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【Column】MMAを伝えるということ──Abema TVの格闘技番組制作グループが尿比重を測りました

2020.02.26

Minami kun【写真】汗ビショでなぜか笑顔を浮かべる、この細身の男性と背後の数値は????(C)MMAPLANET

過日、Abema TVの格闘技班、西達彦アナウンサー、解説の大沢ケンジさんと──減量、ハイドレーションに関する勉強会を行った。

Abemaのスタッフは多忙のなか時間を見つけては──過去にも、「MMAの成り立ちと現状に至る歴史」、「MMAルールの変遷、ユニファイドとONEにおける判定基準の違い」、「アジアの土着格闘技文化と現状のコンバットスポーツの関係」、「日本は本当にMMAのルーツなのか」、「立ち技格闘技のスタンスの違いとMMA」、「MMAのおける柔術&レスリング」等々をテーマに、この勉強会を開いてきた。


資料や映像を見ながら、それぞれのテーマについてディスカッションを行う。基本姿勢は「高島学のMMA主観に則して、MMAを知ってもらう」が、あくまでも知識として知ってもらい──その使い道は、彼ら次第。Abemaのターゲット層にMMAを伝える材料にしてもらうということだ。

ジェネラルに訴えるうえで、専門知識に取り固まった伝え方はできない。ただし、ライト層にMMAを伝えるからといって、伝える側の知識がライトで良いということではない。ぶっちゃけな話、今日日の格闘技専門メディアでも、ここまでMMAと向き合っているとは思えない。進化し続けるMMAに取り残されているのが現状だ。

そんなAbema格闘班の勉強会で、実は美女の温泉巡り番組を創ることが大好きな南和輝ディレクターが大汗をかき、目の前に書き出された数字に満足してなのか、単に被写体になったことの照れなのか笑みを浮かべている──。

今回の議題は前述したように「減量とハイドレーション」。

まず恐らくは水抜き減量の過酷さと、人間の脆さを最も映像で世に伝えたTUF18のコディ・ボーリンガーとアンソニー・グティエレスの脱落劇を鑑賞してもらった。ここから水抜き減量をMMAが取り入れる以前に存在した「あしたのジョー=力石徹シンドローム」を振りかえる。

飲み食いをストップし、飢餓にも負けない精神力で栄養失調を乗り切る時代を経て、今ではAbemaの製作スタッフである元プロシューターの椎木努さんの現役時代の減量方法、そして水抜き前夜から水抜き後の大沢さんの体験談を聞かせてもらい、ハイパーダイエット&ハイパーリカバリーの時代を振り返った。

食べて飲んで、一気に落とし、急激に戻す時代。専門知識が必要な減量にあって──誰もが過酷な水抜きに挑み、そして起った減量時の2つの死亡事故。これを経て、ONEが用いた通常体重に近いウェイトクラスとハイドレーションを採用したことで、水抜きを禁じるようになった流れと勉強会は進んだ。

ただし、一般人ならダイエットはしても、ハイドレーションなど誰も経験したことがない。いやONEに出場している選手以外は、ほぼ日本のMMAファイターも尿比重を測ったことなどないだろう。

そこで、今回は南ディレクターが勉強会の途中で、サウナへ行き──汗出しする前の体重と尿比重をチェック、サウナから道玄坂をダッシュで下りて、勉強会の場所に戻り体重と尿比重を再びチェック。さらに水を1ℓ飲んでから3度目となる尿比重を測るという実体験をしてもらった。

サウナ後は代謝が良く南ディレクターは水を飲んでいる状態でも汗が出続けていて、この数値には誤差はあるだろうが──サウナで体重を600グラム落とすと、尿比重は1.018から1.09に跳ね上がった(が、本人が後に見間違えかも──と告白)。

Hydrationそして1ℓ飲んだ後には1.027に下がる。それでもONEのハイドレーションは1.025が上限なので、まだクリアはしていない数字だ。

こんなことをワイワイガヤガヤ、20代から50代の男女10数名が渋谷で行っていたのである。ここから「今度はリカバリーの時に摂る水分を変えてやってみよう」という意見が聞かれた。そう、悪ふざけのなかに探求心が生まれてくる。

細かい歴史や事象を集めて、そこから楽しさを感じ、興味を持つ。

そんな試みをスタッフ自らが経験することで、MMAを世間に広めるための知識と感情を得てもらえれば──。この試みが積小為大となるとは限らないが、自分の経験と知識をシェアしてもらえれば何よりだ。そして勉強会を提案し、この機会を与えてくれた某・北野さんには感謝しかない。

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