【Lemino Shooto09】サバイバーT決勝で野瀬翔平と激突、齋藤奨司「2人の気持ちを背負って必ず優勝する」
19日(月)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるLemino Shooto09で、バンタム級サバイバーTリバイバル2026決勝戦が行われる。今年2月に開幕したトーナメントの優勝を懸け、齋藤奨司が野瀬翔平と対戦することとなった。
Text by Shojiro Kameike
2024年7月に修斗世界王座を獲得し、Road to UFC出場を目指すも実現はならず。さらに翌年9月には永井奏多に敗れてベルトを失う……その1年間は齋藤にとって、どれほど苦しい時間だったのだろうか。
しかし今年に入ってLemino修斗のバンタム級サバイバー・トーナメントに参戦し、初戦でモンゴルのシンバートル・バットエルデネを、準決勝では新鋭・中島陸をいずれも激闘の末に判定で下した。遂に迎えた決勝直前、齋藤がここまでのキャリアと成長を振り返るとともに、トーナメントを通じて得た想いを語ってくれた。
自分との対話が多くなったと思います
――19日に試合を控えた現在の心境はいかがですか(※取材は10月8日に行われた)。
「そうですね……今回はトーナメントではあるけど、トーナメントに参加しているという感覚はあまりなくて。強い相手を強い相手を一人ひとり倒してきて決勝戦まで来た、という感じですよね」
――ここまで2試合とも激闘となりました。疲労やダメージは溜まっていないでしょうか。
「ダメージは特にないですね。むしろトーナメントなのでコンスタントに試合させてもらい、コンディションも良い状態で調整できています。おかげで全試合、全力でやってきました」
――アマチュアのワンデイ・トーナメントと、プロのトーナメント……ワンマッチ・トーナメントとでも言いますか。その違いは大きいですし、いかに自分のコンディションを保って、毎回最大のパフォーマンスを出すのも難しいかと思います。年齢やキャリアを重ねて、齋藤選手はどのように考えてきましたか。
「確かにそういう面は考えますよね。僕は、自分との対話が多くなったと思います」
――自分との対話、ですか。
「トーナメントに参戦すると、勝てば次の試合がある。でも勝つたびに次の相手、また次の相手と目標が変わっていく。そんななかで勝っていくためには疲労を考えながら、練習内容も変えていないといけないですよね」
――自分自身との対話のなかで行われているのは、「もっと行ける」「セーブしないといけない」どちらの気持ちのほうが割合は大きいですか。
「正直『もっと行ける』というのは、対話しなくても行っちゃうんですよ(笑)」
――アハハハ。
「やっぱり自分はやりたくて練習しているし、強くなりたくて練習しているわけで。だから『これをやりたい』『もっとやりたい』と勝手に――でも、そんな状態が続くと疲弊してパフォーマンスも落ちてしまうし、かといってブレーキを掛けることができるのも自分しかいない。その塩梅を調整し続ける難しさはありますよね」
「初めて判定決着の試合で面白いと思った」と言われたんですよ
――シンバートル戦も中島戦も激闘であったからこそ、疲労やダメージがないというのは、流石かと思います。
「いやいや、そんなことないですよ(苦笑)」
――中島戦は髙谷裕之さんが主催するPOUND OUTと、Lemino修斗のコラボ興行のメインとして行われました。そこで齋藤選手が勝利したことについて、髙谷さんは何か仰っていましたか。
「髙谷さんが直接何か褒めたりするようなことは、ほぼないですからね(笑)。でも当日はコメインの山内渉も勝ったし、自分も興行を締めることができて……ケージで髙谷さんの笑顔を見ることができたから、それは嬉しかったです」
――なるほど。中島戦は初回、バックを取られるなど苦しい場面がありました。あの展開は想定していたでしょうか。
「想定外でした。あまり、ああいう形でバックを取られることはないんですけど、とにかく中島君は手足が長い。彼はこれまで、勝ちは全て1Rでフィニッシュしているじゃないですか。だから僕は警戒しつつ、1Rは自分が取りに行かないといけないって考えていました。そこでバックを取られるという、彼の一番得意なパターンにハマってしまったので、少し焦りましたね。
でも彼は、今まであの状態になったら極めていたじゃないですか。僕はラウンド終了間際に上を取って、結構変わったと思います。僕が上を取っていなければ、中島君は2Rも同じパターンで攻めることがはずなんですよね。それが今までにないパターンになった。僕も上を取っていけるという感覚を得たし、『2Rは絶対に取る』という意識にも繋がりました」
――その2Rを押さえたことが勝因の一つだったようにも思います。結果的に、齋藤選手が試合前のインタビューで言っていたことに近い試合となったかもしれません。
「えっ、というと?」
――齋藤選手は「多分、中島君は試合で苦労をしたことがないと思うんですよ。一方的な試合が多いですし」と見ていました。つまり中島選手にとっては経験のない「1Rに盛り返されること」と「2Rを取られること」ことを実現させたのも、キャリアの差だったのではないでしょうか。
「なるほど。ただ、それがキャリアがどうとかは分からないです。僕としては『1Rを取られたので2Rは絶対に取らないといけない』と気合いで行きました(笑)」
――アハハハ、その気合いこそ大事ではないですか。試合後には「判定だったんですけど、面白かったですかね? 僕の中では精一杯やりました」という言葉がありました。
