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【ONE110 No Surrender II】ポンシリと対戦、タイ在住=藤沢彰博─01─「決まった時間に食事が部屋に」

【写真】3連敗中、ONE生き残りを賭けて地元で戦う藤沢 (C)MMAPLANET

14日(金・現地時間)に中継されるONE110「No Surrender II」。タイはバンコクのインパクトアリーナで収録された6試合からなる大会で、バンコク在住日本人ファイターの藤沢彰博とポンシリ・ミートサティートのキャッチウエイト戦がラインナップに加わっている。

ONE参戦から2年を経て、コロナ禍で掴んだ地元バンコクでの試合に先駆け、藤沢にロックダウン下のバンコクと格闘技の練習、そしてミートサティート戦に向けて試合前に収録していたインタビューをお届けしたい。

これまでとは違うファイトウィークを過ごす藤沢から、ONEの感染予防対策も含めて尋ねた。


──当初の予定はDark Seriesの名称で収録された試合を後日中継するという話で誕生した中継マッチ。オファーがあった時はどのように思いましたか。

「噂でシンガポールかバンコクというのを聞いていて、タイなら在住の外国人選手なのでチャンスはあるかなと期待はしていました。他の選手も試合を欲しているなかで、自分に機会が巡ってきたことは非常にありがたいです」

──オファーはいつ頃にあったのですか。

「6月の終わりですかね。最初はフライ級でオファーがあり、それから相手がポンシリ選手になって契約体重でどうかという形で尋ねられました。ストロー級までは厳しいので、59.5キロで戦うことになりました」

──通常より2キロほど軽いですね。調整は難しくなかったですか。

「自粛期間で痩せていたので、大丈夫でした」

──エェ……太るのではなく、痩せたのですか!!

「仕事も行けない状態の時とかでも、家の周りをランニングしたり、ウェイトはやっていたので。それと外食ができなくなり、自炊がメインになると普通に過ごしていると自然に痩せたんです。外食より、自分で創ると体のことを意識しますしね」

──なるほど。新型コロナウィルスの感染拡大は日本でも続いていますが、バンコクは抑えることに成功している。よってONEもバンコクから再スタートとなっていますが、なぜタイで感染拡大をここまで抑えることができたのか、日本でも不思議に思う人が多いです。

「バンコクのロックダウンは3月半ばぐらいに始まって、1カ月半ほど街の機能は止まっていました。バーとか娯楽施設、マッサージ屋さんは3カ月半閉められて。飲食店でも店内飲食ができない状態、ショッピングモールの休館は90日ほどでした。

もともと、タイは持ち帰り文化があって、GRABやフードパンダとかの宅配バイクは増えましたけど。この間、交通量が凄く減ってバンコクの問題だった大気汚染が抑えられて……PM2.5もなくなり空気が綺麗になるほど、街中から人が消えていました」

─ロックダウンという強制に対し、タイの人々が従順するというイメージもなかったです。

「基本的に新型コロナに対する恐怖心が、日本人より強いですね。今でも外国人に入国してほしくないという人が9割を超えています」

──観光立国でありながら!!

「やはり軍事政権というのもあって、御上のトップダウンの決定は文句を言いながら従いますね。なかには違反する人もいるけど、欧米と比較すると少ないと思います。凄くビビっていますから」

──では格闘技の練習もスパッとしなくなるような形だったのですか。

「まぁ……家で陰練習とかは、個人宅でやるというのはあったでしょうね。少人数でタウンハウスを使って……あまり大きな声ではいえないけど、米国と同じようにプロ練習はしていましたね」

──7月から娯楽施設も開放されるとなると、タイの人達の新型コロナへの恐怖感は軽減したのですか。

「マスクをしている人は多いですね。逆にマスクをしていないとほとんどの建物に入ることができません」

──酷暑のタイでも、それがニューノーマルになったのですか。私の場合は空気が汚くてマスクをすることが多かったですが、ホテルの横にある屋台に行くだけでも酸欠になりそうな感じでしたが……。

「大変ですけど、僕も外出するときは必ずマスクをしています。そこは徹底しています。外国からの帰国者も一部のVIPを除いては2週間の隔離が絶対ですし」

──一部のVIPを除いて……ですか(笑)。

「そのVIPからバンコクと地方の方で感染者が出て、大騒ぎになっていました。外交官の娘とか……軍人が隔離なしで入国し、無症状で陽性だったんです。地方の方はもう近隣の200ぐらいの学校が休校し、ホテルも9割ぐらいがキャンセルされたようです」

──なるほど有事になると強い軍事政権なのですね……少し複雑ですが。PCR検査も多く実施されているのですか。

「日本ほど高くないですが、タイの物価で考えるとそれなりの値段が掛かる感じでできますね。ただ、症状が出ていないと公立の病院では受けることができなくて……。検査をして陽性か陰性が分かるのがベストですし、今回の試合に向けてONEでは3度PCR検査が実施されました」

──それは安心度が高まりますね。

「ホテルに入った翌日、2回の計量前に。だから僕ももう1度、PCRが残っています。徹底していますね。基本的に外に出ない。3食決まった時間に食事が部屋に運ばれてきて……本当に隔離されているような感じです。ここまで徹底しているのは、凄いです。陰性でないと試合はできない。そしてセコンドも別室で、練習の時だけ顔を合わせる。国内は感染者がゼロの状態なのに、ここまでやっていると不安はないです」

<この項、続く>

■ONE No Surrender II対戦カード

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス(タイ)
ロドレックP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

<キックボクシング・バンタム級/3分5R>
レオ・ピント(フランス)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<59.5キロ契約/5分3R>
ポンシリ・ミートサティート(タイ)
藤沢彰博(日本)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ソーグラオ・ペッティンディーアカデミー(タイ)
ポンシリP.K.センチャイムエタイジム(タイ)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)
ジョン・シンク(英国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ファン・ディン(中国)
ファディ・カレッド(チュ

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