【Pancrase261】清水俊一から失神KO勝ち、獅庵 「関西に獅庵っていう選手がいることをアピールできた」
【写真】パンクラス4戦目、MMA6戦目で元UFCファイターを撃破。今後が楽しみな獅庵(C)MMAPLANET
5日(日)東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase261。北岡悟の1年ぶりの登場、才賀紀左衛門のMMAデビュー戦、そしてナム・ファン×馬場勇気戦と見どころが多かった同大会から、MMAPLANETがフィーチャーするのはパラエストラ大阪所属の獅庵だ。
パンクラス4戦目、キャリア全体でも6試合しか経験のない獅庵が、元UFCファイター清水俊一を失神TKOに追い込んだ。派手な東京初戦を飾った獅庵とは、一体どのようなファイターなのか。
<スーパーフライ級(56.7キロ)/3分3R>
獅庵(日本)
Def.2R2分59秒by KO
清水俊一(日本)
パンクラス大阪大会で3連勝中の獅庵が、清水俊一と対戦。UFC、Grandslamと連敗中の清水が獅庵の伸びるストレートをスウェイでかわしつつ、蹴りを交えながら組んでロープ際へ。バックに回った清水がそのまま寝技に持ち込んでバックマウントからRNCを狙う。ケージ際で上体を起こしチョークを防ぐ獅庵に対し、清水はパンチを後方から入れることはない。結局、清水は獅庵に胸を合わされスタンドに逃げられて1R終了を迎えた。
2Rに入ると、清水の右ストレートに獅庵が右ヒザを合わせる。以降、組んで接近戦ではなく中間距離で打撃戦を戦うようになった清水だったが、獅庵のパンチをスウェイでかわし切れず、その圧力に下がる場面が増えてくる。テイクダウン狙いも切られ、下になった清水に獅庵がパウンドを落とし、試合がスタンドに戻ると、引き続き打撃戦へ。
清水の右ミドルに負けず、獅庵は右ストレートを伸ばし、さらにプレッシャーを強める。そしてラウンド終了間際、左フックで清水をケージに詰めた獅庵が右ストレートを伸ばす。この一発で前方に崩れ落ちた清水に、パウンドの追撃をかけた獅庵が見事はTKO勝ちを手にした。
キャリア7戦目で、通算戦績50試合に及ぼうかという清水を完全に下した獅庵に話を訊いた。
──東京で初めての試合、そして対戦相手は元UFCファイターでZSTの鉄人の異名をとる清水俊一選手。そして、結果は見事なTKO勝ちを収めました。
「噛ませ犬として、自分が選ばれたという認識でした。でも、自分の力を信じて思い切りぶつかっていけば結果は出ると信じていました」
──1R、バックマウントを取られたシーンがありました。
「テイクダウンされなかったのと、バックに関してはタクミ先生とずっと練習させてもらっているので、怖さはなかったです。寝かされても、そこを耐えれば打撃でいけると思っていました」
──タクミ選手と練習することで、寝技で攻められて焦ることはなかった?
「全く焦らず、戦うことができました。これまで5分×2Rと、3分×3Rを経験してきました。5分2Rだと寝かされてずっと戦わないといけなくなった時は、なかなか取り返すことが難しくなるのですが、3分3Rだと仕切り直しの機会が多くなるので、寝かされても向き直って立ち上がれば、また打撃で勝負できます。だから、倒せる自信がありました。現時点では3分は戦いやすいですね」
──なるほど、そういう考え方もできるのですね。そして、1Rは落としても2Rになれば仕切り直し、割り切ろうという気持ちで戦えると。
「1Rで寝技がしのげたので、グランドでの技量も判断できました。途中でヒザも当てていて、効いているのも分かりました。もう、あんまり組み付いて来られないだろうなっていうのが頭のなかにあったので、ガンガン行こうと思って戦いました」
──空手出身ということですが、パンチの伸びはボクシングのようにも見えました。
「空手は高校時代に3年間、徳島でやっていました。部活動で練習するだけでなく、色々な道場にも通って稽古をさせてもらっていたんです。一応、部活では主将もやらせてもらっていました」
──部活動ということは、全空連という認識ぐらいしか持ち得ていないのですが、流派としては?
「糸東流です。踏み込みやフェイントの掛け方、蹴り方は伝統派を使っています。ただ、その頃からガードを高くした構えで練習していたんです。で、伝統派って当てないイメージですけど、僕は結構当てちゃっていて……」
──反則じゃないですか(笑)。
「止めているつもりなんですけど、カウンターで打ち込んでいたので自分で思っている以上に入ってしまって……(苦笑)」
──まさにMMAに生きていますね。そのパンチで勝利した今夜の試合、大きなステップとなりそうですね。
「結局、僕は自分の強さって分からなかったんです。大阪で戦っているときも伝統派空手出身だろうが、大きくパンチをぶん回して何とか勝てていただけで。でも、今日の試合で良い意味で自分のスタイルが少し確立できつつあるかなって。関西に獅庵っていう選手がいることをアピールができたと思うので、スーパーフライ級で面白い試合をして、しっかり勝ってチャンピオンになるつもりです」
──スーパーフライ級という言葉が出るということは、狙いはパンクラス王座ということですか。
「パンクラスの王座に拘っているというか、56.7キロで戦っていって……。ただ、パンクラスのスーパーフライ級のベルトは獲ります」
──フライ級で伝統派空手出身とくれば、誰もがピンとくる選手がいると思います。
「堀口選手、今日も会場に来ていたので伝統派チックな戦いで勝ってやろうって思っていたんですけど、結局、彼のように上手く戦えないですね(笑)。でも、僕には僕のスタイルがあるので。この戦い方で勝っていきたいです」
──組技に関しては、自信のほどは?
「組技もある程度できると自分では思っているんですけど、アマチュア修斗時代に結構、極められて負けているのでトラウマになっています。だから、今のところ寝技は余り付き合わないようにしています。でも寝技の練習もしていますし、一本が取れてKOできる選手になりたいです」
──寝技を本当に避けていたら、あれだけ思い切りの良い打撃は出せないだろうし、ある程度寝技にも自信があるんだと思って試合を見ていました。
「テイクダウン狙いは切れる自信があります。今日の試合は相手が格上だし、自分は失うものがない。だから、思い切ってやれたというのもあります」
──さきほどパンクラスのスーパーフライ級王座を目指すと言われていましたが、出場経験もあるDEEPとパンクラスは交流が始まり、師匠のタクミ選手はVTJで戦っています。選択枝は複数あります。
「僕は対戦相手を選べる立場ではないですが、VTJとかも出たいです。派手な試合をして、KO勝ちする自信もあるので」
──PXCという噂もありますが?
「ハイ。海外の大会にも出たいです。海外でしっかり勝てる選手になりたいので」
──では最後に獅庵選手のことを、まだまだ知らないファンの皆さんにアピールをお願いします。
「何の大会でも勝つか負けるかは分からないですけど、面白い試合をする自信はあるので。KOで勝てるし、一本負けするかもしれない──ですけど、派手に勝って目立ちますんで、これから注目してください。応援よろしくお願いします」