【Interview】RFCミドル級王者・大山峻護 「戦える幸せ」
5日(日・現地時間)、韓国でROAD FCミドル級王座に輝いた大山峻護。MMAデビュー以来11年、13勝13敗と戦績を五分にした新チャンピオンに大会直後話を訊いた。
【写真】真新しいベルトの上部は、韓国の鬼を表しているそうだ (C) MMAPLANET
──トーナメント優勝、そしてRFCミドル級王者奪取、おめでとうございます。
「ありがとうございます」
──この勝利で戦績を五分にし、デビュー直後の力の差のある対戦相手との戦いから、その後、身の丈にあった対戦でコツコツと勝利を重ね、結果が出てきましたね。
「長かったですね。10年かかって、ようやくタイにすることができました(笑)。いやぁ……、ホントに勝負事の難しさを経験し、ここからスタートというところに来られたと思います。
今までは、何が何だか分からずやってきたところがあったので……。これからですね、本当に」
──MMAが分かってきた。MMAを戦うという決意の下、挑んだトーナメント戦2試合でした。
「準決勝は昔の癖が出てしまって、ただの殴り合いで終ってしまいそうになっていました。それがセコンドの加藤(清尚)さんのアドバイスで、『丁寧に。雑になるな』という声が聞こえて、こんな殴り合いをしていたら昔と何も変わらないので、MMAで戦おうとアジャストできたんです
準決勝で手こずって良かったです。簡単に勝っていたら、決勝で悪い方が出ていたかもしれないので」
──ヒールフックで勝った準決勝ですが、引き込んだ瞬間はヒヤリとしました。
「やっぱりずっとやってきたこと、足関節に頼った試合をしてきたので、あそこでも出ました。これからは、練習でしっかりMMAをやりこんでいくので、練習で使った技を出せるようにしたいです。
練習ではしっかりと上を取るということを意識していたのですが、練習でできていたことが体に染み込んでいなかったのか、試合ではできなかった。だから、もっともっと練習をしていかないといけないですね」
──それはパンチを受けて、リズムを崩したこともあるとは思うのですが。
「これまでやったことのないハチャメチャな打撃だったので、冷静さを欠いてしまいました。気持ちが強かったですしね。殴り合ったらいけないと思っていたんですけどね、やっぱり何事も勉強ですね」
──決勝は、思った試合ができたのではないですか。
「加藤さんが『ジャブを出していこう』と言ってくれて、ジャブを出すことで普段の自分の動きができたと思います。とにかくジャブを練習してきたので、ジャブができれば自分のリズムで戦えると……。
最後の左ストレートは、アマチュア修斗以来の手応えです(笑)。でも、10年以上前とはいえ、アマ修斗でトーナメント戦を経験していたことも大きかったです。あの時も精神的にきつかったので、あの時のことを思い出しました」
──最後は自らパウンドを止めていました。
「レフェリーはなかなか試合をストップしてくれなかったんですが、完全に戦意喪失していたので、あれから先は殴れなかったですね……。そこが僕の甘さかもしれないですが」
──それも人間・大山選手として、魅力的なところだと思います。
「ありがとうございます。ただ、韓国のMMAは選手とともに、ああいう部分でレフェリーもレベルが上がっていってくれればと思います」
──次期挑戦者も名乗りを上げてきましたが、次の試合の予定は?
「契約的には1試合ごとなので、選択権は僕たちサイドにあるのですが、RFCにはチャンスももらいましたし、盛り上がって欲しいので、また戦いたいと思います。同時に他のアジアの国で、MMAが盛り上がっている雰囲気のなかで戦っていきたいですね。
もちろん、パンクラスさんにも恩を感じていますし、オファーを頂けたところに恩返しをしていきたいです」
──ケージで戦い続けたいという気持ちは?
「それはあります。韓国の選手はパワーがあって、荒いからこそ、しっかりとMMAを練習しないといけないと改めて思いましたし。
吉田善行が米国から持ち帰って来てくれた練習、ケージを想定した、壁際の練習をやっていますので、ケージは続けて出ていきたいですね。
左の拳が少し腫れたぐらいなんで、ケガもないですし……。ホント、試合ができる幸せさって言ったらないです。あの出られなかった期間を思い出すと……。日本国内は政治的な問題で――。海外でも負け越している選手になかなかチャンスなんて回ってこなかったですし」
──沖縄のKOTCに自費で出向いて、試合をしたという話を聞いたことがあります。
「アッ、ハイ。セコンドの分と自費で沖縄まで行きました。マーシャルコンバットもそうです。でも、それでも良いと思ったんです。試合をさせてもらえるなら。
だから、韓国であんなステージがあって、お客さんも3000人以上も集まっているところで戦えて、本当に幸せだと思いました。本当にありがたいことです」
──加えて勝利を掴めました。これからの大山選手の活躍に期待しています。
「ありがとうございます。精いっぱい頑張ります!!」