【M3 CUP08】MIKE氏に訊く、”初心者メイン”のアマ大会「スポーツとして楽しんでもらうことが一番」
【写真】写真からも新鮮で、かつ懐かしさも感じられる雰囲気のアマチュア大会だ(C)M3 CUP
11月3日(火・祝)、奈良県奈良市のロート奈良第二武道場でアマチュア格闘技大会『M3 CUP08』が開催される。
Text by Shojiro Kameike
グラップリング、柔術、キックボクシング、そしてMMAの4カテゴリーが行われるアマチュア大会M3 CUPが産声を挙げたのは2023年3月。元Gladiaterフェザー級王者で、奈良県内で格闘技ジム『M3A FIT』を展開するMIKE氏が、自身のジムで第1回大会を開催した。大会参加資格は、どの競技でも
・格闘技歴2年未満の方
・上記各カテゴリー公式戦にて、1勝未満の方は格闘技歴2年以上でもエントリー可能
とある。まさに「初心者メインの大会」として、回を重ねるごとに参加者も増え、現在はキッズ&ジュニアの部も同時開催されている。そんなM3 CUPについて主催者のMIKE氏に話を訊いた。
「何もベースがない状態で始めた僕たちにとっては出やすい大会です」と言われました
――初めてM3 CUPのお話を訊いた時は、ジム内で開催しているイメージが強かったです。それがいつの間にか大きな会場で開催されるイベントとなっており、驚きました。
「初めてM3 CUPを開催したのが2023年3月ですよね。当時、M3A FITの2店舗目(※王寺店)を前年の11月にオープンして、『新店舗のお披露目ができたらいいなぁ』と考えていたんです。それで翌年の3月に、王寺店のスペースを使って開催しました。もともとはウチの会員さんのために始めた大会で――ちょっと狡い考えかもしれないけど、試合に出る会員さんと出ない会員さんでは、ジムの退会率が違うんです」
――狡いどころか、重要なことではないですか。試合という目標があるからこそ、ジムでトレーニングに励む会員さんが多いのも当然で。
「やっぱりそうですよね。ただ、たとえばMMAでいうとアマチュア修斗とかは、ゼロベースで格闘技を始めた人がいきなり出るには、ハードルが高いじゃないですか。だったら格闘技歴が2年未満、あるいはアマチュアの公式戦で一度も勝ったことのない人だけの大会をやりたい。それと1日にグラップリング、柔術、キック、MMAと全部出られますよ、という大会をやりたいと思ったことが、M3 CUPが始まったキッカケでした。
先ほど言ったように、その大会をジムのスペースを使って開催することになりましたけど、別にそこまで積極的に参加者を集めていたわけではなかったです。それほどエントリーがなくても、ウチの会員さんが試合できる場があれば良いと思ったので。だから最初はポスターもサイトも作っていなかったし、他のジムにはSNSのDMで『こういう大会をやります』と送っていたぐらいでしたね。1回目のエントリー人数は96名か97名ぐらいだったと思います」
――ジム内とDMだけで、それだけ参加者が集まるのも驚きです。
「2回目の時に150名ぐらいエントリーがあり『こういうアマチュア大会のニーズがあるんじゃないか』と思いました。そこで次は近畿圏のジムを車で回り、大会ポスターを手渡しして、サイトもつくって……。11月3日の大会は300名近くのエントリーがあります」
――近畿圏以外からもエントリーがあるのでしょうか。
「最初は近畿圏だけで、2回目は名古屋から。4回目になると広島とか四国――どこで大会の存在を知ったのか分からないですけど、千葉からもエントリーはありましたね。
M3 CUPの趣旨は草野球とかフットサルみたいに、気軽に出ることができる格闘技大会なんです。先日、荒東(”怪獣キラー”英貴)さんの応援でRIZIN長崎大会(※10月3日、RIZIN LANDMARK16長崎大会)に行ったんですよ。すると大会後の祝勝会に参加していた人から『M3 CUPに出たことがあります』『次のM3 CUPに出ます』という人たちがいたんですよね。その人たちに聞いたら『M3 CUPは出やすい』と言っていました。『何もベースがない状態で始めた僕たちにとっては出やすい大会です』と」
M3 CUPから公式戦に出るような選手を増やしていくほうが、ある意味でWIN WINなんじゃないかと思います
――なるほど。
