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【Bellator163】注目のプレリミ。アスクレンを超えた男ルース?! の初陣&グレイシー第四世代ネイマン

neiman-gracie【写真】マウントパンチがグレイシーらしさ。ネイマンがキャリア5戦目を迎える (C)BELLATOR

4日(金・現地時間)、コネチカット州アンカスビルのモヒガンサン・アリーナでBellator 163「McGeary vs Davis」が開催される。メインカードには世界ライトヘビー級選手権試合=リアム・マクゲリー×フィル・デイビスを筆頭にマルース・クーネン、ブレナン・ワード、ポール・デイリー、そしてセルゲイ・ハリトーノフが出場し、国際色豊かなカードが出揃っている。


ベラトールにとって東部の要地となるアンカスビル大会から、プレリミ出場の2選手に注目したい。まず1人目はマーク・マンジャルディとミドル級で対戦するエド・ルースだ。ルースにとって今回の試合が正真正銘のMMAデビュー戦。ただし、今やMMAで成功を収めるコアとなるフォークスタイルレスリングでの実績が半端ない。

現在の北米MMA界を見渡すとD-1オールアメリカン・レスラーという肩書きを持つファイターは多い。ただし、NCAAを制した者となるとその数はグンと減る。いってみればダニエル・コーミエー、タイロン・ジョーンズ、そしてジョン・ジョーンズもNCAAで頂点に立ったことはない。

ベラトールでいえば同大会のメインに出場するフィル・デイビス、フェザー級のバッハ・ジェンキンスが1度優勝。複数回となればMMA全般を見渡しても、ジョニー・ヘンドリックスとダリオン・コールドウェル、あのベン・アスクレンが2度に渡って優勝経験があるぐらいだ。そんななか、このルースは2012年から2014年にかけて、3度もNCAA覇者となっている。つまりアスクレン以上の実績を誇るフォークスタイルの猛者がルースということになる。

その後、フリースタイルレスリングでリオ五輪出場を狙ったもの叶わず、それでも189ポンドで全米2位にランクされているレスリング界の減益の強豪だ。左右、前後どちらの足にシングルレッグを仕掛けることができて、ダブルへ移行したり差し上げテイクダウンも強い。さらにいえばフリースタイルの試合ではがぶってバック奪取という──タックルばかりが強調されがちな──吉田沙保里を彷彿させる動きも得意としている。

指が触れる距離になれば組んで、崩して倒すことができるルース。バックコントロールからアウトサイド&インサイドトリップでも前方への崩しも卓越したモノがある。とはいってもMMAには打撃もサブミッションも存在しており、その順応性は問われることも確かだ。ただし、ルースの運動神経の高さには疑いようがなく、ジャクソン&ウィンクルジョンMMAで、しっかりと戦略も練られているに違いない。対戦相手のマンジャルディもこれがMMA初戦ということもあり、ルースの一大デモンストレーションをベラトールが狙っていることは確かだろう。

もう一人の注目株はルースがフォークスタイルの寵児であるのに対し、こちらはMMA名門一族から出陣となるネイマン・グレイシーだ。ヘンゾの姉カウラと伝説のグレイシー=ホーウスの教え子マルコ・マラカォンの間に生まれたネイマンはカーロスやエリオから数えるとグレイシー第4世代ということになる。

年齢的には27歳でクロンやカイロン、グレゴゥらと同じジェネレーションだが、実はこの3者は第3世代で20歳違い年齢差のあるヘンゾやハウフと同じ世代となる。キーラと並ぶ第4世代のネイマンは、10代の頃はグレイシーバッハでマーシオ・フェイトーザやカーロス・リモも指導を受け、その後NYCのヘンゾの下へ。「ホドリゴやハイアンのスプリットが好き」と語っていたナイマンは競技柔術では目立った存在でなく、MMAにおいても2013年のデビューから今回のルディ・ベアーズ戦で5戦目。うち2試合がWSOF、残りの2試合がBellatorとプレリミながら、メジャープロモーションでしか戦っていないのが、名門の御曹司故のことか。

ネイマンのスタイルは今やグレイシーでも珍しい柔術ひと筋。テイクダウンも打撃も柔術家のそれで、フィジカルに関しても現代MMAファイターのように作り上げられた感はなく、健康的なアスリートといった雰囲気だ。正直、打撃は危うい。ボディも弱い。ボディロックからテイクダウンでトップを取ると、ここからはMMA創世記のクラシカルな流れに忠実な柔術を見せる。それでいて、リスクを恐れず腕十字を仕掛ける辺りはガードワークも自信があるのだろう。対戦相手のベアーズはキャリア30戦を誇るものの、戦績は16勝14敗とザ・中堅といって過言でないファイター。この試合もネイマンの養成ファイトの意味合が強いか。

フォークスタイルの英雄=ルースと、MMAの祖グレイシーのサラブレッドが出場する今大会、プレリミから要チェックだ。

■ Bellator162対戦カード

<Bellator世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] リアム・マクゲリー(英国)
[挑戦者] フィル・デイビス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
サヤッド・アワッド(米国)
ブレナン・ワード(米国)

<女子フェザー級/5分3R>
マルース・クーネン(オランダ)
タリタ・ノゲイラ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ポール・デイリー(英国)
デレック・アンダーソン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア)
ハビー・アヤラ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジョシュ・ディークマン(米国)
タイラー・キング(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブレア・タグマン(米国)
ウォルター・スミス・コティト(米国)

<ミドル級/5分3R>
マイク・ジケリ(米国)
ティム・キャロン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
イリヤ・コタウ(米国)
カルロス・コヘイア(米国)

<女子フライ級/5分3R>
サラ・パヤン(米国)
ハナ・レジナ(米国

<ウェルター級/5分3R>
キーナン・レイモンド(米国)
カストリオット・ジェマ(米国)

<フェザー級/5分3R>
トム・イングリッシュ(米国)
クリス・フォスター(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ジェイムス・ボラン(米国)
ヴィニシウス・デジーザス(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
エド・ルース(米国)
マーク・マンジャルディ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
タイロー・フォーチューン(米国)
コーディー・ミスケル(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ネイマン・グレイシー(ブラジル)
ルディ・ベアーズ(米国)

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