この星の格闘技を追いかける

【DEEP Tokyo Impact2023#05】抜擢=DJ.taiki戦へ、実業団MMA戦士=上田直毅「労働時間は他の半分」

【写真】MMAPLANET初登場。てきぱきと話せる=情報処理能力に優れている?? (C)TAKUMI NAKAMURA

10日(日)東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact 2023#05にて、上田直毅がDJ.taikiと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

上田は空手・柔術を学び、キッズ修斗を経てプロの道に進む。キャリア初期は黒星先行だったが、2019年8月以降の戦績は8勝1敗と覚醒し、敗れた相手ものちにUFCと契約する風間敏臣という堂々たる成績を残している。現在は企業のサポートを受けて選手活動を続けるという環境に身を置き、DEEPトップ戦線への浮上、大舞台での活躍を目指す。


――DEEP3戦目でDJ.taiki選手と対戦が決まった上田直毅選手です。これまでのキャリアのなかで最も実績と知名度がある相手との試合が決まりました。オファーを受けた時の心境はいかがでしたか。

「すごく嬉しかったですね。DJ選手は僕が総合を始める前、小学校4~5年の時にDREAMで戦っているところを見ていた選手で。僕がDEEPに出るようになって、いつかやるのかなと思っていたんですけど、本当にやることになってびっくりしています」

――あまり自分が対戦するとは思っていなかった相手ですか。

「はい。DJ選手はベテランですし、自分がやる相手ではないと思っていました。ただDEEPに出始めて、DJ選手も試合で勝っていたので、もしかしたら…と思っていたぐらいです」

――対戦相手としてのDJ選手にはどんな印象を持っていますか。

「打撃が強い選手ですよね。総合のベテラン選手ですが、キックルールで王者クラスともやっているし、打撃は警戒しています。また組み技や寝技の展開も場数を踏んでいるので、そこにも警戒したいです」

――DJ選手は打撃に目がいきがちですが細かいテイクダウン・組み技にも強さがある選手だと思っています。その上でどんな勝つイメージを持っていますか。

「特に勝ち方にこだわりはなくて、一つの作戦に固執せずに枝分かれで考えているので柔軟に対応して勝ちたいです」

――過去最も実績と知名度がある相手で、この試合の結果が上田選手の今後にも大きく影響すると思っています。どんな試合をしたいですか。

「ここの勝ち負けで今後の自分が上に行けるかどうか。負ければ仕切り直し、一本かKOで勝てばDEEPでもっと上の相手と戦えるだろうし、さらに大きな舞台で試合するチャンスが見えてくるかなと思います」

――上田選手は空手・柔術がバックボーンということですが、どちらを先に始めたのですか。

「小学1年生から先に空手を始めました。最初は寝技に興味はなかったのですが、テレビでDREAMを見ているうちに6年生ぐらいから総合の魅力に気づいて、中学1年生でパラエストラ東京に入会して、柔術も始めました」

――空手を始めるきっかけはなんだったのですか。

「もともとK-1を見たり、格闘技には興味がありました。また父親がやらせたがりなところもあって、近所の空手道場に連れて行ってもらって入会しました」

――空手をやっていたにも関わらず、なぜ総合に興味を持ったのですか。

「当時は総合の選手がK-1に出て、勝つこともあったじゃないですか。そういう姿を見て『総合の選手は相手のフィールドでも勝つんだ』と思って。しかも本来は打撃だけじゃなくて投げ技や寝技もできる。それがすごいなと思って、自分も総合をやってみようと思いました」

――ちなみに空手はフルコンタクト空手だったのですか。

「僕がやっていたのは梁山泊空手という空手で、防具空手やグローブ空手の練習をやっていました」

――総合をやるうえでパラエストラ東京を選んだ理由は?

「家から一番近い道場で、中井先生の存在が理由ですね。当時の僕は中井先生のことを知らなったのですが、父親から『中井代表は格闘技界のレジェンドだぞ!』と言われて。その道場に入るのが一番いいだろうという結論になりました」

――MMAの練習を始めたのはいつからですか。

「柔術と並行してキッズ修斗もやっていて、当時から試合にも出ていました。なので空手がきっかけではありますが、中学からMMAのキャリアはスタートしています」

――当時好きだったMMAファイターはいますか。

「パラエストラに入った頃にUFCのゲームを買って、そこでやたら強い選手がいて、どうしても倒せない選手がいたんですよ。それがGSPだったんです(笑)」

――ゲームで知ったのが先だったんですね(笑)。

「はい。当時地上波でK-1やDREAMは見ていたのですが、UFCは見たことがなかったんです。それで映像を入手して『GSPってどんな選手なんだろう?』と思って、実際に見たら本当にすごい選手で驚きました(笑)」

――上田選手のプロデビュー戦は2014年2月にZSTがやっていたSWAT!という大会になるんですよね。

「はい。17歳の時にプロデビューしました。最初に立てた目標は総合のチャンピオンとムンジアルで優勝することの2つだったのですが、柔術をやっていくうちにムンジアル優勝は無理だと思い、総合に絞りました」

――デビューしたからのキャリアを振り返ると、2019年5月までは黒星が先行していたにも関わらず、その時の8月から連勝街道に突入します。どのような変化があったのですか。

「5月の試合に負けたあと、パラエストラ浦安に出稽古に行くようになり、今もセコンドについてもらっているジェイクムラタさんと練習するようになったんです。浦安でムラタさんと毎週MMAスパーをやらせてもらい、そこから変わりましたね」

