【VTJ6th】リオンに快勝ISAO 「ヒジと金網際の攻防をやりたかったので、試合で出せてよかったです」
【写真】初のフェザー級戦でリオン武という難敵を破ったISAO(C)TAKUMI NAKAMURA
4日(土)東京都大田区の大田区総合体育館でVTJ6thが開催され、セミファイナルでは現ライト級キング・オブ・パンクラシストのISAOがリオン武に判定勝利した。
<145ポンド契約/5分3R>
ISAO(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
リオン武(日本)
ISAOにとっては初めてのフェザー級、そしてケージ&ユニファイドルール初挑戦となった今回の一戦。ISAOは6月に続き、アメリカのチーム・オオヤマで出稽古を行い、この試合に備えてきた。
初回、サウスポーのISAOに対して、オーソドックスのリオンは距離を取りながら三日月蹴り気味に右の前蹴りを蹴る。ISAOも左ミドルを返し、左ストレートで前に出ながらテイクダウンを奪う。リオンが両脇を差してフックガードから立ち上がると、ISAOは離れ際にヒジ。距離が開くとリオンは右の前蹴りを突き刺し、ISAOは上体を振って右フックから左ストレートを放っていく。リオンに組みついてケージに押し込むと2度目のテイクダウンに成功し、パンチとヒジを落とした。
2R、右フックから前に出るのはISAO。リオンは右の前蹴りで出足を止め、激しいパンチの応酬に。距離が開けば右の蹴りで間合いを探るリオン、ISAOは左ストレートを伸ばしてリオンをケージまで下がらせるが、組みの攻防ではなかなかテイクダウン出来ない。リオンは右ミドルと右ストレート、それでもISAOはリオンをケージまで詰めてクリンチからのヒジやヒザを入れると、ここでも終了間際にテイクダウンを奪い、トップポジションで終了のブザーを聞いた。
3R、リオンがISAOのインローに右ストレートを合わせる。これを被弾するISAOだったが右アッパーから左ストレートを伸ばし、ケージを背にするリオンにダブルレッグに入る。リオンもケージに背中をあずけ、マットに手をついて立ち上がり、クリーンテイクダウンを許さない。しかし、試合がスタンドに戻れば、ISAOがパンチのコンビネーションで先手を取り、ケージ際でダブルレッグへ。リオンの体を引っこ抜くようにテイクダウンするとハーフガードでトップキープ、試合終了まで鉄槌とヒジを落とし続けた。
判定はジャッジ1名が29‐28としたものの、残り2名は30-27とし、判定3-0でISAOが勝利。リオンの間合いのコントロールに戸惑う場面もあったISAOだったが、打撃&テイクダウンのコンビネーション、そして全ラウンドでトップ奪取に成功。トータル的な試合運びの上手さが光ると同時に組み際でのヒジなど、ユニファイドルールへの適応力も見せた。
試合後の共同会見では米国で練習してきたことを試合でも出せたと言い、パンクラスのチャンピオンとして戦ったことも意識していたというISAO。今後についてはパンクラス酒井正和代表と相談するとしたものの、フェザー級でやっていく意向を示した。会見後、MMA PLANETではさらに細かく米国修行の成果、ユニファイドルールへの対応について訊いた。
――試合直後には目立っていませんでしたが、かなり顔が腫れていますね。
「そうなんですよ。試合が終わってから徐々に腫れてきている感じですね。カウンターで何発かパンチをもらったのと、地味に組み際でコツコツ殴られていたので、腫れてきちゃいました(苦笑)」
――試合はISAO選手がプレッシャーをかけて、リオン選手が距離を取りながら打撃を合わせるという展開が長く続きましたが、実際に戦ってみてリオン選手はいかがでしたか。
「もっとハチャメチャに動いて両手両足を動かして、フェイントを入れて殴ってくるかなと思ったんですよ。でも割とこっちの動きを見て、一発を狙っている感じがしましたね。そこに惑わされないように意識して戦えたと思います」
――リオン選手の右の前蹴りをもらう場面もありましたが、あれは想定外でしたか。
「はい。ハイ、ミドル、ヒザ蹴りのイメージがあったんですけど……前蹴りは意外でした」
――ISAO選手としては打撃とテイクダウンを上手く織り交ぜて戦えたと思います。そこは意識していたのでしょうか。
「そうですね。打撃、組み技、寝技を全部やるつもりで練習してきました。試合前に練習させてもらったチーム・オーヤマでも何かに偏ることなく全部やれと言われていたので、そこは意識していました」
――また今まで以上にフェイントを使ってから打撃やテイクダウンに入っていたように思いました。
「それも米国で練習したことですね。ただ距離が掴めていなくて、もっと組める距離を探ることが課題の一つです。自分としては遠い距離から強引に組みにいっていたのでに、もっと倒せる距離でテイクダウンに入るようにしたいです」
――なるほど。組み際のヒジ打ちなどは違和感なく使えていました。
「ヒジと金網際の攻防をやりたかったので、試合で出せてよかったです。米国でもそこをしっかり教えてもらって、自分でもこの技術は使えるなと思って練習していました」
──ヒジ打ちは首相撲の練習が主だったのですか。
「そういうわけではないです。首相撲はもちろん、組み際、押し込んだ時、四つ組み……色んなパターンを織り交ぜて教えてくれたので勉強になりました」
――ケージ&ユニファイドルールでも戦っていける自信はつきましたか。
「結構やりやすかったですね。ふとした瞬間にヒジもヒザも狙えるし、グラウンドでもヒジが使える。これからどの団体もユニファイドルールに変わっていくと思うので、このルールでの戦い方を勉強して完成度を高め、KOが出来て、仕留められるレベルまで洗練したいです」
――今後も米国で練習してから試合、という流れでやっていきたいですか。
「機会があれば、という感じですね。まずは今回の試合の反省点を修正しながら、これからどうやっていくかを考えたいと思います」