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【UFC184】ド迫力&ド根性=キャット・ジンガーノがロンダ・ラウジーのベルトに挑む

Cat Zingano【写真】計量で見せる笑顔とオクタゴン内は別人? あのミーシャ・テイトの心が折れたのは2度目のロンダ戦と、このジンガーノとの戦いだけだ(C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのステイプル・センターで開催されるUFC184「Rousey vs Zingano」。大会名通り、メインでロンダ・ラウジーの持つUFC世界女子バンタム級王座にキャット・ジンガーノが挑む。

女子MMAという分野を確立したといっても過言でないロンダ、MMA戦績10戦10勝、うちストライクフォース時代も含め世界戦は6試合と半分以上がタイトルマッチという他に例を見ないキャリアを積み重ねている。UFC女子バンタム級王座は今回が5度目の防衛戦となるロンダは、誰よりも柔道の投げをMMAに融合させたファイターといえる。アレクシス・デイビスを失神に追い込んだ払い腰を始め、その払い腰との連携も冴える小外掛け、さらに大内や小内、ミーシャ・テイトには左腕を差して大腰も決めている。亀の相手には横三角のように体を返していくという動きを日常的にMMAで使うもロンダぐらいだろう。

そのロンダの投げは左手が前の場合が圧倒的に多い。打撃として構えはオーソドックス、組みではサウスポーといったところだ。柔道の投げの特徴は、クリンチ状態、つまり体の接地面が多い状態で仕掛けるという点にある。そのために打撃戦をクリアしないといけないが、これまでロンダはほとんどパンチを被弾していない。右からパンチを振るい、胸を合わすように組みつくと、最近では目に見えてボディへのヒザが力強さを増している。腹を効かせて投げとダメージを与えているので腕十字だけでなく、パウンドにつなげるという展開も増えてきた。

そんな強さを見せるロンダだが、ジンガーノも組んだ状態でのヒザ蹴りが強いため、これまでのような立ち技のリズムで攻めることができるか、ここがまず焦点となる。ジンガーノを一言で表すならば、気持ちが強いということ。レスリングがベースで、柔術でも結果を残している。その一方で、テイクダウンを奪われるケースは多い。テイクダウン能力も高いが、倒さる数が多いのがガードワークに自信を持っているからだろう。

スロースターターなので序盤に攻められることが多く、危ないシーンは幾度となく経験している。その度にガードワークを駆使して逃れ、絶対に盛り返していく。そして、相手が疲弊したり、気持ちが弱くなると怒涛の攻撃を仕掛ける。この詰めの激しさは、王者を上回るといっても過言でない。特にパウンドやヒザ蹴りなど、荒っぽい攻撃ではその迫力はエリート・アスリートのロンダを上回る。

リズ・カモーシェやミーシャ・テイト戦でしか、相手に攻め込まれた経験がないロンダだけに、いってみればタフな攻防、せめぎ合いの経験値は少ないといえる。もちろん、苦戦する必要がない強さをロンダは誇示してきた。それだけに、ジンガーノのタフさをモノともせず最初のチャンスをフィニッシュにつなげることも十分に考えられる。だからこそ、耐えて形勢を逆転することで勢いづくジンガーノのようなファイターと戦うと、どうなるのか注目したい。

世界の頂点を争う戦いに相応しい地力を両者とも持っている。と、同時にMMAでは11戦目のロンダと10戦目のジンガーノだけに、まだまだ底を見せていない。そんな両者の対決は、持ち得る潜在能力の高さも勝負の鍵を握っている。ファンも対戦相手も予想していなかった技で勝負が決することもが、十分にありえる──女子MMA最高峰の戦いだ。

■ UFC184対戦カード

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ロンダ・ラウジー(米国)
[挑戦者] キャット・ジンガーノ(米国/1位)

<女子バンタム級/5分3R>
ラケル・ペニントン(米国/12位)
ホーリー・ホルム(米国/13位)

<ウェルター級/5分3R>
ジェイク・エレンバーガー(米国/11位)
ジョシュ・コスチェック(米国)

<ウェルター級/5分3R>
アラン・ジョバーン(米国)
リチャード・ウォルシュ(豪州)

<ライト級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
グレイゾン・チバウ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
マーク・ムニョス(米国/13位)
ホアン・カルネイロ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ロマン・サラザール(米国)
山本 “KID” 徳郁(日本)

<ウェルター級/5分3R>
ディエゴ・リマ(ブラジル)
ティム・ミーンズ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
デリック・ルイス(米国)
ルアン・ポッツ(南アフリカ)

<ライト級/5分3R>
ジェイムス・クラウス(米国)
バウミウ・ラサーロ・ビドゥ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
マシオ・フーレン(メキシコ)
アレックス・トーレス(コロンビア)

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