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【Special】WithコロナのJ-MMA─01─佐伯繁DEEP代表に訊く「どこのやり方でも、感染リスクがある」

【写真】正解がないなかでのベストを考える(C)KEISUKE TAKAZWA/MMAPLANET

COVID19のパンデミック、地球はニューノーマルの時代を迎えた。日本でも4月と5月の緊急事態宣言を経て、6月から経済活動が再開も、事態が終息することはない。

それでもJ-MMA界はどのスポーツと比較しても、活動を持続し──正解がないなかで予防対策を各々が施してイベントを開催してきた。

そして8月23日にパンクラスが当日の抗原検査で陽性者が出て、イベント中止になった。withコロナの時代と言葉にする必要もなく、MMA界はかつてない状況のなかを生き抜く努力をしている。MMAPLANETでは各MMA大会の新型コロナウィルス感染に関しての現状とこれからを尋ねた。

1人目は、4月と5月にイベントの中止を決め、格闘技界では誰よりも医療現場の現状という視点を持っていた──DEEPの佐伯繁代表に話を訊いた。


──今回、本題に入る前に一つ──8月23日に開催されたDEEP95と96を終え、私が書いたKINGレイナ選手のキックの試合レポートについて、佐伯さんから烈火がごとく怒りの連絡がありました(笑)。

「アハハハ。アレはね、もうね……最初に言うと僕は高島さんと直接話をしたかったから。アレをね、もうねSNSとかでのやり取りをしたくないの。何かあったら直接話す。当事者がちゃんと自分の言葉でやり合うのが一番だから。

そこでもっと拗れることもあるけど、そうやってこれまでもやってきたじゃないですか」

──確かに佐伯さんとはもう5回、6回とそういうことがありました(笑)。自分としても直接、抗議をしてくださるのは本当にありがたいです。当人同士の前にSNSで、意見が出されると真実か遠のき、尾びれ背びれがつくので。

「知っている者同士なら、直接話しましょうってことですよね」

──ハイ。

「そこに関してはウチもJMOCに依頼して、DEEP運営機構として活動をしてもらい、僕には裁定には関与できない規定があります。それはね、競技として当然で。そこを主催者が関与すると、もうこれは競技としておかしくなります。

ただし、選手もこの試合に限らず裁定に不満がある時には僕のところに意見してきます。でも僕は裁定問題に関しては運営機構に預けている形ですので。それがDEEP内部での役割分担ということなんです。

そして僕らが触れられないことがあるなかで、この試合に関しては勝ったKINGレイナから『再戦をしたい』という要望があった。それなら、すぐにでもタイミングがあえば試合を組む。僕らができるのは、そういうことなんです。そこは理解してほしいという部分ですね」

──あのレポートに関して、佐伯さんが文句を言いたくなるのは、重々承知しています。佐伯さんは試合数を限定し、試行錯誤のうえ大会を行った。その一方で、同日開催のパンクラスが当日に試合中止となり、そこに対して『英断』などいう好意的な見方が多かった。対してMMAPLANETではDEEPの試合にいちゃもんをつけている。それは『この野郎』となります。

「もう実際に……これは全部、話題を持っていかれたなとはなりましたよ(苦笑)。僕らは7月のDEEP JEWELSとこないだのニューピア大会をコロナ禍になってから開きました。

分かって欲しいのは、現状ではPCR検査は健康な人は受けられないという事実があるということなんです。症状が見られたり、濃厚接触者だったと判明しないと。そういう場合に保健所に連絡をして、住んでいる地域の病院を紹介してもらってPCR検査を受ける。それ以外では強力なコネがないと、通常は受けることができません。

それに検査結果がでるまで3日待たないといけないです。7月のJEWELSの時は前日に抗体検査をして、そこで陽性になった場合は『明日の試合はできません』ということを選手に伝えていました。

ただし、抗体検査では現状ではなく以前に罹患していたかもしれない選手も陽性になります。現状は問題なくても」

──ハイ。

「それでは選手も気の毒じゃないですか。なのでニューピア大会からは抗体検査を大会の1週間前に受けてもらうことにしたんです。日曜日の大会だと、前の週の金・土・月ですね。

そこで陽性が出た選手はクリニックを紹介して、PCR検査を受けてもらう。そうするとPCR検査を受けた時点で陽性か陰性が分かるので。この場合でも、火曜日や月曜日にPCR検査を受けても、結果が出るのは金曜日ぐらいで、計量前日というギリギリのタイミングなんです。

実際にこの間の大会でも、このケースはありました。抗体検査は陽性で、PCRだと陰性だった。だから試合ができたという実例が既にあるんです。つまりは前日の抗体検査だけだったら、その選手の試合はなくなっていたんです」

──もう、本当に新型コロナウィルスは我々の周囲に存在しているという実例でもありますね。

「そうなんですよ。と同時に、PCR検査は結果が最も確実です。ただし、受けた時点では……ということなんです」

──その通りですね。陰性だったから、その時点で大丈夫。それがずっと大丈夫というお墨付きではないからこそ、繰り返しの検査をUFCやONEなどでもしています。

「そしてホテルに選手やスタッフ、メディアも隔離していますしね。スタッフも陰性の人だけで無観客で行う。それができれば感染のリスクを最も下げることができると思います」

──ただし国内の興行では、そこまでできない。ホテルの隔離以前にPCR検査が一般的に行われていないなかで経済活動を再開させているので。

「PCR検査を当日、試合前にやってすぐに結果が出るという状況にならない限り、隔離をしていても絶対はないですからね。それは現状、不可能で」

──ハイ、だからUFCでも急遽代役選手の検査結果を待つために試合順が変更されるケースもありました。

「その現実に日本の状況を加味すると、もう答はなくなってしまうんです。どこのやり方でも、感染リスクがあるなかでイベントを行っているので」

──一般社会もそうですね。無症状の人がいて、経済活動を再開することで、感染が広まるわけですし。正解はなく、ロシアンルーレット状態です。だからこそ、各プロモーションの方たちには最善を尽くしていただくしかいないといけない。

「それが興行という部分でいえば、いきなり大会がなくなるというのはリスクが高すぎます。当日に隔離したなかでPCR検査を行い、陽性者が出た場合はその選手の試合を外すということが今は日本ではできないですから。

そういうなかで、何をやるのかということになると、今のDEEPのやり方は先ほども言ったように1週間前に抗体検査をして、陽性だった人はPCRを受けてもらい計量までに結果を出す。そうやって炙りだすというか、篩い落とすというか。それが今の僕らの選択です」

<この項、続く>

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