【TUF11】第6週 判定結果にリデルが怒り心頭
ジ・アルティメット・ファイター・シーズン11~第6週が幕を開けた。ケイシー・ウスコラから勝利を挙げながらも、手を骨折したことで離脱を余儀なくされたチーム・リデルのリッチ・アトニート。彼が抜ける枠を巡って敗者達が色めき立つ中、その候補は、肩を手術することになったクレイトン・マキンニーを除き、ウスコラとジェームズ・ハモーティに絞られた。
【写真】際どい判定ながら、コート・マクギーを下したティト1位指名リング。だが、不用意に組み付きアッパーを被弾、その他にも簡単にテイクダウンを許すなど、不安要素も多い (C) ZUFFA
だが、前週の対抗戦ではチーム・リデルのジョシュ・ブライアントがクリス・マクレイを下し、チーム・ティトの劣勢は変わらず、ハードなトレーニングを課すティトに、不満を唱える者が現れた。ケイシー・ウスコラである。
「マクレイは勝てたはずだ。やったこともないハードトレーニングを試合の2日前までやっていたら、体はもたない。ティトはしっかり選手に指示を与え、休みの調整もさせないといけない」と言い放つ。するとティトは、チーム全員を座らせ、話し合いの場を設けることにした。
「ケイシーが試合前の練習が厳しいといっていた。チームとしてまとまらないといけない。一人でも違う考えがあれば、それは解決しないといけない」と話し始めたティトだったが、敗戦を喫したマクレイ本人は「俺はオーバーワークだったとは思わない」と口を割った。
イェイガーも「ティトは素晴らしいと思う。俺はここに強くなるためにきている」と続けるや、ハモーティやニック・リングもこれに同調。ティトは、「みんなここに初めてきた時より、タフな良い選手になっていると思う。まだまだ2試合ある。ワイルドカードもある。シーズンの最後に笑うのはチーム・パニッシュメントのメンバーだ」とチームの団結を促した。
また、TUF恒例となっているコーチズ・チャレンジでは、ドッジボールで両コーチが激突することに。勝利コーチは10,000ドル、勝利チームの全員には1,000ドルの賞金がダナから告げられると両軍は一気にヒートアップした。ドッジボールは、リデルとティトに選手3名を加えた4対4で行われたが、結果は3回対戦し、チーム・リデルの3連勝。リデルは、「ティトはここでも俺に勝てないようだね」とご満悦の様子、敗れたティトもゲームで剥きになるリデルに対し、「チャックからあれほどの感情を見たのは始めてだ」と呆れた表情で苦笑いを浮かべた。
そして、試合を迎えると、カード決定権を持つリデルは、ローカルプロモーション時代に元UFCファイター=ジェレミー・ホーンと対戦経験のあるコート・マクギーと、チーム・ティト1位指名ニック・リング戦を発表した。
今シーズンの優勝候補とされるリングの指名に、ダナは「正直ニック・リングはこの中でも最も才能に溢れた選手だ。チャックがここまで成功しているわけだから否定はできないが、これまた良く分からないな」と前置きしながらも、リング有利と分析した。
そんなリングの対戦相手となるマクギーは、ハウスに戻ると、薬物に手を染めていた過去を振り返り、「酒を1日中飲む生活が続いて、体を動かすために薬をはじめた。ある日、ラスベガスでほんの一杯酒を飲んだら、意識を失って気付いたらアイオワ州にいたよ。その後は入院して、更生施設に入った。あの頃を考えると、今ここにいる自分は本当に恵まれている。もう別人だ」とカミングアウトをする。
試合当日、「ニックは俺のNo.1ピックだ。しっかりトレーニングもしているし、楽な試合だ。サブミッション、TKO、どちらにしろ1Rで決着だ」と楽観するティト。リングも、「コート・マクギー、しっかりトレーニングをしてきているだろうが、悪いが勝つのは俺だ」と言い放ち、対するマクギーは「相手を痛め付けて勝つことだけを考えている。何をしてでも勝ちを奪ってやる」と意気込んだ。
いざ試合になると、サウスポーのリングに右ストレートを浴びせていったマクギーは、そのまま突進するようにダブルレッグを決め、テイクダウンを奪っていく。下からガードでガッチリと抱え込むリングは、マクギーが攻めあぐねている隙をついて、オープンガードから柔術立ちで立ちあがるとミドルを放っていった。
前蹴り、ミドルを放つリングに、マクギーもミドル、ワンツーを返す。差し合いから互いにコツコツをヒザを出しあったが、距離ができると再びマクギーはダブルレッグへ。リングはタックルをきって、バックをうかがうも、これを嫌がり、自ら下になったマクギー。リングはハーフからパウンド、ガードに戻されながらも、パウンドを落とし続けて1Rが終了した。
2R、フックからアッパーをみせるマクギーに、左右のローを返すリングは、ガードの上から左ハイを叩き込む。蹴りを上下に打ち分けるリングではあったが、不用意に組み付きにいくと、マクギーのショートアッパーを浴びる。
残り1分半、またしても、不用意に組み付こうとするリングは、その度にマクギーのパンチを浴びる羽目に。すると、差し合いを経て残り数秒、マクギーは決定打こそないものの、ラッシュを仕掛けて攻勢を印象付けた。
判定の結果はジャッジ2名が20-18、1名が19-19とし、3-0でリングが勝利を手にした。「フィニッシュしたかったんだが、判定になってしまった。勝てたのは嬉しいが、次はもっと良いファイトを見せたい」と語り、勝利に安堵した。
しかし、この判定に納得いかないリデルは、判定が下る前にも、チーム・ティトのイェイガーと言い合い、遂には「絶対にコートが勝った」と譲らず、「3R目はどうした。冗談だろ」と声を荒げ、その矛先をダナに向けた。
「俺はジャッジじゃない。俺を睨んだって変わらない」と返すダナだったが、「信じられない。ジャッジはこの結果を恥ずべきだ」と、リデルの怒りは止まない。これには、ダナも「1Rはリングだ。ただ2Rはコートのはずだ。だから俺はいつもいっている。ジャッジに託しちゃいけない」と冷静に語り、勝利を挙げたティトは、「俺はもう2回も経験したんだ。これで俺の気持ちがわかっただろ」と、怒りに狂うリデルを横目に笑みを浮かべた。
当のマクギーは、「2007年以来の負けとなるが、しょうがない。前を向くしかない」と顔を上げ、こちらもワイルドカードでの再出発を誓った。