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【UFC190】オクタゴン初陣、ジェシカ・アギラーが2月に語っていたこと……<02>

Jessica Aguilar【写真】所属するATTで。柔術コーチのマルコ・パフンパの愛弟子といえる存在だ (C)KEITH MILLS

8月1日(土・現地時間)、ブラジルはリオデジャネイロのHSBCアリーナで行われるUFC190「Rousey vs Correia」でオクタゴン・デビューを迎えるジェシカ・アギラーに2月に行なったインタビュー後編。

UFCと契約する3カ月前に、彼女はUFCで戦っていない女子MMAファイターについてどのように語っていたのか。藤井恵と戦った2試合、そして日本の想いでと、レズビアンであることを公表している胸の内を尋ねた。
Text by Keith Mills

<ジェシカ・アギラー インタビューPart.01はコチラから>

──メグミ・フジイとの2試合には、どんな思い出が?

「最初の試合からして、メグミとの試合は本当に特別なモノよ。なんせ私のアイドルで、オールタイム・ベスト女子MMAファイターと相対していたんだから。彼女はこの星の全ての女子MMAファイターの基準になっている。そして、素晴らしいプロフェッショナル気質の持ち主なの。メグミとの試合は『WOW』って表現するしかないわ(笑)。

ATTの黒帯柔術家とトレーニングを重ね、ストレングス&コンディショニング・トレーニングによって自信をつけて、彼女との試合の臨むことができた。それでもメグミの寝技は本当にスピードがあった。他の女子選手だと絶対に狙ってこない場所からでも関節技を仕掛けてきたし。とにかく集中力を高め、ミスをたったの一度もしないよう戦ったの。

2度目の試合は、それ以上に特別なモノになったわ。本当に彼女のことを尊敬していたし、プロとして当然のように再戦に応じたの。それに日本で戦うことで、彼女のリベンジをしたいというモチベーションの高さを感じ取ることができていたし。何よりもメグミの引退試合だったんだから。女子MMAで誰もが知っているベストファイター、いえ女子MMAという枠を超えた存在だった彼女と、再び戦うことができる機会をみすみす逃すなんて考えはまるでなかった。

そしてチームもいつも通り、素晴らしい作戦を立ててくれたわ。だから最初の試合よりも、自信を持って彼女と向かい合うことができたの。打撃戦でテイクダウンを狙う彼女をコントロールできたし、それが今の私のスタイルに通じているといっても過言ではないわ。

日本への遠征はいつだって素晴らしい思い出になっている。特にVTJでメグミと試合をした時は母も一緒に日本へ行けたので最高だった。日本は食べ物も人々も文化も、本当に最高ね」

──色々な思い出があるようだね。

「私が初めて日本へ行った時、東日本大震災があったの。そして大会は中止になった。2度目はJZが大晦日に戦った時、3度目がメグミとの試合だった。地震の時でさえ、日本の人々の色々な良い面を知ることができたし、本当に日本のことが大好きなの」

──文化といえば、試合のときにルチャリブレのマスクを被ることがあるね。

「ルチャリブレのマスクって楽しいし、シリアスなだけでなく皆にファイトを楽しんでほしいと常に思っている。ルチャリブレはメキシコで凄く人気が高いし、サッカーやボクシングのようなモノ。アズテック文化は、私のルーツを示しているの。

私のルーツはメキシカン、凄く大切にしている部分よ。両親は揃ってメキシコ生まれだし、大家族で、とてもハードに生きていた。良い生活を求め、国境を越えたの。年端もいかなかった私を米国で生活させてくれて本当に感謝している。メキシコでは女性はあまりスポーツをしないから、そんな部分でもメキシコの女性たちに刺激を与えたい。それにはMMAでメキシコ人女子として、チャンピオンベルトを巻く姿を見せるのが一番よ」

──ところでインターネットメディアのハフィントントン・ポストでは君が正真正銘のレズビアンだと報じていたけど……。

「私はLGBT(Lesbian/Gay/Bi-Sexual/Trans-Gender)社会を絶対的に支持するわ。去年はLGBTにアスリートを代表して招待を受け、凄く光栄だった。素晴らしい面々と一緒にステージに上がってトースティングをしたのよ。私は彼らのスポークスマンでありたいし、レズビアンであることを隠すことはないわよ」

──そのカミングアウトでネガティブな印象を与えると思うことはなかった?

「ノー。私の人生は凄く幸運だったし、いつも感謝している。もちろん、私の生き方に賛同できない人達は常に存在していたわよ。でも、私は私だし、自分のストーリーを皆と共有したい。特にそんなストーリーを共有したいと思っていない人たちとね。何も問題なんてないわよ。だって、何も悪いことはやっていないし、それが私の生き方なんだから」

──では最後に、UFCで戦う機会のないハイランクの女子MMAファイターの立場についてどのように思っているのだろうか。

「私たちの時代は男女を問わず、何か一つのスタイルをベースとして、他の戦い方を学んでMMAで戦っていたわ。でも、今は純粋にMMAファイターになるためだけにトレーニングを積む時代になった。そして、どの階級でもUFCが最大の規模を誇っていることは確かよね。ファンだってベストファイターが集う、ベストショーが見たいはずよ。

ほとんどのクラスで一番にランクされているファイターはUFCと契約していることに驚きはないはず。ファイターもUFCも、ベストの中のベストを望んでいるんだから。

単刀直入にいえば、UFCで戦っていなくて今後の女子MMAを支えていくタレントはいくらだって存在しているわよ。どこのプロモーションだろうと、ベルトを持っているベストファイター同士が、誌面上でなく頭と頭を突き合わせて、どちらが強いのかハッキリさせるべき。全ては上手くコトが運び、ベストファイターがケージで勝利を収めることを笑顔を浮かべて信じている。それだけよ」

■UFC190対戦カード

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ロンダ・ラウジー(米国)
[挑戦者] ベチ・コヘイア(ブラジル/7位)

<ライトヘビー級/5分3R>
マウリシオ・“ショーグン”・フア(ブラジル/8位)
アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(ブラジル/11位)

<TUF Brazil 04 ライト級T決勝/5分3R>
グライコ・フランサ(ブラジル)
フェルナンド・ブルーノ(ブラジル)

<TUF Brazil 04 バンタム級T決勝/5分3R>
ジレノ・ロペス(ブラジル)
ヘジナウド・ヴィエラ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ステファン・シュトルーフ(オランダ/15位)
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
アントニオ・ペイザォン・シウバ(ブラジル/12位)
ソア・パラレイ(豪州)

<女子ストロー級/5分3R>
クラウジア・ガデーリャ(ブラジル/2位)
ジェシカ・アギラー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
デミアン・マイア(ブラジル/6位)
ニール・マグニ―(米国/14位)

<ライトヘビー級/5分3R>
ハファエル・フェイジャォン・カバウカンチ(ブラジル/10位)
パトリック・カミンズ(米国/14位)

<ウェルター級/5分3R>
ヴァルリー・アウベス(ブラジル)
ノーディン・テレブ(カナダ)

<バンタム級/5分3R>
ユーリ・アルカンタラ(ブラジル)
レアンドロ・イッサ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ヴィトー・ミランダ(ブラジル)
クリント・ヘスター(米国)

<バンタム級/5分3R>
ウゴ・ヴィアーナ(ブラジル)
ギド・カネッティ(アルゼンチン)

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