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【UFC131】北欧のパイオニアが、キャリア再構築に挑む

2011.06.09

Einemo11日(土・現地時間)に、バンクーバーのロジャース・アリーナで開かれるUFC131「Dos Santos vs Carwin」。ここで、時代に乗り遅れた未完の大器が参戦する。ヤンオラフ・エイネモ、日本では長らくユノラフ・エイネモと呼ばれていた北欧の巨人が、デイブ・ハーマン戦でUFCデビューを迎えることとなった。

【写真】ゴールデングローリーではアリスター・オーフレイムやセルゲイ・ハリトーノフとも、トレーニングを積んでいるというユノラフ・エイネモ (C) MMAPLANET

11月5日(土・同)にUFCがスウェーデンの首都ストックホルムで、北欧初進出を果たす。スカンジナビア半島のMMA事情、同地のMMA界には2人のパイオニアが存在する。軽量級は日本を主戦場とするヨアキム・ハンセン、そして重量級がエイネモ、この2人のノルウェー人が初めて国際的な舞台で名前を挙げた北欧系ファイターであることは間違いない。

エイネモ&ハンセンは、そんなイメージは余りもたれないがドラッグ大国ノルウェーの裏社会に足を踏み入れそうになった時、グレイシー・バッハの黒帯マルセロ・ヨギが指導する柔術に出会った。道着のトレーニングを2年に渡り積んだエイネモは、2000年にブラジリアン柔術世界大会(ムンジアル)青帯・スペルぺサード級で3位入賞、翌年にはADCCサブミッションレスリング世界選手権で古豪ヒーガン・マチャド、さらにはホーレス・グレイシーを破り4位に。同年、ムンジアルで青帯無差別級優勝と、早々に頭角を表していた。


同時に00年にはフィンランドの第3の都市トゥルクで行われている踏みつけ、頭突きありのアマチュアMMA大会=フィンファイトでMMAデビュー。柔術のポジショニングを駆使し、頭突きを連打、喧嘩自慢が集まる大会で実力の違いをまざまざと見せつけていた。その後、01年11月には欧州初のプロ修斗公式戦=オランダ大会のメインで一本勝ちを収めると、エイネモは03年に飛躍の時を迎える。

ADCC 2003 99kg  final【写真】ADCCを制してから8年、今年で36歳になるエイネモのMMAキャリア再スタートは、果たして成功を収めることができるのか(C) MMAPLANET

5月、ブラジルのサンパウロで開催されたADCC2003の99キロ以下級に出場し、ホジャー・グレイシーやアレッシャンドリ・カカレコに勝利し、組み技界の頂点に。MMAでは、その前後にプロ修斗フィンランド大会、そして初来日を果たし5連勝を達成、全ての試合が一本もしくはTKO勝ちとまさに右肩上がりの状態にあった。

その後、負傷やマネージメントとの決別でブランクを経験し、05年のADCCでは準決勝敗退で4位に、それでも翌06年に念願のPRIDE進出を果たすものの、ここから北欧のパイオニアの格闘家人生が狂い始める。

ファブリシオ・ベルドゥムという同じグラップラー、恰好の対戦相手とPRIDE初陣を戦いながら、揃って不慣れな打撃戦を繰り広げる。結果、本来持つグラップリングの強さを見せることなく、エイネモは判定負けを喫した。その年の2H2Hでジェイムス・トンプソンを破るも、PRIDEでついたケチは大きく、メジャーシーンからすっかり姿を消してしまうことに。09年よりゴールデングローリーと契約し、ノルウェーとオランダを行き来する生活を始め、2年間を要し、ようやくUFC131で表舞台に戻ってくることとなった。

対戦相手は当初の予定ではシェーン・カーウィンだったが、メイン繰り上げ出場を受けデイブ・ハーマンに変更。エリートXCで注目された後は、SRCやShark Fight、ベラトールFCで戦績を積んできた20勝2敗のキャリアの持ち主ハーマンは、決して簡単な相手ではないが、5年半振りのMMAで元暫定王者と戦うよりは、幾分、余裕も持てるだろう。

とはいっても、一度は頂点を究めたグラップリングにしても、GGでアリスター・オーフレイムらとトレーニングしている打撃の技術にしても、彼がMMAから離れた期間のこのスポーツの技術的進歩は、PRIDEスターたちの厳しい戦績からも分かるように著しい。

北欧のMMA界の門戸を開きながら、ハンセンとは対照的に表街道を歩む機会はほとんどなかったエイネモ。過去の名声を忘れゼロからの再スタートを切り、UFCで一花咲かせることができるのか。腐らせては勿体ない素質の持ち主だが、その能力はどれだけ磨かれているのか。キャリア再構築のためには、絶対に落すことは許されない一戦に挑むことになる。

■UFC131「Dos Santos VS Carwin」全対戦カード

<ヘビー級/5分3R>
ジュニオール・ドスサントス(ブラジル)
シェーン・カーウィン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ケニー・フロリアン(米国)
ディエゴ・ヌネス(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ユノラフ・エイネモ(ノルウェー)
デイブ・ハーマン(米国)

<ミドル級/5分3R>
デミアン・マイア(ブラジル)
マーク・ムニョス(米国)

<ライト級/5分3R>
ドナルド・セラーニ(米国)
ヴァグネル・ホシャ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
サム・スタウト(カナダ)
イーブス・エドワーズ(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジェシー・ボンフェルツ(米国)
クリス・ウィードマン(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
クリストフ・ソジンスキー(カナダ)
マイク・マッセンツィオ(米国)

<ミドル級/5分3R>
ニック・リング(カナダ)
ジェイムス・ヘッド(米国)

<フェザー級/5分3R>
ダスティン・ポイエー(米国)
ジェイソン・ヤング(英国)

<ヘビー級/5分3R>
ジョーイ・ベルトラン(米国)
アーロン・ロサ(米国)

<フェザー級/5分3R>
小見川道大(日本)
ダレン・エルキンス(米国)

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