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【Shooto2023#05】修斗の天辺=新井丈に挑戦。安芸柊斗 ─02─「地方でもこんだけやれるんぞって」

【写真】前列一番左が安芸のタイトル挑戦の日に インフィティリーグ戦で上原平と戦うCHAN龍。右隣が根井博登とオープニングマッチで対戦する里見拓磨。里見は1学年下で、小学生の頃からジムで一緒に修斗をやってきた兄弟のような存在(C)MMAPLANET

23日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#05で新井丈の持つ修斗世界ストロー級王座に挑戦する安芸柊斗インタビュー後編。

殴って、蹴って、倒して、抑えて極める。絞める。子供のころから修斗をやってきた自負、徳島という街でMMAを続けてきた矜持。王座挑戦を前にして安芸の口をついて出てくる言葉からは、常にこの二つのプライドが感じられた。

<安芸柊斗インタビューPart.01はコチラから>


──総合をやるだけ。その一言に安芸選手がこれまでやってきたことへの自負が感じられます。やはり全てが混ざった格闘技を見せたい?

「見せたいと思います。でも、試合中に楽しくなってしまうと相手の土俵に乗ってしまうので(苦笑)。そこが自分の悪いところですけど、それで自分が楽しいと思ったらお客さんも盛り上がってくれると思うので」

──安芸選手の楽しみ方って、真正面から打ち合うとかでなくて、紙一重でかわしてパンチを被せていく。そのスリルを楽しんでいるように見えます。

「アハハハハ。そうッスね。まぁゲームなんで。楽しくやれれば、良いかなって思っています」

──ところでタイトル挑戦を決めるまでに、3月大会では澤田龍人選手を圧倒しました。彼が過去に常に修斗ストロー級のタイトル戦線にいて、さらにONEに進出したことはどのように捉えていましたか。

「オイシイと思いました。それ以外は何も思わなかったです。自信があったし、勝てば絶対にタイトルやし。俺も5年振りの後楽園やったので、他の選手とやるぐらいなら名前があって海外に行っているという実績を持っている選手に勝てば一気にタイトルにいくという気持ちでした。地方でやってきた選手からしたら、このチャンスをモノにすれば誰もが認めるやろう──これはオイシイと思いました」

──タイトル戦が組まれた次回大会には、CHAN龍選手、里見拓磨選手とMMA Zジムから2選手の出場もあります。

「地元感、強いでスよね(笑)。でも別に3人で出るからといって、別にやることも変わらないし。皆、自分のやるべきことをやれば良いので。キレイなバトンを渡してもらえたら一番嬉しいですけど、それぞれが自分のために頑張るモノなんで。バトンが繋がらなくても、拾って自分が一番になれば良いので。

それでも徳島から50人ぐらい応援しに東京に行ってくれるので。このタイトル戦のために東京まで試合を見に来てくれるのは嬉しいし。友達とかにも『ありがとう』って伝えると『応援させてくれてありがとう』、『連れていってくれてありがとう』という言葉が返ってくることが多くて。めっちゃ恵まれているなって思うし、皆が後ろにおるっていうのは凄い強味になりますよね」

──当然、この試合にフォーカスしないといけないのですが、修斗の頂点は同時にさらなるステップアップをするチケットでもあります。ストロー級ファイターとして、この先をどのように考えていますか。

「色々と考えたスけど、取ってみんことには何も変わらないと思うので。まずは先を思い描くよりかは、目の前にあるタイトルを取ることが一番大事やと。その先はまた後で考えます。今は考えずに、タイトルだけを考えます」

──そう言われているのに、しつこく聞いてしますが……修斗外のストロー級ファイターでリベンジをしなくてはならない選手がいるかと思うのですが。

「あぁ、ハイハイハイハイ(笑)。絶対に避けて通れないです。そこはどの取材でも尋ねられるので。自分はホントに過去に勝った・負けたということには捉われていないです。そこに捉われると先に進めないのでと自分は思っているんで、まぁ向うが勝ち進んでいる選手で、自分は追いかける立場になったので。自分も進んで行ったら、いずれ当たるだろうと。

その時に勝てば良いだけなんで。巡り合わせで、どないでもなると思うので。あの時は俺の方が弱かっただけで、次やれば分からない。圧勝するかもしれないし、また同じ負け方をするかもしれない。分からないですけど、過去には捉われないで先を目指していればいずれ当たる選手やと思うので」

──安芸選手は何か話すと多くのケースで、最後がキャハハという感じで笑うじゃないですか。それがMMAの話題になると、そのキャハハハがなくなって真剣になりますよね。

「キャハハハハハ」

──って笑っているじゃないですか(笑)。

「アマチュアの時には真剣に考えることもなかったし、他の選手の試合を見ることもなかったです。でもプロになって……2度目のランクインをしたくらいから、凄く格闘技を見るようになりました。その影響も多いのと、後輩も出てきて自分以外の試合の分析もするようになった。その辺りも大きいかと思います。

それから大きく変わりましたね。小さい技術、こういう立ち位置でこういう出入り、こういう組み立て方っていう部分にも目が届くようになって。そうしたら、凄く変わりました」

──指導者がお父さんの佳孝さん。そして元プロシューターでもあり、家に戻ってもMMAを深く掘っる会話などされているのですか。

「あります。でも試合前は噛み合わないことの方が多いです。お互いに想うところがあって、意見が食い違う方が多いかなって」

──指導者と選手だけの関係なら、食い違うまで論議にならないかもしれないです。まぁ、一応聞いておこうというぐらいで。ただ相手がお父さんなら、そこが違ってくるのかと。

「あぁ、張り合いますね。逆にそれが良いのかもしれないですね。言い合っていると、向うの言っていることも理解はできるので。やっぱり安パイな試合を求めて、俺は逆にギリギリを攻めるので。指導者と代表という立ち位置と、選手という立ち位置の意見のぶつけあいですね」

──タイトル戦、勝てばこれだけの人が喜んでくれてなお、ヒリヒリした戦いを求めてしまうのですか。

「気持ちはそうですね。そこを抑えることも大切で……でも、どっちかに偏るとどっちを選択しても後悔することになると思います。仮に打ち合ってメチャクチャおもろい試合で負けたとしたら、打ち合って心から燃え上がったことは納得するけど負けたことには後悔します。

逆に安パイに勝ちに行くと、勝って結果には納得するけどホンマにこれで良かったんかなって納得できない自分もおると思うので。どっちになっても、後悔すると思います。それはもう……試合中に本能でどう動くかですね」

──新井丈選手に対して、安パイという展開に持ち込めますか。

「そうですね……作戦通り、全部ハマれば安パイになります。自分に自信があるので、そこは言えます。逆に相手も同じだと思いますよ」

──では改めて、最後に意気込みを願いします。小学生の頃からやったきた修斗という世界のなかで、頂点を取りに行く試合で何を見せたいですか。

里見、原慎之介のキッズの頃から一緒に汗を流してきた2人と笑顔を浮かべる

「やっぱり応援に来てくれる人も多いし。

ジムから一緒に2人出る。セコンドに就いてくれる子らもおるし、ジムの選手の子だけでなく一般の子もそう。地方でもこんだけやれるんぞっていうのは見せたいです。腐らずやれば、ここまで来れるぞって」

──それは……腐りかけたことがあると?

「ありますね(笑)。何回かあるッスけど。結局、これをどけたら自分には何も残らない。どけれん環境にもおったし。どけさしてくれんスよね、周りが(笑)」

■視聴方法(予定)
7月23日(日)
午後5時30分~ ABEMA格闘チャンネル

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