【UFC215】前回ドタキャンの王者ヌネス、汚名返上&名誉挽回という意識がシェフチェンコを優位にさせる
【写真】記者会見で顔を合わせたヌネスとシェフチェンコ(C)JEFF BOTTARI/ZUFFA LLC
9日(土・現地時間)、カナダはアルバータ州エドモントンのロジャース・プレイスでUFC215「Johnson vs Borg」」が開催される。メインはUFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンがUFC最多防衛記録を賭けて、レイ・ボーグの挑戦を受ける一戦だ。今大会ではもう1試合、世界女子バンタム級主権試合=王者アマンダ・ヌネス×挑戦者ヴァレンチーナ・シェフチェンコ戦も組まれている。
この両者、7月のUFC213のメインで対戦予定だったが、計量まで済ませていた状態で試合当日に体調不良をヌネスが訴え、両者のタイトル戦はキャンセルされた経緯がある。この件について、精神的な脆さをチャンピオンが指摘されるが、彼女自身はプレッシャーで逃げを打ったことを真っ向否定していた。
ヌネスとシェフチェンコは、昨年3月に対戦しヌネスが判定勝ちを収めている。当時のシェフチェンコはKunlun Fight60キロ級王者、そしてIFMA世界アマムエタイで9度優勝を誇り、立ち技で56勝2敗と抜群な成績を残すストライカーであるがゆえ、レンジの外で組み技を交えて仕掛けてくるヌネスに対し、なかなか距離を詰めることができなかった。
その後、ホーリー・ホルム、ジュリアナ・ペニャに勝利し挑戦権を手にしたが、ホルムですら近い距離で戦う選択をし、シェフチェンコは自分の庭で戦うことができた。そこでヌネスだ。
いわゆるMMAの距離でヌネスはシェフチェンコの打撃を無力化してきたが、それが可能になるのも彼女がいち早く、女子MMA界でウェルラウンダー化を実現させ、一つの局面でずば抜けた破壊力を持つのではなく、全ての局面において平均して高い質を持つファイトを展開できるようになったからだ。つまり待ちのファイトで、相手の勢いを利用したファイトが、一見スーパーアグレッシブなヌネスはできる。
ただし、このMMAレンジとステップを用いることができるヌネスだが、攻めの突破口を開くのは左ジャブから右ストレートになる。本来であれば、挑戦者故に待ちのファイトができず、前に出ないといけないシェフチェンコだが、ヌネスには前回のドタキャンと精神面を指摘されたという背景がある。今回の試合では、ヌネスは汚名返上のために強さを序盤から見せつけるファイトを自らに課すのではないだろうか。
そうなるとシェフチェンコは有利だ。彼女にはヌネスのパンチが見える眼と防御力を有している。もちろん、ヌネスとしては打撃で終わらず組みへという展開を模索してくることは間違いない。打撃は組みへの移行手段、寝技に持ち込んでフィニッシュを狙うかどうかは別として、削って来るのは確かだろう。ここで注目したいのは、ケージを背負った時のシェフチェンコの首相撲、タイ・クリンチだ。ペニャ戦では見事な首相撲&足払いを2種類決め、ムエタイの組みの強さを見せつけている。
前に出て押し込む必要があるヌネスが、如何に頭をチャレンジャーの胸部につけて戦うことができるか。実際に前回の対戦でもシェフチェンコはヌネスの大外刈りを切り返してタップを奪った前例を持つだけに、首相撲に捉えられ、削られるようなことがあると守勢に回った時の脆さもまた危惧される王者だけに王座交代劇は十分に有り得る。
世界戦は5R、そこを踏まえて名誉挽回を図る王者ヌネスがどのような試合の入り方を見せるのか。対して、攻める姿勢が必要なシェフチェンコが如何に自分の距離を構築しようとするのか。最初の距離の作り方、王者が挑戦者をケージに詰めた際の攻防が要注目の女子バンタム級頂上決戦だ。
■ UFC215対戦カード
<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者]デメトリウス・ジョンソン(米国)
[挑戦者]レイ・ボーグ(米国)
<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アマンダ・ヌネス(ブラジル)
[挑戦者]ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(ペルー)
<ウェルター級/5分3R>
ニール・マグニー(米国)
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
イリル・ラティフィ(スウェーデン)
タイソン・ペドロ(豪州)
<フェザー級/5分3R>
ジェレミー・スティーブンス(米国)
ギルバート・メレンデス(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
サラ・マクマン(米国)
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
ヘンリー・セフード(米国)
ウィルソン・ヘイス(ブラジル)
<女子バンタム級/5分3R>
サラ・モラス(カナダ)
アシュリー・エヴァンズスミス(米国)
<フェザー級/5分3R>
ギャビン・タッカー(カナダ)
リック・グレン(米国)
<ライト級/5分3R>
ミッチ・クラーク(カナダ)
アレックス・ホワイト(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ルイス・エンヒッキ(ブラジル)
アージャン・ブララ(カナダ)
<ライト級/5分3R>
ケイジャン・ジョンソン(カナダ)
アドリアーノ・マルチンス(ブラジル)