この星の格闘技を追いかける

【UFC198】アンデウソン・シウバの詠春拳ファイトを目に焼き付けよう!!→が一転、大ショックの欠場に

Andeson Silva【写真】アンデウソン・シウバが地元でどのようなファイトを見せるか。その目に焼き付けて起きたかったが……(C)MMAPLANET

ブラジルMMA史上空前のラインナップが揃ったといっても過言でないUFC198「Werdum vs Miocic」の開催が今週末に迫って来ていたが、ここに来て日本時間で今から1時間50分ほど前にアンデウソン・シウバの欠場をUFCがツイッターで発表、その後公式ホームページにも欠場が明らかとなっている。現地時間の9日に腹痛を起こしたアンデウソンは、急性胆のう炎だったという話も一部で出ているが、オフィシャルでは原因には言及しておらず、対戦相手のユライア・ホールの代役が探しているが、見つかるかどうかは不明という風になっている。いずれにせよ、14日(土・現地時間)、ブラジル・パラナ州クリチバのアレナ・デ・バイシャーダで開催される同大会はメインのファブリシオ・ヴェウドゥムがスタイプ・ミオシッチの挑戦を受けるUFC世界ヘビー級選手権試合を筆頭に、ブラジリアン・オールスターという面々が揃っていただけに残念極まりない状況に陥ってしまったことにななる。

ヘナト・モイカノ・カルネイロ、ヴァルリー・アウベスという新鋭系、マウリシオ・ショーグン、ホジェリオ・ミノトゥロというレジェンド系、そして働き盛りのデミアン・マイア、ついにオクタゴン登場を迎えたクリス・サイボーグと、後ろに控えた3試合までにすでにお腹いっぱいのカードが連続する。そんな満腹状態で2014年ワールドカップの会場だったサッカー場に詰めかけたファンが食すのはデザートではなくてメインディッシュ3皿目の一つ、アンデウソン・シウバの予定だった。現在ではLA在住のアンデウソンだが、ご存じのようにシュートボクセ在籍時代からずっとクリチバを拠点としており、奥方もクリチバの日系ファミリーで育ったご当地ファイター。UFC世界ミドル級王座を10度防衛、正真正銘の生ける伝説もクリス・ワイドマン戦の連敗と負傷、復帰戦における薬物使用と堕天使のごとく、栄光から転がり落ちていた。

しかし、アンデウソンはその栄光の日々がまやかしの歴史でなかったことを今年2月のマイケル・ビスピン戦で証明していた。結果こそ判定負けだったが、その裁定への数々の疑問以上に彼がオクタゴンのなかで見せたパフォーマンスこそ、今もアンデウソンがレジェンド枠でなく、世界最高峰のヘッドライナーたる実力の持ち主であることを見せつけていた。確かにかつてのマジシャンのような足捌き、一瞬の閃きで試合を終わらせるという所業は見られなかった。ただし、それを補って余りある飽くなき勝利を欲する姿勢が、新しい魅力となっていた。圧巻はケージを背にして、まるで木人を相手に打ち込みを行うような詠春拳戦法だ。

ケージを背負い、両足を揃えて、爪先も前方を向いている。そんな状況でビスピンの攻撃を捌き続けた。UFCといえども、あんな動きはアンデウソン以外に誰も見せることができない。確かにビスピンは打撃一辺倒でテイクダウンという戦法を取らなかった。その結果、ヴィトー・ベウフォートを一瞬のうちに沈めた前蹴りなどなど、目に見えぬプレッシャーによって距離を潰すことが憚れたファイトとなった。まさに背水の陣を敷き、ビスピンの行く手をアンデウソンは阻んでいた。そんなアンデウソンが地元で迎える予定だったホール戦……。

昨年11月のメルボルン大会ではビスピンの代役出場で急遽ロバート・ワイッタカーと戦い判定負けを喫してしまったが、その2カ月前に日本でゲガール・ムサシを戦慄のスピニングバックキック&飛びヒザで倒していることは今も記憶に新しい選手だ。打撃のプレッシャーでいえばビスピンの比ではない。その分、守りに粗があるともいえるが、アップライトの構えでじりじりと前進し、足を使って回る相手に放つ後ろ回し蹴りは軽量級と遜色ないスピードを持つ。パワーとスピード、31歳のホールは今もフィジカルの権化。そんな相手に対し、アンデウソンがどのようなファイトを展開するか──、恐らくは地元で戦う最大、最後のファイトということもありえただけに、心底残念──そして大ショックな欠場となってしまった……。

■UFC198 対戦カード

<UFC世界ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)
[挑戦者] スタイプ・ミオシッチ(米国/2位)

<ミドル級/5分3R>
ジャカレ・ソウザ(ブラジル/2位)
ヴィトー・ベウフォート(ブラジル/3位)

<140ポンド契約/5分3R>
クリス・サイボーグ(ブラジル)
レスリー・スミス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
マウリシオ・”ショーグン”・フア(ブラジル/8位)
コーリー・アンダーソン(米国/12位)

<ウェルター級/5分3R>
デミアン・マイア(ブラジル/6位)
マット・ブラウン(米国/8位)

<ウェルター級/5分3R>
ヴァルリー・アウベス(ブラジル)
ブライアン・バルベレナ(米国)

<ミドル級/5分3R>
ネイト・マーコート(米国)
チアゴ・マヘタ・サントス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
ロブ・フォント(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル/10位)
ヤンシー・メデイロス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
セルジオ・モラエス(ブラジル)
ルアン・シャゲス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ヘナト・モイカノ・カルネイロ(ブラジル)
ズベア・トホゴフ(ロシア))

PR
PR

関連記事

Movie