【UFC109】ヘンゾ門下から、ホーレス・グレイシー出陣
6日(土・現地時間)に行なわれるUFC109「Relentless」では、グレイシー一族がオクタゴンに帰ってくる。2006年5月のホイス・グレイシー以来、3年9カ月ぶりにオクタゴンで戦うのは、ヒクソン以前の最強のグレイシー、ホーウス・グレイシーの息子ホーレスだ。
【写真】グレイシーらしく眼光鋭いホーレス。打撃は今回の対戦では、問題になることはない可能性も高く存分に本領を発揮できるステージが用意された(C) ZUFFA
UFCファウンダーの一人、ホリオン・グレイシー一家とは距離をおくヘンゾ・グレイシーの一門で成長したホーレス。ホリオンはエリオの息子で、ヘンゾはそのエリオの長兄カーロスの孫に当たる(父はホビオン・グレイシー)。
グレイシー一族は、カーロス&エリオから前線から退いたのち、カーロス系のグレイシー・バッハ(ホーウス→カリーニョス)、エリオ系のグレイシー・ウマイタ(ホリオン、ヒクソン、ホイス、ホイラーら。現在はホリオン、ホイス、ヒクソンに親交はなく。昨年亡くなったエリオの直系はホリオン・グレイシー一家とされている)、故カーウソン・グレイシー(血族に関係なく、数多くの門弟を育て、BTTの中心となったムリロ・ブスタマンチ&マリオ・スペーヒー、ATTのヒカルド・リボーリオ、ジャングルファイトを運営するヴァリッジ・イズマイウらを育てた)の3派に実質、分かれて成長してきた。
カリフォルニアを拠点においたホリオンに対し、東部ニューヨークに拠点を創ったヘンゾ。彼の下にはホーレスの実弟イーゴリー、父が違う義弟グレゴー、そして従兄にあたる英国在住のホジャーなど、バッハ系のグレイシーが集結している。
またヘンゾの教え子ではマット・セラや、ヒカルド・アルメイダらが既にUFCデビューを飾っており、カート・ペリグリーノやフィリップ・ノヴァーのヘンゾ門下のUFCファイターだ。
ヘンゾ自身が4月10日のアブダビ大会でUFC出場を果たすことが決定しているが、まずはヘビー級でホーレスがカーロス・グレイシー一派から、初めてオクタゴンに上がることとなった。
既に31歳のホーレス、これまでのMMA戦績は3勝3敗で、IFLと中国のMMAイベント=アート・オブ・ウォーで戦ってきた。オープニングファイトで対戦するムスタファ・アルトゥルクは、UFC連敗中のグラップラー。2005年ADCC欧州予選で優勝しているとはいえ、ホーレスにとって組みしやすい相手といえるだろう。
一見、冷静に戦うエリオ一派と比較し、ヘンゾやハウフ、故ハイアンなど感情を表に出すアグレッシブなファイターが多かったが、一世代下になると、ホジャーのようにポーカーフェイスのグレイシーが増え、ホーレスも同様に淡々とグラウンドで仕留めるタイプだ。
とはいえ、そのポーカーフェイスの下で、ホーレスは違った一面を隠し持っている。98年のブラジリアン柔術世界選手権紫帯無差別級決勝で、対戦相手のフェルナンド・テレレに三角絞めを仕掛けられ、反則のスラムを犯して反則負けに。その裁定に我を失った彼はレフェリーに手を出し、叔父の国際ブラジリアン柔術連盟代表カーロス・グレイシーJrから1年間の出場停止処分を受けたこともある。
もちろん頭に血が上っていてはUFCで勝利を得ることは難しくなるが、内なる闘志を胸にクールに戦うよう成長したホーレス、果たして、15年2カ月振りにUFCで勝ち名乗りを受けるグレイシーとなれるか注目が集まる。