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【BFC33】ベラトール史上、最高のラインナップ

2010.10.08

Askren今週はブレイクタイムとなり、イベントが開催されないベラトールFC。そのBFCにとって、プロモート開始以来、最大のイベントになることが予想されるBFC33の公式ラインナップが、3日(月・現地時間)に続々と発表された。

【写真】卓越したテイクダウン能力と、ポジションコントロール、さらにサブミッション回避能力を見せているアスクレン (C) KEITH MILLS

ペンシルバニア州フィラデルフィアのリアコウラス・センターで開催される同大会、世界ライト級王者アルバレス×ロジャー・フエルタ戦がアナウンスされているが、その他の決定カードもビヨン・レブニーCEOが「ワールドクラス・イベントをフィラデルフィアから届けられることにゾクゾクしている」と語る通り、好カードが出揃いそうだ。

今回、正式発表されたのはダブルメインといってもおかしくないBFC世界ウェルター級選手権試合、王者ライモン・グッド×挑戦者ベン・アスクレン戦だ。シーズン2で圧倒的な強さを見せつけ、特に決勝であのダン・ホーンバックルを完封したレスリング+グラウンド・コントロール能力を誇るアスクレンを、シーズン1ウェルター級決勝戦のオマー・デラクルーズ戦以来、実に1年4カ月ぶりの実戦復帰となるグッドが迎え撃つ。


NYのスパニッシュ・ハーレム出身、BFCシーズン1で脚光を浴びたものの、日進月歩のMMAにあって16カ月のブランクは大き過ぎる。ただでさえ、シーズン1はラテン系ファイターにスポットが当てられたトーナメントで、人材発掘という側面では効果的だったが、グッドはメキシコ人ファイター2人、ドミニカ人ファイター1人を倒したものの、米国人ファイターとの対戦をBFCでは経験していない。

Good【写真】グッドは16カ月振りの実戦、アスクレンを相手にどのような戦いを見せることができるか? (C) BFC

フルコンタクト空手で米国を代表する存在タイガー・シュルマンを師と仰ぐ、グッドの打撃+パウンドは強力だが、果たしてライアン・トーマス(※2度)、前述のホーンバックルとの戦いで見せた、アスクレンの指でひっかけるだけで倒せるテイクダウンに対処できるか。挑戦者有利といえる世界戦だ。

そのアスクレンがシドニー五輪フリースタイルレスリング米国代表なら、この日、ルヴォン・メイナードと対戦するリック・ホーンは、アテネ五輪柔道81kg級に米国代表として出場しているファイターだ。

MMAでは現在8連勝中で、7月には往年の人気選手ショーニー・カーターを破っている。マサチューセッツやニューハンプシャーの小さな大会で地道にキャリアを重ね、ボストンのシッチョートン・ジムで打撃を習う彼の実力がいかほどのものか、全米規模で明らかになる一番だ。

この他、メインカードでブラジル人だがフィラデルフィア在住のウィルソン・ヘイスの復帰戦が組まれている。BFCフェザー級戦線で2度のトーナメントにおいて本命視されながら、準決勝敗退に終わったヘイスが対戦するのは、デヴィダス・タロセビュチス。そう、リトアニア出身のヘンゾ・グレイシーの教え子で、IFLで世界王座挑戦を経験し、WECでは2勝1敗と勝ち越していながら、リリースされた悲運のファイターだ。

Taurosevicius【写真】タロセビュチスは柔術も熟知しており、フィジカルもヘイスを上回る (C) MMAPLANET

タロセビュチスが敗れた相手はテイクダウン+トップキープの難敵LC・デイビス。ヴァグネイ・ファビアーノに勝ったマッケンス・セミザール&ハビエル・バスケスに勝ち、IFL時代やそれ以前にはバート・パラジェンスキー、サバット・ヤング、そしてダン・ローゾンに勝利しており、知名度は低いがフェザー級トップファイターといっていい存在だ。粗いパンチからテイクダウン、あるいは潜り系スイープに長けたヘイスだが、デイビス戦でタロセビュチスが見せたテイクダウン・ディフェンス、さらに蹴りも使いこなせるストライキングを考慮に入れると、元茶帯ムンジアル王者のヘイスも苦戦を避けられない。

観客動員も考慮し、アンダーカードにはフィラデルフィア・ネイティブのファイターが多く並んでいるが、そのなかでも注目は地元のバランス・スタジオに所属するティム・カーペンターだ。グランド・マスター=エリオ・グレイシーの次男ヘウソン・グレイシー系リック・ミリャレーゼの黒帯カーペンターは、MMA5戦5勝を数える。

Jamal【写真】グラップリング+MMA両部門でカーペンターの上をいく実績を残すパターソン。地元でステップアップを図るファイトになるが…… (C) MMAPLANET

そのカーペンターの対戦相手が、ヘンゾ・グレイシーの黒帯ジャマル・パターソン。ホジャー・グレイシーのスパーリングパートナーで、ADCCや数々のグラップリング、そしてMMAでもIFLなどで活躍してきたパターソンは、今も昼間は他に仕事を持ち、夜にトレーニングを続けるというライフスタイルを貫いており、過去2年で2度しかMMAには出ていない。

パートタイム・ファイターのパターソンだが、グラップリングでの実力は衰えておらず、組技中心のカーペンターにとって、腕試しのチャレンジとなる。

もう一人、フィラデルフィア在住の面白い選手が出場する。MMAでは2勝3敗ながら、元WKAムエタイ世界王者の肩書を持ち、ファイト・ファームに所属するチュアン・パンだ。ムエタイ・テクニックが流行の兆しにある現代MMAにあって、ベースがムエタイのファイターが、いかに戦うのか。フィラデルフィアのジム対抗戦という向きもあるアンダーカードで、パンが対戦するのは同じダウンタウンにあるダッディス・ファイトキャンプスのレスラー、ニック・コットーネだ。

全米PPV規模のカードから、地元勢の対抗戦とバラエティに富んだBFC33のラインナップは、いつの日かベラトール・オールスター戦が見たくなる良質なイベントとなりそうだ。

■10/21 BFC33主な対戦決定カードは下記の通り

<ライト級/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
ロジャー・フエルタ(米国)

<BFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ライモン・グッド(米国)
[挑戦者]ベン・アスクレン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ウィルソン・ヘイス(ブラジル)
デヴィダス・タウセロビュチス(リトアニア)

<ウェルター級/5分3R>
リック・ホーン(米国)
ルヴォン・メイナード(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジャマル・パターソン(米国)
ティム・カーペンター(米国)

<ライト級/5分3R>
クリス・リグオリ(米国)
エドワード・ゲディス(米国)

<130ポンド契約/5分3R>
チュアン・パン(米国)
ニック・カトーネ(米国)

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