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【Bellator268】NHBを知る父を持つ、ランス・ギブソンJr「ハードな状況下でこそ、よりハードに戦う」

【写真】父ランスとは、ルックスは相当に違うJr(C) MMAPLANET

16日(土・現地時間)、アリゾナ州フェニックスのフットプリント・センター でBellator268「Nemkov vs Anglickas」が開催される。メインでBellator世界ライトヘビー級選手権試合=王者ワジム・ネムコフ✖ ジュリアス・アンリカス、ライト級ではベンソン・ヘンダーソン✖ブレント・プリマスなど注目カードが組まれ、そのベンヘンの妻マリアがサークルケージに足を踏み入れる大会で、ランス・ギブソンJrがレイモンド・ピニャと戦う。

ランスの父、ギブソンSrはMMA創世記にノールール、体重無制限という試合をいち早く総合力で勝負するパンクレーション所属ファイターとして、戦ってきたMMA界のパイオニアだ。日本でも修斗で戦い、すさまじいばかりの勝利への執念を見せたこともあった。

今でもジュリア・バットが母でもあるギブソンJrに、初インタビュー。ランスは一風変わったマーシャルアーチスト然として、カナディアン・ミックスト・マーシャルアーチストであることが分かった。


──2年前にランス・ギブソンJrの名前をBELLTORのラインナップで初めて見た時、あのランス・ギブソンの息子なのか驚きました。MMAを始めたのは、当然のように父ランス・ギブソンの影響かと思われるのですが、デビューは2017年で22歳の時と決して早くないですね。

「僕がマーシャルアーツのトレーニングを始めたのは2歳の時だよ。父はUFCやハワイのSuper Brawl、そして日本の修斗で戦ってきた。僕の人生は常にMMAというスポーツが存在してきた。プロの試合は22歳になってからだけど、17歳でアマチュアの試合に出るようになっていたんだ。

アマMMAでは2度チャンピオンになり、その後はアリゾナ州立大学に進学して栄養学の勉強をし、卒業が決まってからプロMMAで戦っていくことを決心した」

──大学時代は現地のMMAジムに所属することはなかったのですか。

「大学時代も当然、練習は続けていたよ。マーシャルアーツは僕の人生に一部だからね。でも時々、友人とMMA Labに練習したこともあったけど、どこかのジムに所属するのではなくほぼほぼ自分で練習していた。それにジュリア(バッド※父ランスの再婚相手。元Bellator世界女子フライ級王者)がアリゾナにやってきて、一緒にトレーニングをすることもあったよ」

──なるほど。ところで今ではMMAはMMAとして存在しています。ただし、父ランスはマット・ヒュームのパンクレーションの生徒として、異種格闘技戦のようだったMMAの時代から、ウェルラウンド的なMMAを練習していました。と同時に、今のようにルールが整備されておらず、より危険な時代でもありました。お父さんから習ったマーシャルアーツは、どこか今のMMAと違いはありましたか。

「父が若い頃に身につけていた技術を、僕もしっかりと学んでいる。それは何かというと、あらゆる局面でのファンダメンタルを大切にすることだよ。マーシャルアーツの基礎を身につけて、そこをMMAに生かす。MMAの新しい動きや、新しいテクニックが数多くみられるようになったけど、基礎的な部分、その根幹は不変なんだ。いくら流行りのテクニックを身に着けようとも、そこにファンメンタルがなければMMAを戦い抜くことはできない。

僕は子供のころからレスリング、柔術と別々の競技の練習をするのではなく、それらが混ざり合ったパンクレーションのトレーニングをしてきた。だからこそ、本当の意味でウェルラウンディットなファイターになれたと思っている。

僕はストライカーでも、グラップラーでも、レスラーでもない。本当の意味でMMAファイターだよ。そして、父の時代はまだ体重も細かく分かれていなかったし、色々な危ない技が許されていた。そういうところを戦ってきた父の血は、僕の中に流れているとは思っている」

──お父さんの試合で忘れられないのは、鼻血が出ていた時に血吹雪のように相手に掛けて視界を奪っていったことです。ハッキリ言ってダーティーですが、勝利への執念が凄まじいと感じました。

「……。だからこそ、試合での動きとかでなく、その気持ちは僕の身の内にあると感じている。試合がハードな状況下でこそ、よりハードに戦うことができる。実は前の試合も試合開始40秒で爪先を脱臼していたんだ」

──えぇ、そうだったのですか!! ケガをしていたとは全く気付かなかったです。

「家に戻るまで、誰も知らなかったよ。誰にも言わなかったし、負傷箇所も見せなかった」

──セコンドのお父さんにも、ですか。

「試合中にケガをしたことをコーナーの父に伝えると、対戦相手にバレてしまう。それに2Rのアイポークで左目が見えなくなった。それでも、自分が何をすべきは分かっているし、やり抜くしかないと思って戦った。きっと、僕の表情は何一つ変わっていなかったはずだ。自分の弱点は絶対に見せちゃだめだ。特にアクシデントに見舞われた時はね。相手に付け込む隙を与えてはならない。

