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【UFC177】水垣が認めたタフガイ=ヨルゲンセンが、金メダリスト=セフードの前に立ち塞がる

Jorgensen【写真】水垣偉弥が認めたヨルゲンセンの当たりの強さ。五輪金メダリストに壁となって立ちはだかるのか、乗り越えられてしまうのか……(C)GONGKAKUTOGI

30日(土・現地時間)にカリフォルニア州サクラメントのスリープトレイン・アリーナで開催されるUFC177「Dillashaw vs Barao 2」。同大会では史上3人目のオリンピック・ゴールドメダリストがオクタゴン・デビューをプレリミで果たす。

ヘンリー・セフード、北京五輪フリースタイル・レスリング55キロ級を制している金メダリストが、MMAキャリア6勝0敗でオクタゴン・デビューを迎える。UFCに五輪金メダリストが出場するのは1996年5月にゲーリー・グッドリッジに勝利したマーク・シュルツ(1984年LA五輪フリースタイル・レスリング82キロ級優勝、通算MMA戦績1勝0敗)、1997年7月にトッド・バトラー戦でUFCデビューしたケビン・ジャクソン(1992年バルセロナ五輪82キロ級優勝、MMA通算戦績4勝2敗――UFCは2勝2敗)に続き3人目、実に17年振りとなる。

レスラー全盛のMMAにあって、セフードはカレッジに進まずコロラドスプリングスの五輪トレーニングセンターでフリースタイル・レスリングに特化し鍛錬を積んできた。MMA界では非常に珍しい純粋フリースタイル米国人レスラーということになる。ロンドン五輪出場を逃し、2013年3月にMMAデビューを計ると、2戦目でメインを張り、3戦目でWFFというローカルイベントながら、バンタム級王座を獲得している。

UFCへの登竜門、LegacyFCでの戦績も2勝0敗。フライ級転向を目指し、まずは128キャッチウェイトで勝利、2戦目のエリサス・ガルシア戦でフライ級に臨むも計量失敗、結局128ポンドで戦い判定勝ちを収めている。鳴物入りのMMAデビューであったことは変わりない、それでもローカル・プロモーションで6試合の経験を積み、UFC初陣もプレリミ出場、しかも対戦相手はスコット・ヨルゲンセンという経験豊かなファイターだ。

メインで金魚相手でなく、また負けて当然――健闘を称えられるビッグネームとの対戦でもない。試合順も流行りのプレリミ・メインでもない点もミソ、UFCがUFCたる所以といいたくなるマッチアップだ。そして、この金メダリストのUFC初陣は厳しい戦いになることが予想される。前述したようにカレッジに進まず、フォークレスリングを突き詰めていないセフードのMMAスタイルは、フィジカル系ボクシングとテイクダウン、そしてパウンドが主体。決して、グラウンドでのライディング、ボディコントロールに長けているわけではない。

そして、当然のようにMMAにはスタンドの打撃がある。この打撃を交えたテイクダウンに関して、水垣偉弥は「スコット・ヨルゲンセンほど、テイクダウンの当たりの強かったファイターはいない」と明言している。あの水垣が、MMAでのテイクダウン能力の高さを認めているヨルゲンセン、失意のフライ級転向――ザック・マコウスキーとジョズエ・フォルミーガに連敗を喫したが、先のダニー・マルチネス戦で4試合ぶりの勝利を手にしている。いくらセフードが金メダリストとはいえ、ここで敗れるとタイトル戦線から完全に遠のくばかりか、リリースの可能性も出てくるだけに、ヨルゲンセンとしては絶対に負けられない試合となる。

そんな背景もあり、五輪ゴールドメダリストのオクタゴン初陣はかなり厳しい要因が揃っているのだが、このような悪条件を振り払うだけの身体能力&運動神経=MMAでのポテンシャルがセフードに備わっているのか、要注目の一戦だ。

■UFC177対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] TJ・ディラショー(米国)
[挑戦者] ヘナン・バラォン(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
ダニー・カスティーリョ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ベチ・コヘイア(ブラジル)
シャイナ・ベイズラー(米国)

<ライト級/5分3R>
ラムジー・ニジェム(米国)
カルロス・ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ヤンシー・メデイロス(米国)
デイモン・ジョンソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ロレンツ・ラーキン(米国)
デレック・ブルンソン(米国)

<フライ級/5分3R>
スコット・ヨルゲンセン(米国)
ヘンリー・セフード(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ルアン・ポッツ(南アフリカ)
アンソニー・ハミルトン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョー・ソト(米国)
アンソニー・バーチャック(米国)

<ライト級/5分3R>
クリス・ウェード(米国)
ケイン・カリゾサ(米国)

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