まれていると思います」
――フーカイ選手は2012年からキックを始めて、すでに50戦も戦っていますが、どのくらいのペースで試合をしているのでしょうか。
「1カ月で2~3試合のペースですね」
――日本人選手でそこまでハイペースに試合をする選手はほとんどいません。
「あぁ…でも、私は日本人選手がなぜ試合をしないのか不思議です。もちろん身体の状態やコンディションもあると思うのですが、リングで輝かしいスポットライトを浴びて、たくさんのお客さんに試合を見てもらえる。こんなに幸せなことはありません。だから私は可能な限り、たくさんスポットライトを浴びたいし、試合がなくて毎日厳しい練習を続ける方が辛い。同じ苦しい想いをするのであれば、練習ではなく試合で苦しい想いをした方がいいです(笑)」
――なるほど(笑)。今、中国では散打からキックに転向する選手も多いのでしょうか。
「中国には各省ごとに省としてのチームがあり、その下に各ジム、そしてチームが枝葉のように分かれています。そこでは散打からキックの練習に切り換えるジムが増え、必然的にキックの競技人口は増加しており、かなり多いと思います」
――すでにフーカイ選手は中国の70キロではトップ選手で、日本ではフーカイ選手以外には長島☆自演乙☆雄一郎選手や山本優弥選手をKO、ザンビディスに勝ったシュー・イェン選手が知られています。イェン選手以外にはどんな選手がいるのですか。
「私が思うに3人います。1人は私と同じチームのヤン・ジョー、武林風でクラウスと戦ったドン・ウェイフェイ、そしてチェン・イーレイ。この3人は国際大会でも活躍できる力を持っていると思います」
――すでにそれだけ強い選手がいて、競技人口も増えている。そして世界的な選手を招聘するビッグイベントがあるとなると…日本人が勝てなくなる時代が来るかもしれないですね。
「そんなことはありません。事実、私は松倉選手に負けていますし、松倉選手の強さを身を持って感じましたから」
――それでもフーカイ選手が今後の躍進が期待される選手であることは変わりません。
「(少し照れて)ありがとうございます」
――そんなフーカイ選手はこれからどんな試合をして、どんなファイターになりたいと思っていますか。
「先ほどお話したように私はK-1が好きで、ブアカーオ選手に憧れていたので、K-1で試合が出来たことが本当に嬉しかったです。ブアカーオ選手や魔裟斗さんのように、1人のファイターとしてリング上で自分の肉体と精神をコントロールし、一人の人間としてスポットライトを浴びた時に輝きを放てる選手になりたいです。
いくら中国で国際大会が増え、競技人口が増えたと言っても、まだ私たちは『中国で強い』というレベルで、世界的に説得力があるとは思いません。だからこそ中国国内で満足するのではなく、世界各国で戦って中国人ファイターの強さを証明しなければなりません。私が目指しているのは世界的に実力を認めてもらえるファイターなので、中国以外の世界各国で試合をし、またK-1でも戦いたいと思います」