――村田選手、浦安での練習は何が良かったのでしょうか。

「今思うと、ムラタさんとは色々と相性が合ったのかなと。試合前にはこういう相手だからこういこうみたいなことをざっくり打ち合わせて作戦も立ててもらっています」

――そこから6連勝するわけですが、何か手応えがありましたか。

「3連勝まではなんとも思わなかったんです、『勝てるようになったな』くらいで。でも4連勝くらいから『何か変わってきているかも』と思うようになり、石渡伸太郎さんの引退興行(2022年1月)に出るときにMMA用のレスリングの練習や打ち込みを始めました。それまでは打撃プラス柔術みたいなスタイルでしたが、レスリングを始めてようやくMMAっぽい動きができるようになったと思います」

――2020年12月にTTF Challenge 09に出てから石渡伸太郎 引退興行まで約1年間のブランクがありますが、これは何が理由だったのですか。

「僕は大学院に通っていて、その試験を受けるために試合を休んでいました。試験が終わって、それまで主戦場だったZSTに出たいと思っていたら、大会自体が行われなくなっていて。他の団体からも幾つか声をかけてもらっていたのですが、なかなか試合が決まらなくて。そこで最終的に石渡さんの引退興行で試合が決まりました」

――その大会ではバンタム級の1DAYトーナメントが行われ、のちにUFCと契約する風間敏臣選手と対戦しています。試合は三角絞めで一本負けしていますが、この試合はターニングポイントになったのではないですか。

「そうですね。結果は残念でしたが、決勝で風間選手とやれたことは大きな経験です」

――風間戦のあとはDEEPで2連勝しているので、2019年8月以降の戦績は8勝1敗です。この4年間で唯一の敗戦は風間戦ということになります。

「あの時、2つ作戦があって、その1つを実行したんです。僕としてはその作戦を実行して負けるようなら完敗だと思える試合でした。僕は試合になると自分のパフォーマンスを出すことを最優先に考えていて、それを出して負けるなら、どうあがいても勝てないということだと思っているんですね。だから自分のパフォーマンスを出せないことが一番ダメだと思っているし、風間戦ついては僕の完敗でした。ただ自分と試合をした選手がUFCのような大きな舞台で戦っている姿を見ると、自分もそうなれる可能性があると思っています」

――上田選手は所属名が「パラエストラ東京/インプルーブ株式会社」になっていますが、普段はインプルーブ株式会社で働きなら練習や試合をしているそうですね。これは実業団のようなシステムなのですか。

「そうですね。労働時間でいうと他の社員の約半分くらいにしてもらい、仕事以外は練習してもいいという条件になっています」

――あまり例がない雇用形態だと思うのですが、どういった経緯で決まったのですか。

「もともとインプルーブがRIZINなど格闘技関連の協賛をやっていて、自社からRIZINに出る選手を探したいということになったそうなんです。ちょうど自分も練習時間に融通をきかせてもらえる会社を探していて、人材系の会社が僕とインプルーブを結び付けてくれて、面接を受けて採用していただきました」

――就職すると練習時間が削られる、フリーターで練習時間を確保すると生活が苦しい。学生時代が一番充実した練習できたという話はよく耳にします。上田選手は安定した基盤のうえで練習ができているようですね。

「はい。学生の時とほぼ練習時間が変わらず、今までと同じルーティンで練習できるのはありがたいです。僕の選手活動も応援してもらっていて、本社は大阪にあるんですけど、東京の営業所からだけでなく、本社からも応援に来てもらえます。本当に今の環境には感謝しています」

――相手含めていままで一番注目される試合だと思いますが、今回のDJ戦ではどんな試合を見せたいですか。

「僕はみなさんに知られている選手じゃなくて、逆にDJ選手はずっと長くやっていて知名度がある選手です。その相手にいい勝ち方をすれば僕の知名度も上がると思うし、大きな舞台で試合できるチャンスも増えると思います。試合としては僕は空手と柔術をやっていたので、打撃も寝技もどちらも見せられる試合をしたいです」

――今の上田選手にとってはRIZIN出場が最大の目標ですか。

「はい。RIZINだったり、大きな舞台に行けば他の団体のトップ選手と戦えると思うので楽しみです。またDEEP3戦目で元チャンピオンのDJ選手を当ててもらえて、期待してもらえているのかなと思います。DEEPの佐伯代表や周りの方には感謝しているので、その感謝の気持ちを胸に良い試合を見せたいです」

■視聴方法(予定)
9月10日(日)
午後12時20分~DEEP チャンネル-YouTube

■ DEEP Tokyo Impact 2023#05対戦カード

<バンタム級/5分3R>
DJ.taiki(日本)
上田直毅(日本)

<フェザー級/5分3R>
五明宏人(日本)
劉獅(日本)

<フェザー級/5分2R>
ユータ&ロック(日本)
TATSUMI(日本)

<フェザー級/5分2R>
木下カラテ(日本)
梶本保希(日本)

<ライト級/5分2R>
岩倉優輝(日本)
後藤亮(日本)

<ライト級/5分2R>
山本颯志(日本)
前田啓伍(日本)

<アマ68キロ契約/3分2R>
信原空(日本)
Mr.サタン(日本)

<フライ級/5分2R>
根本元太(日本)
坂本岳(日本)

<フェザー級/5分2R>
相本宗耀(日本)
森俊樹(日本)

<バンタム級/5分2R>
山口コウタ(日本)
清太郎(日本)

<ストロー級/5分2R>
佑勢乃花(日本)
石井涼馬(日本)

<ウェルター級/5分2R>
マッスル岩倉(日本)
宇土冬真(日本)

<バンタム級/5分2R>
岩見凌(日本)
川瀬大祐(日本)

<フライ級/5分2R>
濱口麗地(日本)
浅井優一(日本)

PR
PR

関連記事

Movie