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【UFC FOX24】防衛記録10に挑むDJ。ヘイスは中盤以降の汗っかきファイトに賭ける

DJ vs Reis【写真】世界で一番強いフライ級が決まる。決め手は防御力とスタミナ、集中力(C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)、米国ミズーリ州カンザスシティのスプリント・センターで行われるUFC on FOX24「Johnson vs Reis」。メインイベントは大会タイトルにある通り、UFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンが10度目の防衛戦で、ウィルソン・ヘイスのチェレンジを受ける。


UFC全階級において、新設された女子フェザー級と並び歴代王者が彼1人しかいないフライ級。2012年9月にジェセフ・ベナビデスを下し、男子で最軽量のベルトを巻くと過去4年間で9度の防衛を積み重ねてきた。これは現役王者最多防衛記録で、UFCの歴史においてもアンデウソン・シウバの10に続き、GSPと並ぶ2位タイの防衛回数だ。現時点で、11を狙うことができる唯一の存在といえる。

そのスタイル的には全ての局面で攻撃でき、かつ融合されており、攻めに境目がない。見落とされがちなのは、攻められることは少ないものの、防御能力が非常に高いこと。打撃がテイクダウンのために作用し、テイクダウンが打撃のために作用する。その動きが世界最速ファイターを謳っても良いほど素早く、加えて正確な動きを繰り返す。

DJに掛かれば、どのトップファイターもラウンドが進む毎に、後手後手に回ることになる。そして、外堀、内堀を埋められ、最後に天守閣を攻められ首を刈られてしまう。完全なるドミネイターであり、勝負の流れを譲ることがない。デメトリウス・ジョンソンと書いて、MMAと読んでも良いほど完成度が高い。

そんなDJに挑戦するヘイスは、2004年のムンジアルでは茶帯ライトフェザー級でクローズアウトにより頂点に立っている柔術ベースの選手だ。その後、フィラデルフィアに移り住み柔術の指導をしつつMMAへ。当初は純粋柔術家MMAのごとく、組んでから勝負し、下になってもハーフガードから見事なスイープでトップを取り返す巧さが光っていた。

キャリア6連勝でエリートXCのバンタム級王者になり、活動停止後にBellatorへ。ここではフェザー級トーナメントに3度出場も寝技に持ち込めない展開でチャンピオンになるファイター=ジョー・ソト、パトリシオ・フレイレには2度、バンタム級でもドゥドゥ・ダンタスに苦杯を喫し、ローカルショーに転じた。

その後のヘイスは2013年9月に代役出場でUFC出場を決めると、3戦目からフライ級に転じ以降は5勝1敗。オクタゴン通算戦績は6勝2敗だ。フライ級にあっても身長が低く、分厚い胸板の持ち主は、サウスポーの構えから迎え撃つ左フック、スピードに乗って素早く伸ばす左ストレート等で立ち技で優位に立つと、一瞬頭が消えたように見えるほど一瞬にしてテイクダウンに入ることができる。

一度組みに入ると、ダブル、バック奪取、正面に回ってダブル、あるいはボディロックから小外掛けと延々とテイクダウン&バックコントールのスクランブルにこうじる汗っかきファイトがヘイスの信条だ。それを可能にしたのは、前述した打撃の進化で中間距離でのパンチからのテイクダウンの流れは一級品といえよう。

ただし、今回の相手はDJ。テイクダウンがすぐに取れる相手ではない。また、バックを取ってもすぐに胸を合わせてきたり、シングルでも足を抜く術に優れている。何より、攻めに意識がいくと逆にテイクダウンを奪われ、スクランブルでもバック、ヘッドロックを許すことになる可能性も低くない。

とにかくヘイスに必要なのは、一本を取れせず外堀を埋められようが、内堀を埋められようが極めさせないことに重点を置いて──3R、4Rを迎えたい。一方的に攻めることに慣れているチャンピオンに対し、中盤以降の15分間で汗っかきファイトに持ち込むことができれば、ヘイスのチャンスは確実に広がる。

そのために序盤の2つは落としても構わない、それぐらいの覚悟と防御力が必要だ。序盤の2つを取るためにスタミナを使えば、まずヘイスに勝ち目はなくなる。少しでもDJを動かし、目を慣らせ、肌感覚で組み技を知る。3R以降に自分から攻めに転じる。そうでない限り、DJがアンデウソンの持つ最多防衛記録に並ぶ公算が非常に高くなるに違いない。また現時点でDJが最後に敗北を喫した相手=ドミニク・クルーズは2009年からヘイスのトレーニング・パートナー。ドミニクしか攻略できなかったDJの穴があり、そこが伝授されているようなことがあれば非常に面白くなる。

■UFC FOX24対戦カード

<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者]デメトリウス・ジョンソン(米国)
[挑戦者]ウィルソン・ヘイス(ブラジル/1位)

<女子ストロー級/5分3R>
ローズ・ナマジュナス(米国/4位)
ミッシャレ・ウォーターソン(米国/6位)

<ミドル級/5分3R>
ホナウド・ジャカレ・ソウザ(ブラジル/3位)
ロバート・ウィティカー(ニュージーランド/6位)

<フェザー級/5分3R>
ジャレミー・スティーブンス(米国/5位)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ロイ・ネルソン(米国)
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
トム・デュケノワ(フランス)
パトリック・ウィリアムス(米国)

<ライト級/5分3R>
ラシッド・マゴメドフ(ロシア)
ボビー・グリーン(米国)

<フライ級/5分3R>
ルイス・スモルカ(米国/12位)
ティム・エリオット(米国/9位)

<ライトヘビー級/5分3R>
デビン・クラーク(米国)
ジェイク・コーラー(米国)

<ミドル級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
アンドリュー・サンチェス(米国)

<バンタム級/5分3R>
アルジャメイン・スターリング(米国/8位)
アウグスト・メンデス・タンキーニョ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ネイサン・コイ(米国)
ザク・カミングス(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ケトレン・ヴィエイラ(ブラジル)
アシュリー・エヴァンズスミス(米国/13位)

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