【on this day in】11月23日──1996年
【写真】モーリス・スミスの蹴りをかわすのは、アンソニー・ペティスを育て上げることになるデューク・ルーファスだ(C)MMAPLANET
La Nuit Des Champions03
@フランス・マルセイユ、パレ・ドゥ・スポール
「2分12Rというラウンド制、認定団体がどこか分からないキックボクシングの世界ヘビー級王座を賭けて、マルセイユで戦ったのはモーリス・スミスとジェフ・デューク・ルーファスという2人の米国人だった。モーリスはこの1カ月ほど前に寝技全盛のMMA創世記にあってマーカス・コナン・シウヴェイラをハイキックで倒しエクストリーム・ファイティングの世界王者になったばかり。キック界の救世主と呼ばれた彼はこの夜、ローやハイからパンチというコンビネーションを駆使し、ルーファスを4度もマットに這わせてTKO勝ちを手にした。倒されずに打撃を入れる──という元祖・現代MMAファイターというべきモーリスが、現代MMAの名伯楽を倒した同大会。両者の対戦以外にも首相撲・ヒザ蹴り・ローキックが反則のフルコンキックの帝王アベユ・クワンディリが華麗な回転系の蹴り技で判定勝、同ルールのライト級世界王座に就いていた。キックといえばムエタイかK-1かと二元論で語られがちだけど、かつてフランスのキックは、サバットも含め多様化していた。あれから18年、卜部功也が出場したキック大会の開催場所はマルセイユ、大会名もモーリスがルーファスを下したLa Nuit Des Championsと同じ。ホント、これって十分に歴史という単語を用いて振り返っても良いと思う」
on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。