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【American National】ヘイジの『野球絞め』は通用するのか!!

Florian, Uno and Albert

【写真】8月某日、宇野薫が米国出稽古の旅の途中にケニー・フロリアンのプライベートを受けた際、快く練習場所を提供してくれたのが、グレイシーバッハ・バーバンクを主宰するアルバート・クレーンだ。彼も柔術縁の地のトーナメントに出場する(C)MMAPLANET

今週末の7、8日(土&日・現地時間)、国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)主宰のアメリカンナショナル柔術選手権がカリフォルニア州カーソンのUCLAドミンゲスヒルズ校体育館で開催される。2002年の第1回大会以来、常に同会場で行われてきたこの大会。来年からは南カリフォルニア以外の地で開催されることになるという。

柔術界の聖地グレイシー・アカデミーは、同体育館から徒歩で移動な可能な場所にロケーションがあり、そんな距離的関係からか2002年の第1回大会にはヒーロン、ヘナー、ハレックのホリオン・ファミリー3兄弟が揃って参戦している(ヒーロンはアダルト茶帯スーパーヘビー級でマイク・ローズに敗れて準優勝。ヘナーはアダルト茶帯ヘビー級で優勝。茶帯の無差別級は兄弟でワンツーフィニッシュを決めている。当時16才のハレックはアダルト青帯ミドル級で3位入賞している)。以後10年以上にわたって、南カリフォルニアの柔術シーンを担ってきたのがこの大会だ。

今回、この地での最後の開催を飾るに相応しい注目選手が揃った。アダルト茶帯ミディアムヘビー級には、現在世界最強の茶帯の呼び声の高いキーナン・コーネリアス(アトス)がエントリー。自分の階級はもちろん、無差別級においても群を抜いた優勝候補のキーナン。ミヤオ兄弟が黒帯昇格した今、彼を止めることのできる茶帯選手は存在するのか?

アダルト黒帯ライト級には、世界的プロサーファーにして、柔術家としても4年前の同大会でハニ・ヤヒーラから一本勝ちを上げた実績を持つジョエル・チューダー(サーファイト)や、色帯時代からキーナンやパウロ・ミヤオと激闘を繰り広げてきたAJ・アガザーム(グレイシー・バッハ)がエントリー。さらに、ひたすら下からの腕十字のみを狙い続ける在米韓国人チョイ・ワンチョイ(アトス)の名もある。

このチョイ、8月に来日し柔術プリースト主宰の「TOKYO IPPON FESTIVAL 2013」 に参戦、杉江アマゾン大輔に敗れている。そして今回、もっとも注目すべきはアダルト黒帯ミドル級だろう。エントリー数は4人だが、この4人全員が将来を期待される若手黒帯選手である。

中でも高い知名度を誇るのは、来日経験も多いジョナサン(JT)・トレス(アトス)。今年24才になったばかりのトレスは、2011年のムンジアルアダルト黒帯ライト級3位、2012年ヨーロピアン選手権黒帯ライト級準優勝をはじめとして多くの実績を誇り、すでに世界トップ柔術家の仲間入りを果たしている。強靭な握力を誇るとともにバック・グラブの能力には定評があり、この技術に特化した教則DVD をリリースしているほど。

スパーリングにおいて、マルセロ・ガウッシアから完全にバックを奪ったシーンが関係者の間で話題になったこともある。そのトレスと初戦で戦うのは、ハウフ・グレイシーの秘蔵っ子ショーン・ロバーツ(ハウフ・グレイシー)。かつてノーギの試合において、前UFCライト級王者のベンソン・ヘンダーソンを下からの三角締めで秒殺したことで注目を集めたこともある、この選手。昨年末、ロイド・アーヴィンが全米から若手有望茶帯12名を集めて開催した過酷な総当たり戦「BJJ Kumite」のギ部門においては、キーナン・コーネリアスを除く全員を倒して準優勝に輝いている。今年の3月に黒帯昇格を果たして以来、初のビッグタイトルを狙いたいところだ。

もう一つのブロックには、今年のパン&ムンジアルの両大会においてアダルト黒帯ミドル級3位入賞を果たしたヴィトー・エンリケ(GFチーム)がエントリー。攻撃的な柔術を身上とするエンリケは、昨年のムンジアルでは最後はヒザ十字で一本負けをきっしたとはいえ、ビル・クーパーと大激闘を展開して一躍名を上げた。今年に入り、パン大会とムンジアルでさらなる躍進を遂げたエンリケこそ、優勝候補筆頭と言えるかも知れない。

そのエンリケに立ちはだかるのは、今年早々柔術界の話題をさらったマジッド・ヘイジ(グレイシー・バッハ)。弱冠19才にして、1月に行われたアブダビ・ワールドプロ北米予選に出場したヘイジは、ザック・マックスウェル、クラーク・グレイシーという二人の強豪選手を下からのベースボールチョークで仕留めている。特に、クラーク・グレイシーを開始早々失神させたシーンの衝撃は大きく、この技への注目度が一挙に上昇したほどだ。ヘイジはすぐにこの技の教則DVDとiPhoneアプリをリリースすることになった。必殺技が世に知れ渡ってしまった今、どんな戦いを見せてくれるのか。

このように柔術界の未来を担う若手黒帯の試合が行われる一方、シニアクラスには元パンナム王者パウロ・ギロベル(ヒベイロ)や、アルベルト・クレーン(バッハ)など往年の名選手もエントリーし、生涯柔術が実践される場ともなる。8日にはノーギ部門の試合も行われるアメリカン・ナショナルズ大会、この地における最後を飾るにふさわしい盛り上がりを期待したい。

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