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【TORAO28】毛利昭彦戦へ、宮崎清孝─02─「一つだけ、やるからには一生懸命やる。それだけです」

【写真】11月27日の後楽園ホール大会で打威致のセコンドを務めていた宮崎 (C)MMAPLANET

12月4日(日)、山口県周南市の新南陽ふれあいセンターで開催されるTORAO28で、毛利昭彦を相手にラストマッチを迎える宮崎“師範代”清孝のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

空手から始まった宮崎の格闘技人生は、MMAのケージの中で終幕を迎える。しかし周南市の毛利道場とともに、宇部市で宮崎が築き上げてきた格闘技は、彼の弟子たちに受け継がれていく。そんな弟子や周囲の人たちに見せたい人生のチャレンジ、そして宮崎の夢とは。

<宮崎“師範代”清孝インタビューPart.01はコチラから>


――最初から引退試合の相手は毛利選手だと決めていたのですか。

「clubDEEPに出た時から決めていました。『最後は俺と対戦してくださいね』って毛利さんにも言っていて。当時は何気ない話で、毛利さんも『分かった、分かった』ぐらいの返事でしたけど(笑)。それで2回目のプロ修斗山口大会が開催されると決まった時に、『ここで試合しましょう。俺はこの試合を最後にします。他の試合には出ずに、毛利さんとの試合に集中するので』とお願いして、OKをもらっていたんです。でも大会が中止になってしまいました」

――2018年7月に初めての山口大会が開催され、続いて2020年5月に第2回大会が予定されていました。コロナ禍で中止になりましたが、その第2回大会で毛利選手との引退試合が行われる予定だったのですね。

「そうなんです。第1回大会の翌年に第2回大会の話が挙がってきて。翌年の山口大会が中止になったあと、今度は福岡大会でやるかどうかという話もありました。でも毛利さんが『この試合は山口でやりたいんだ』と言ってくれて。自分としては毛利さんがOKだったら福岡大会でも良かったんですが、その福岡大会も中止になって……そういうことの繰り返しで、3年越しのラストマッチになりました」

――その期間に、本当に毛利さんとのラストマッチを行えるかどうか不安ではなかったですか。

「もちろん、不安な気持ちもありました。大会が決まって、気持ちもつくって練習していたら、大会がなくなってしまう。それが3~4回も続いて、コロナ禍は本当に終わるのか――その不安がある一方で、自分も年齢を重ねていく。でも毛利さんとも『試合ができるならやりたい』と話をしていて。自分の弟子たちにも『最後はもう1回ちゃんと試合をして辞めるから』と伝えていました。目標を持ってチャレンジするところを見せたかったんです。たとえ目標を達成できなくても、チャレンジしていけば良いことが待っているから。結果がどうなろうと、チャレンジし続けていこうぜって」

――……。

「なのに自分のほうから、年くったから辞めたというのは無しですよね。私も最後にもう1試合したかったし、練習も好きですから、弟子たちと一緒に練習していると気持ちも上がってくるので。その繰り返しでした。それで今回の試合が決まり、コロナ禍は収まっていないけど大会はやれそうだと。自分も年齢的に、そろそろかぁと思っていたので、ギリギリでした。お客さんに見せられるぐらいは動くことができる、その状態で試合が決まって良かったです」

――なるほど。そのなかで、今年5月には有永道場Team Resolveの常設道場をオープンされています。

「ずっと他のトレーニングジムの一角を借りて練習していたんですよ。そのジムが閉店するかどうかという話になり、自分たちでやるしかないと思って常設道場をオープンしました。実は、常設道場を出してどうこうという気持ちは、もともと一切なくて。ただ、私のスタンスは『じゃあ良いよ』なんです」

――じゃあ良いよ、というのは……。

「コレやりたい――じゃあ良いよっていう感じで続けてきて、今の環境にたどり着きました。一つだけ、やるからには一生懸命やる。それだけです。この先どうなっていくかは分かりません。だから、今できることを一生懸命やる。今やらないと、いつできるか分からないから。弟子たちにも、そう伝えてきました。そうやって続けてきて、周りに応援してくれる方も増えてきたおかげで、常設道場をオープンすることができています」

――宮崎選手がMMAを始めた当時と比べて、今は山口県でもMMAを始めたいという人は増えてきていますか。

「増えていますよ。キッカケは朝倉未来とRIZINが多くて。そこに至るまでには、やっぱりプロ修斗の大会が山口で行われたことは大きかったです」

――一方、有永道場Team Resolveでは空手のクラスも続けられています。

「ウチはキッズ空手が多いんです。今日の後楽園ホール大会に出る打威致(※取材は11月27日の後楽園ホール大会開催前に行われた)も、小4の時にキッズ空手から始めた選手で。ウチでは中学校になったら空手とMMA、どっちを選んでもいいよと説明しています。そうしたら打威致はMMAをやりたいと言って……。感慨深いですよね。そうやって空手から始めた子供たちが、MMAをやって後楽園ホール大会に出ることができるなんて。『あの打威致が』っていう感じですよ。

打威致と一緒の大会で試合をする。それが我々の夢だったんです。だから打威致も山口大会で試合したいと言っていたんですけど、今回は後楽園ホール大会に出ることになりました。1週間前だからいいじゃないかとアイツに言って。1週間の差はありますけど、最後にアイツと一緒に追い込んで練習することができて良かったです」

――MMAファイターとしては、今回がラストファイトとなります。その後はジム運営者として、そして指導者としての目標はありますか。

「今の時点で練習できる環境にある子たちだけでなく、家庭環境の問題――なかには金銭面とかでジムに来ることができない子もいたりします。そういう子たちが上を目指せるようにしたいです。そして、その子たちが試合を見て『あんな選手になりたい!』と思ってくれるような選手を育てること。その環境づくりをやっていきたいです。

あとはお年寄りも多い地域なので、マスター世代が楽しく体を動かせる社交場にもしていきたいですね。そのマスター世代の人たちと酒を飲みながら、若い連中の試合を見て『アイツら強くなったなぁ!』と言うのが夢です(笑)。

マスター世代にも、自分のように体を動かしていたら健康でいられることが分かってもらえるように――最後の試合も全開でいきますよ」

■視聴方法(予定)
12月4日(日)
午前11時30分~ Twit Casting LIVE

■Torao28対戦カード

<67キロ契約/5分2R>
毛利昭彦(日本)
宮崎“師範代”清孝(日本)

<バンタム級/5分3R>
野尻定由(日本)
神田T800周一(日本)

<49キロ契約/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
古賀愛蘭(日本)

<闘裸男寝試合73キロ契約/5分2R>
森戸新士(日本)
白木アマゾン大輔(日本)

<フライ級/5分2R>
秋山翼(日本)
有本亮我(日本)

<ウェルター級/5分2R>
墨吉涼太(日本)
久保昌弘(日本)

<フェザー級/5分2R>
紀州(日本)
HAMMER KATU(日本)

<49キロ契約/5分2R>
和田千聖(日本)
川西茉夕(日本)

<フライ級/5分2R>
植木“令和”新(日本)
若宮龍斗(日本)

<アマチュア修斗トライアウト女子アトム級/3分2R>
上瀬あかり(日本)
本村結(日本)

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