「第1回の頃は『大会を広めていこう』という気持ちはなかったけど、今となっては――エントリーリストや対戦カードを組んでいると、複数回出てくれている選手とかは特に名前を覚えるじゃないですか。そういう選手がアマ修斗の地区選手権やMMA西日本アマチュア、グラチャン・チャレンジとかに出ていると嬉しくなるんですよね。M3 CUPをステップアップのために使ってくれて、公式戦に出るようになったことが。
それは妻も言っています。もともと妻も当日の名前コールを担当していたから、キッズから大人まで出場者の名前を覚えるんです。同じように他の公式戦で、M3 CUPに出てくれた選手の名前を見つけると嬉しくて。それもやり甲斐になっています。今では自分より妻のほうが……それこそ次の大会は、妻が対戦カードを組んでいますよ」
――アハハハ、素敵なことです。
「大人の部は午前が柔術とグラップリング、午後にキックとMMAを行います。複数のカテゴリーに出ることが可能で、その組み合わせも自由です。午前のグラップリングに出て、午後はMMAに出る人もいるし、午前は柔術で午後はキックという人もいる。3カテゴリーに出る人もいれば、4カテゴリー全部に出る人もいますよ。どれだけ試合に出ても参加費は一律だから、っていうお得感もあるかもしれないですけど(笑)。
草野球とかフットサルって、そこらじゅうで毎週やっているじゃないですか。同じように気軽に出られる大会って、特にMMAの場合は少ないですよね」
――「誰でも出られる」「格闘技の敷居を低くする」という大会は、これまで幾つも立ち上がりましたが、やはり続けることが難しいのではないでしょうか。幅広い競技で参加者がいて、長く続いているといえば「名古屋ファイトフェス」とか。
「あぁ、ファイトフェスはウチのジムから何度も出場させてもらっています。最初に行った時は屋外で開催しているのを見ると『おぉ、こういう感じなのか……』と思うんですよね。
でもとにかく参加者の人数が凄いし、盛り上がっている。今思うとM3 CUPを開催するうえで、ファイトフェスは凄く参考になった大会です。
先ほど仰ったとおり、なかなかアマチュア大会を継続することは難しいと思いますね。アマチュア修斗とかは修斗協会があり、組織化されて毎年同じぐらいの時期に、同じ会場で開催されているじゃないですか。そのためのノウハウがあって」
――継続と普及のためには、安全性や競技性を外して考えることは難しいです。やはりレフェリー、ジャッジ、ドクターなどが揃わないと格闘技大会を開催することはできない。格闘技の大会で、出場者が初心者だからといって、レフェリーやジャッジが初心者でいいわけがないですし。
「出場者にも『初心者の大会だから、本当に止めるのは速い』『キックでもポンポンポンと貰ったあと、展開しなかったらダウンを取る』『MMAやグラップリングにしても見込み一本はガンガン取ります』と説明していて。とにかく安全面は重視しています。
ただ第1回大会の時に思ったのは、普段からレフェリーをやっている人でないと、ストップのタイミングとかが遅いと感じることはありました。やっぱり専門の方にお願いしたほうがいいなと思い、審判団はずっとジャッジスクワッドさんにお願いしているんです」
――もう一つ、アマチュア大会を開催するうえで求められるのは「この大会で勝ったら次はどうなるか。プロに行けるのか」ということだったように思います。M3 CUPとして、プロに繋がる道というのは求めなかったのでしょうか。
「求めなかったです。まず格闘技の裾野を広げることが目的だったので。M3 CUPに出たあと『公式戦に出たい』『プロになりたい』という人がいれば、その目的の大会に出てほしい。プロを目指すための大会は多いじゃないですか。僕がそういう大会を開催する必要はなくて。むしろM3 CUPから公式戦に出るような選手を増やしていくほうが、ある意味でWIN WINなんじゃないかと思います。
格闘技を始める時、必ずしも皆がプロを目指しているわけじゃないんですよ。『ちょっと試合に出てみたい』という人が、気軽に出られる大会にしたい。やっぱり、やる人を増やさないと。そのためには、格闘技をスポーツとして楽しんでもらうことが一番なので。大会も殺伐した雰囲気ではなく、セコンドが笑顔を浮かべているような感じです。そういう役割をM3 CUPが担っていけたら良いな、と考えています」





















