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【F2W163】スリリングかつダイナミック柔術で、ケネディ・マシエルがパト・オリヴェイラに競り勝つ

【写真】スプリット判定で王座防衛に成功したマシエル。黒帯とチャンピオンベルト、2つのベルト姿が斬新だ(C)FIGHT 2 WIN

13日(土・現地時間)テキサス州ダラスにあるジリーズにて、プロ柔術大会Fight to Win 163が開催された。コロナ禍にもめげず、世界トップクラスのグラップラーを集めて精力的に活動中だ。

今年4度目の開催となるこの大会から、メインの道着ライト級選手選手権試合の模様をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<F2W道着ライト級選手権試合/10分1R>
ケネディ・マシエル(ブラジル)
Def. 2-1
ディエゴ・パト・オリヴェイラ(ブラジル)

試合開始後すぐに座ったマシエルは、デラヒーバでオリヴェイラの右足に絡む。そのまま足を使ってオリヴェイラの体を浮かせたマシエルは、右足をストレートフットロックの形で左ワキに抱えることに成功。そのグリップをキープしたままシットアップしてオリヴェイラを倒したマシエルが、上を取った。通常の柔術ならこれでマシエルが2点先制だが、この大会は3名のジャッジによる旗判定制だ。

下になったオリヴェイラは、半身で片襟片袖の状態で足をきかせる。対するマシエルは低い体勢でプレッシャーをかけてゆく。

やがてオリヴェイラは、足で空間を作って潜り込んでマシエルの左足を引き出し、お互い左足を取り合う展開に。オリヴェイラのトーホールドが深く入りかけた場面もあったが、両者極めきれずやがてマシエルが上の体勢に戻る。

再び低くプレッシャーをかけてゆくマシエルに対して、オリヴェイラはインヴァーテッド等、柔軟な上半身、股関節、ヒザをフルに使って対応してゆく。マシエルは父コブリーニャのように、両腕を大きく開いてオリヴェイラの右足首と襟首を押さえつけるが、オリヴェイラのガードは崩れない。

上のマシエル、下のオリヴェイラ。一進一退の攻防が大きく動いたのは、残り4分を切った時だった。オリヴェイラが左足に絡んできたところで、マシエルが上から前転、そのままオリヴェイラの背中につくことに成功したのだ。

座り込む形となったオリヴェリラに背後から襷掛けグリップを作って寝かせたマシエルは、やがて右腕を取っての腕十字に移行。オリヴェイラのグリップを切って完全に腕を伸ばした。

絶体絶命に見えたオリヴェイラだが、右腕を伸ばされたまま上体を起こすと、そのまま前転して脱出して上に。すぐさま目の前にあるマシエルの右足をとってストレートフットロックで反撃に出た。すかさず同じ技で対抗するマシエル。

そのまま試合は両者による足関節の取り合いに。途中、オリヴェイラのトーホールドが深く入った場面があったが、ケネディは耐える。結果、極めきれないまま試合は終了──レフェリー判定は、2-1でマシエルに。

マシエルの上からのベリンボロによる見事なバックテイクと、そこから腕十字を極めかけた鮮やかな動きを考えると、割れたのが不思議に思える判定だった。

が、そのマシエルの強烈なプレッシャーに対抗し続けたオリヴェリラのガードワークもまた、芸術の域に達する素晴らしさ。世界最高峰の軽量級グラップラー二人が、その実力を遺憾無く発揮し、さらにスリリングに極めを狙い合った至上のタイトルマッチだった。


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