【WEC53】新王者ペティス、驚愕のマトリックスキックでV
■第11試合 WEC世界ライト級選手権試合/5分5R
[挑戦者]アンソニー・ペティス(米国)
Def.5R終了/判定
[王者]ベン・ヘンダーソン(米国)
勝者がUFC世界ライト級王座挑戦権を得ることができる、WEC世界ライト級選手権試合。王者ベン・ヘンがテコンドー流の蹴りのコンビネーションを見せると、ペティスは距離を詰めてローを放っていく。
さらにジャンピングハイを見せたペティス。地元の声援を背に受けたベン・ヘンだが、ペティスの右ハイにテイクダウン狙いを阻まれる。と、一気に距離を詰め左右のフックから組みついて腰をコントロールすると、ヒザを顔面に突き上げていく。
ペティスが差し替えようとした瞬間、テイクダウンに成功したベン・ヘン。ペティスの腕十字狙いを察知し、腕を引き抜き、パウンドを落としていく。ペティスのボディへの蹴り上げで、スタンドへ戻った両者。ここで挑戦者のハイキックが王者の顔面をかすめる。残り1分を切り、スタンド戦でペティスがやや攻勢に出るが、ベン・ヘンはテイクダウンでスコアを纏めて初回を終える。
2R、ベン・ヘンの左ミドルとペティスの右ストレートが交錯する。すると、ペティスの右がベン・ヘンを捉える。組みついたベン・ヘンのバックに回り込んだペティスが、後方から顔面へ足を振り上げ、テイクダウンへ。すぐに立ち上がった王者は、距離を取り直しパンチを繰り出すが、ペティスのパンチの方が勢いがある。
ならばとパンチのフェイントから組み付いたベン・ヘンだが、ケージに押し込むだけでテイクダウンには至らない。距離を取った王者に右を放っていくペティスは、ジャンピングニーをキャッチされてしまう。再び組みつかれると、首相撲からヒザを入れ、距離を取ったベン・ヘンだったが、その急所にペティスのローが直撃する。
一瞬のインターバルの後、試合が再開すると、ペティスがローでプレッシャーを与えていく。ペティスが2Rを奪い、試合は中盤3ラウンドへ。
3R、ペティスの前蹴り、ローに王者がハイ、ミドルを見せるが、やはり打撃の勢いは挑戦者が上だ。ベン・ヘンの右クロールフックにテイクダウンを合わせたペティスは、ここで一気にバックマウントを奪取する。
四の字フックで絞めつけ、脇をさす挑戦者。ベン・ヘンは前方にペディスを落すこともままならない。観客が必至にベン・ヘンへへ声援を送るが、右腕を掴んで立ち上がったまま、ベン・ヘンはディフェンス一辺倒に。
四の字フックは、ペティスも他の技に移行できないまま、時間だけが過ぎていく。左のパンチを見せる挑戦者に、王者は左のエルボーを右腿に落としていくと、そのまま3Rが終了した。
4R、ミドルキックを放つベン・ヘンは、ペティスにパンチの連打を入れながらテイクダウンへ。ギロチンで受け止めたペティスだが、ベン・ヘンはトップをキープすると、三角狙いを担いでパス狙い。このままバックを奪い、3Rとは逆に四の字フックでバックマウントの状態になった王者が、リアネイキドチョークの機会をうかがう。
しかし、ここでペティスは胸を合わせながらスイープ、またもバックへ飛び乗っていく。体力の消耗を恐れてか、すぐに足をキャンバスにつけたペティスに、王者がヒザ蹴りをボディへ。しかし、左フックでケージに吹き飛ばされた王者は、苦し紛れのテイクダウン狙い。再びギロチンで受け止めたペティスは、そのまま首をホールドして時間が過ぎるのを待った。
最終回、1Rと4Rが王者、2Rと3Rが挑戦者という見方もできる中、王者のミドルキックに挑戦者が右を合わせる。真っ直ぐ下がるなど、印象の悪いベン・ヘンは、ステップを踏んだときにバランスを崩し、しゃがみ込んでしまう。バックに固執しなかったペティスは王者のシングルにジャンピングニーを合わせた。
ベン・ヘンは執拗に組み続け、ダブルレッグでテイクダウンを奪う。両足担ぎからバックに回り込んだ王者に、ペティスは一回転してトップを奪い返すとスタンドへ戻る。
すると、ベン・ヘンが後方に距離を取ろうとした刹那、ペティスは突進してケージを蹴り上げると、そのまま返す刀でジャンピングハイキックを繰り出した。
この一撃が王者のアゴ先を捉えると、後方に倒れ込んだベン・ヘンは必至の形相で、組みついてテイクダウンを狙うが、マトリックスキックとでもいうべき、MMA史上の例を見ない三角蹴りのインパクトを払拭できないままタイムアップを迎えた。
ジャッジの裁定は48-47、48-47、49-46でペティスに。ペティスが防衛されることのない最後のWEC世界ライト級王者となり、UFC世界ライト級挑戦権を手に入れた。
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