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【Quintet FN03】初の女子大会、最注目はマクマンでもカモーシェでもなく──エルバイラ・カルピネン

Karppinen【写真】今大会の台風の目はエルバイラ・カルピネン。10thプラネット・タンペレ(フィンランド)所属の茶帯柔術家だ (C)SATOSHI NARITA

25日(水)、QUINTETより4月7日(日)に立川市のアリーナ立川立飛で開催されるQuintet Fight Night 3 in Tokyo─Female Open Team Championship2019の出場メンバーが発表され、注目&充実のメンバーで集うことが明らかになった。


今回、発表された出場チーム及び選手は以下の通りだ。

【Team BJJ Kunoichi】
湯浅麗歌子、杉内由紀、越後伊織、市川奈々美、澤田明子

【Team Sun Chlorella】
山本美憂、サラ・マクマン、あい、長野美香、TBA

【Team 10th Planet】
リラ・スマジャクルス、ファビアナ・ジョージ、リズ・カモーシェ、グレース・ガンドラム、エルバイラ・カルピネン

【Team DEEP JEWELS】
KINGレイナ、前澤智、富松恵美、奈部ゆかり、青野ひかる

湯浅麗歌子率いる女子柔術チーム=チーム・くノ一、山本美憂がリーダーのレスリング軍団サンクロレラ、そしてエディ・ブラボーの10thプラネット、さらに──佐伯茂代表が「美憂さん、湯浅さん、(DEEP JEWELSが)勝ったらDEEP JEWLESに出てください。負けたら、僕が坊主になります。それとプロ格闘家とは何かをお見せします」と意気込みを語る女子MMA連合軍団と非常にバラエティに富んだ選手が集まる。

JEWELSは柔道ベースがKINGレイナ、前澤と奈部の3選手、富松は柔術、青野はレスリングがベースで他のチームと比較しても、共通項が戦うプロモーションという部分で異質だ。ただし、佐伯代表のいうプロ格闘家という視点で見ると、サンクロレラにはアテネ五輪女子レスリング63キロ級準優勝、UFCで5勝5敗ながらロンダ・ラウジーが保持していたUFC女子世界バンタム級王者に挑戦経験があるマクマン、10thプラネットにも同じくロンダ・ラウジーとUFC女子バンタム級の頂点を争い、RNCを極めかけたカモーシェが属している。

この両者のプロ格闘家の経験は、他の誰よりも上回るといえる。そして、クインテットのルールでに関しては、ノーギ柔術軍団の10thプラネットが最もフィットしていることは間違いない。10thプラネットの足関節への取り組みは日本の柔術界の一歩も二歩も先んじており、2年半前にあの嶋田裕太が10thプラネットの昼の一般クラスに出て、足関節のコンビネーション=打ち込みを紫帯の一般女性会員に指導されるほどだったのだ。

対して日本の柔術女子チームはその足関節技へのトランジッション、ノーギにおけるフィジカル、そしてノーポイント・ルールへの慣れという部分で他に譲ることは否定できないだろう。

ただし、クインテットは引き分けありのチーム戦。この団体生き残り戦の妙が、どのようなスパイスを彼女たちがもともと持つテイストに与えることになるのか。さらにいえばトーナメント組み合わせも勝敗を左右することは間違いない。そんな個人戦とは違う醍醐味のある同大会ながら、あえて最注目の選手を挙げるとすれば──10thプラネットのカルピネンといえる。

2017年のADCC女子60キロ級以下級初戦で、あのマッケンジー・ダーンを相手にスイープ狙いからの足関節、そしてバックトゥバックから上を取り切ったリバーサルで4Pを取り勝利を手にしているカルピネン。

Dead Orchard準決勝でビアンカ・バジリオをヒールフックでタップ直前まで追い込みながらレフェリー判定で敗れ、3位決定戦でもミシェル・ニコリニにデッドオーチャード(ラバーガードから三角クラッチを組み、ラバーの腕を抜いて三角や十字に移行する)を極めかけるも敗退──それでも減量に苦しんだなかで、世界のトップと渡りあっていた。

そんなカルピネンが65キロという通常体重で戦う今大会。フィジカル的にもマクマンやKINGレイナと並ぶ重量級で、テクニック的には道着柔術の経験がほとんどない生粋のノーギ・グラップラーだ。昨年のクレイグ・ジョーンズ、ゴードン・ライアンに続き──女子のグラップリング・シーンから、クインテットを通し日本の組み技界にDEEP IMPACTを与え、佐伯代表を丸坊主にする刺客がカルピネンといえるだろう。

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