それって日本のサムライも同じだよね。宮本武蔵は内面を外に出すことなく人を斬っていた。エモーショナルになっては、やられてしまうんだ」

──MMAでは相手の心象を悪くしたり、休息をとりたく大きく反則をアピール選手も少なくないです。

「多くのファイターはマーシャルアーチストではない。MMAはファイターばかりで、マーシャルアーチストは稀だ。特に相手を敬う心を持って戦っていない。でもアジアはそうじゃないだろう? ケージに2人入れば、勝者は1人で敗者が1人生まれる。対戦相手をリスペクトせず、戦うことはできない。それがウォリアーであり、マーシャルアーチストの嗜みだと思っている」

──レイモンド・ピニャにも、そういう気持ちで向かうということですね。

「もちろんだよ。試合に向けて準備は整っている。全ての要素で、僕にアドバンテージがある。1回、1回のトレーニングセッションで、自分がどれだけ成長しているのかを頭において練習してきた。より強くなるということを頭にいれて練習すると、その想いは現実に近づく。僕にもまだ弱点はある。その弱点を補うことができつつある。ただハードに自分を痛めつけるトレーニングではなくて、しっかりと考えて、一つひとつの動きに注意を払いインテリジェンスな準備をしてきた。練習毎に目標を持ち、そこを達成できるようやってきたんだ。

ピニャはグラップラーだ。組んで倒したいと思っているに違いない。次の試合で自分がどこまで戦えるのか楽しみでならない。僕の能力の高さを皆に見てもらいたい」

──ランスのアドバンテージは、どこだと考えていますか。

「レスリングだよ」

──えっ!!

「フフフ。そうなるだろう? 僕はこれまでほとんど、自分のレスリングを試合で見せてこなかった。テイクダウン後のツールも、まだまだ色々と持っている。ピニャが簡単にテイクダウンを仕掛けてきたら、彼にとって恐怖の瞬間が訪れるだろう。

それだけの打撃があるからね。彼がミスをするように誘うこともできるし、彼が正しいことを仕掛けてきても、それが結果的に間違いになるように動く。どんな流れになっても、自分の戦いができることが僕と他のファイターの違いだよ」

──つまり今回の試合はより上を目指す、ステッピングボードになるわけですね。

「まだ、多くの人が僕の存在に気付いていないからね。僕のゴールはBellator世界チャンピオンになることだ。そして、この名前の皆の頭に刻み込む。そのために僕がどれだけ創造力豊かなファイターか、次の試合で見せたい。普段、見慣れているのとは違うテクニックをケージで使う。どんな局面でも戦えることを披露するつもりだ。僕のマーシャルアーツの経験に基づいた動きを全てのポジションで、ね」

──MMAファイター人生を送るうえで、お父さんがコーチなだけでなく、今ではお母さんが世界のトップファイターです。この環境をどう思っていますか。

父、継母がコーナーに陣取るギブソンJr(C)BELLATOR

「クールだよ。父は戦わなくなったけど、ジュリアのように戦い続けている存在が身近にいることは大きい。

僕らの人生は、継続することが何よりも大切だからね。そして父がコーナーにいる。父が声にする前に、何を求めているのかが分かる。もしくは何か言った瞬間に、理解できる。直後にその動きを出せることは、僕にとって大きなアドバンテージだよ。父と僕はケージの外と中でシンクロしているんだ」

──ランス、今日は興味深い話を色々とありがとうございました。では最後に日本のMMAファンにメッセージをお願いします。

「日本のファンが僕の試合を視てくれるなら、凄く光栄だ。僕の父親は日本の修斗で戦っている。僕の試合を皆が視て、マーシャルアーツとは何を感じ取ってくれると凄く嬉しい。日本の人々の精神面やライフスタイルは、マーシャルアーツに大きく影響を与えているから。

BellatorがRIZINとまた日本大会に開くことがあれば、僕も絶対に日本のファンの前で試合をしたいと思っている。サンキュー!!」

■視聴方法(予定)
10月17日(日・日本時間)
午前7時55分~Prelim :Bellator MMA YouTube Channel
午前10時55分~Main Card: Bellator MMA YouTube Channel

■対戦カード

<Bellator世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]ワジム・ネムコフ(ロシア)
[挑戦者] ジュリアス・アンリカス(リトアニア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ライアン・ベイダー(米国)
コーリー・アンダーソン(米国)

<ライト級/5分3R>
ベンソン・ヘンダーソン(米国)
ブレント・プリマス(米国)

<フェザー級/5分3R>
ヘンリー・コラレス(米国)
ウラディスラブ・パルブチェンコ(ウクライナ)

<ライトヘビー級/5分3R>
カール・アルベクツソン(スウェーデン)
ドブレジャン・ヤギュシュムラドフ(トルクメニスタン)

<ライトヘビー級/5分3R>
サリバン・コーリー(米国)
ディオン・クラッシュ(米国)

<ライト級/5分3R>
ボビー・リー(米国)
ニック・ブラウン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ハビエル・トーレス(メキシコ)
グレゴリー・ミリアード(アルバ)

<女子フライ級/5分3R>
スミコ・イナバ(米国)
ランディ・フィールド(カナダ)

<ライト級/5分3R>
ランス・ギブソンJr(カナダ)
レイモンド・ピニャ(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジェイロン・ベイツ(米国)
ハファエル・モンティニ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ムカメド・ベルカモフ(ロシア)
ジェリール・ウィリス(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリア・ヘンダーソン(米国)
コレット・サンティアゴ(米国)

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