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【UFN78】ヨルゲンセン負傷で、ペレスがTKO勝ち。見殺しレフェリー、その役割とは……

<バンタム級/5分3R>
アレハンドロ・ペレス(メキシコ)
Def.2R4分26秒by TKO
スコット・ヨルゲンセン(米国)

TUFラテンアメリカ01王者がヨルゲンセンに挑む一戦。細かいステップを踏むヨルゲンセンに対し、ペレスは頭を左右に振って低い姿勢を取る。慎重な立ち上がりのなか、ヨルゲンセンは左ローから左ジャブを入れる。ペレスは右ローを返すが、ケージを背にしてダブルレッグを仕掛けられる。すぐに離れた両者、ヨルゲンセンは再びケージの前でペレスに組みつき、大きく抱え上げてテイクダウンに成功する。

立ち上がったペレスはまたもダブルで抱え上げられ前方に落とされるが、バックを許しながらすぐに立ち上がって胸を合わせる。離れたヨルゲンセンが右を振るいながら前に出ると、ペレスも右のカウンターを合わせようとする。ここから両者の距離が狭まらないようになるが、ラウンド終盤ペレスの右ローでヨルゲンセンの体がよれ、ラウンド終了後にしゃがみこんでしまった。

左足首を負傷したようなヨルゲンセンは、2Rの開始に応じたが戦える状況でないことは明らかだ。それでもレフェリーは試合を止めず、ヨルゲンセンが殴られるのを眺めるのみ。自ら倒れたヨルゲンセン、それでもレフェリーは試合を止めない。立ち上がったヨルゲンセンにペレスは左ロー、もしくは右インサイドローと右足を標的にする。ヨルゲンセンはテイクダウン、さらにスーパーマンパンチを繰り出すなど、幾度となくよろけながらもヨルゲンセンは力のあるパンチを振るおうとする。

ペレスの右ハイ、さらに自ら踏み込んだ際にバランスを崩すヨルゲンセンをペレスは足払いで転がす。パウンドを落としスタンドに戻ったペレスに対し、続いて立ち上がったヨルゲンセンは右ハイを狙ったが、ついにマットに崩れ自らタップした。

勝ち目のない戦いを続けたヨルゲンセンはファイター、最後まで戦う意志を見せた。一方、戦い辛かったのだろう、その負傷箇所を避けるような攻撃、武士の情けを見せていたペレスは「自分からアクションを起こしたくなかった。3Rになるかもしれないけど、2Rで終わると思った。何がヨルゲンセンの身に起こったか分かったし、特になんをするでもなくこういう結果になる」と語った。

この試合でヨルゲンセンがタップするまで、自らの意志で試合を止めなかったレフェリーは、自らの役割をどのように理解しているのだろうか。ファイターの身を守ることもせず、そのまま攻められる様を見ているのでは、ただのフィニッシュ演出家でしかない。安全第一、戦いを残忍ショーにしないという時代があったことを、このスポーツが辿ってきた歴史を踏まえ思い出してほしい。

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