「はい。試合中も盛り上がっていることは感じていましたけど……グラウンドの展開も多かったし、どうだったのかなと思って」
――個人的な感想を言えば、面白かったです。MMAで判定かKOか、スタンドかグラウンドかで面白さが決まるとは思っていません。少なくともスポーツにおいて、2人のファイターが勝利に向かって全力を尽くすこと以上の価値観は、存在しないと考えています。
「……、……嬉しいです。そういえば『初めて判定決着の試合で面白いと思った』と言われたんですよ。知らない人から」
――知らない人(笑)。しかし、それは最大の評価ですね。
「はい、嬉しかったです」
「負けた相手の気持ちも背負って次の試合で戦うんだ」って感じました
――決勝の相手である野瀬選手とフェイスオフを行った時「これだけお互い修斗バンタム級戦線で戦っているのに絡みはなかったんだな」と、改めて意外に感じました。だからこそ、このカードが興味深いともいえるのですが。
「今まで絡みはなかったですね。同じFIGHT FARMの齋藤翼さんが対戦したことがあるくらいで、それもだいぶ前のことですし(※2021年7月、野瀬が判定勝ち)。でも野瀬君は修斗バンタム級の強いファイターとして、いつか戦うだろうとは思っていました」
――強いファイターとして知っていた野瀬選手と、遂に戦うことになった野瀬選手とで、持っている印象が変わったりすることはありますか。
「やっぱり極めの強いグラップラー、ということに変わりはないですね。もちろん極めの強さに関しては、怖い部分もあります。ただ僕も散々、極めが強いグラップラーとは戦ってきていますから。やることは変わらず、いつもどおり戦おうと思っています」
――特にここ2試合の極めっぷりを見ていて、野瀬選手に対して一番警戒しているところは? どうすれば、あの極めっぷりを防ぐことができるのか。
「試合を見てもらえれば分かりますよ。僕は答えを持っている。その答えを僕が試合で出せるかどうかです」
――齋藤選手が持っている答えとは、対戦が決まってから見つけたものでしょうか。
「そうですね。僕というファイターに対して、野瀬君はどう攻めて来るかを考えて」
――そうした場合、自分との対話に繋がるかもしれませんが……自分の強みはもちろん、弱みも分かっていないと難しいですよね。
「確かに、はい」
――人間って、自分の弱い部分を認めたくないところもあると思います。特に若い時などは。
「僕の中には常に『自分はここが強い』『ここは弱い』というものはあります。人間は誰でも、絶対に弱い部分があるんですよ。ただ、その弱い部分を埋めていくのが練習であって。試合がない時期でも常に弱い部分は埋めていっていますし、強い部分は伸ばしていく方向で練習していますね」
――トップファイターになるためには試合がない時期も含め、日頃から常に戦うためのことを考えていく必要があります。齋藤選手の場合、それはキャリアを重ねて変化してきたことでしょうか。
「最初から考えていたほうだとは思いますけど、キャリアを積んでいくにつれて洗練されている気はします。もともと僕はMMAのデビューが遅いから、ただ練習で量をこなしていくだけだと強くなるペースも遅いです。自分はボクシングをやっていた時代に、量が必要な練習はやってきました。さらに強くなるためには、量をやりながら質も整えるというのが一番だと思うし、プロデビューした時からその方向性ではありましたね。でもそのやり方も自分に合っているもの、合っていないものはキャリアに積むにつれて学んできたものではありますよ。それこそ自分との対話によって」
――凄くためになる話です。ありがとうございます。……試合の話に戻します。次の野瀬戦は、どのような試合になると思いますか。
「ノンストップの試合になりますよ。1R目から目が離せない試合になると思っています。僕自身も動きが多い試合になるし、激闘になるでしょうね」
――ちなみに、準決勝で下した中島選手に決勝の予想を訊いたところ、予想というよりも「斎藤選手に勝ってほしいです」と答えました。
「おぉ、嬉しいですね」
――その理由が「野瀬選手が齋藤選手に勝つと、僕の上に齋藤選手がいて、その上に野瀬選手がいることになるじゃないですか」というのはファイターらしい言葉だったと思います。
「……中島君と試合をしたあとに『必ずトーナメントで優勝する』と約束したんですよ。初戦でシンバートルに勝った時も、試合後にシンバートルがトイレでメチャクチャ泣いていて」
――……。
「自分はずっとワンマッチの気持ちで戦っています。それでもトーナメントでは『負けた相手の気持ちも背負って次の試合で戦うんだ』って感じました。中島君も試合で裁定が下された時、崩れ落ちていたじゃないですか。シンバートルも中島君も、2人とも命を懸けて戦っていたわけですよね。その2人の気持ちを背負って、僕は必ず勝って優勝します」
■視聴方法(予定)
10月19日(月)
午後6時~ Lemino
■Lemino Shooto09 対戦カード
<バンタム級サバイバーTリバイバル2026決勝/5分3R>
齋藤奨司(日本)
野瀬翔平(日本)
<フライ級/5分3R>
山内渉(日本)
シモン・スズキ(日本)
<バンタム級/5分3R>
中島陸(日本)
須藤拓真(日本)
<バンタム級/5分3R>
カイル・マヨッキ(豪州)
吉野光(日本)
<フライ級/5分3R>
岡田嵐士(日本)
打威致(日本)
<バンタム級/5分3R>
倉本一真(日本)
パク・チウ(韓国)
<フライ級/5分3R>
杉本静弥(日本)
鈴木尊(日本)
<フェザー級/5分2R>
シャランディ(日本)
吉澤ジョアン英司(日本)
<フェザー級/5分2R>
岡田達磨(日本)
有馬鉄太(日本)




















