【Strikeforce】蹴りも冴えるロックホールド、2度目の防衛に視界良好
【写真】ボブ・クック、ダニエル・コーミエー、ハビアー・メンデスらとストライクフォース世界ミドル級王者ルーク・ロックホールド (C) GONGKAKUTOGI
オレゴン州ポートランドのローズ・ガーデンで14日(土・現地時間)に開催されるStrikeforce 「Rockhold vs Kennedy」。イベント名にあるようにルーク・ロックホールド×ティム・ケネディの世界ミドル級選手権試合をメインに、ホジャー・グレイシー×キース・ジャーディン戦、ネイト・マーコートのウェルター級初陣となるタイロン・ウッドリー戦=ストライクフォース世界ウェルター級王座決定戦など興味深い試合が数多くマッチアップされている。
AKAの秘蔵っ子として、昨年10月にホナウド・ジャカレイに勝利して王者となったロックホールドは、初防衛戦でジャーディンにTKO勝利し、今回が2度目の防衛戦となる。もともとロックホールドはノーギ・ムンジアルでも活躍した経歴があり、一本勝ちが多いグラップラーだ。その後、AKA所属ファイターらしく、ジャカレイとの防衛戦で光ったのはその打撃スキルだった。190センチの長身とサウスポー構えを活かした左ミドルは、しっかり軸足のカカトと腰を回して蹴る純キックボクシング的なもの。この左ミドルでジャカレイは距離を潰すことが出来なかった。
また両手を下げ気味に構えるロックホールドだが、そこは左ミドルで距離を支配しているからこそなせる業。また相手の動きがしっかりと見えたリラックスした構えと、柔かな上体の動きから繰り出すジャブを基点に、ステップしながら合わせる右フックが得意技でもある。ジャーディンとの防衛戦では、まさにこのパンチからジャーディンをパウンドアウトした。
挑戦者のケネディはじりじりと圧力をかけつつパンチからテイクダウンという試合展開を得意としているが、オーソドックスでボクシング的に両腕を立てたガードはロックホールドにとって左ミドルの恰好の的。そして左ミドルでケネディに距離を詰めさせず、強引にケネディが前に出てくれば、ロックホールドは右フックのカウンターを狙うことも出来る。
ロックホールドの左ミドルでケネディの上体がのけぞり、しかもケネディが下がるような展開になれば、ますますロックホールドとケネディの間合いは離れるばかり。ケネディがロックホールドの左ミドルへの対処=蹴られた以上に圧力をかけて、どれだけの回数、右フックのカウンターを恐れずに距離を潰すことが出来なければ、ロックホールドが危なげない試合運びで2度目の防衛に成功することになるだろう。
また、昨年9月にキング・モーにMMA初黒星を喫したホジャーが、ジャーディンを相手に再起戦を迎える。長い手を使ったジャブ、というよりも距離を探るような動きから、対戦相手に組み付いて、グラウンドゲームに持ち込むスタイルで連勝を重ねてきたホジャーだが、モーとの一戦では伸ばした左手にかぶせるような右フックを叩き込まれてTKO負けを喫した。
対するジャーディンは4連敗でUFCをリリースされ、その後も2勝2敗1分と勝ち星が先行していない。とはいえ、構えや立ち位置を無視したような変則的な打撃は威力十分。打撃でのコンタクトを可能な限りゼロに近づけるために間合いを大事にするホジャーにとって、ジャーディンのような距離勘の狂う打撃は相性が悪い。もちろんそんなジャーディンだけにホジャーにも組み付く機会が増える側面もあるが、ジャーディンの一発に沈む危険性も自ずと増える。
ブラックハウスでこの試合のための調整を行ってきたホジャーがどれだけ自分の間合い、つまり相手の打撃をもらわずに自分が組み付ける距離にいることが出来るか。この一点の所作により、ホジャーの勝利は近づきもし、連続KO負けという最悪のシナリオも待っていることになる。
イベント数が少なくなったストライクフォースだが、ジャスティン・ウィルコックスのようなプレリミで実績を積んだ選手が、タイトル戦で敗れたホルヘ・マスヴィダルと対戦するように、しっかりと勝ち負けにより、階級の中で対戦カードが循環するようになった。鉄人の息子ライアン・クートゥー×ジョー・ドゥアルテ、ストライクフォースのローリー・マクドナルド=ジョーダン・メインの出場など見所が多い。大会数が増え、ある意味水増しファイターの試合も組まれる最近のUFCよりも、充実のアンダーカードといえるだろう。
■Strikeforce「Rockhold vs Kennedy」対戦カード
<ストライクフォース世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ルーク・ロックホールド(米国)
[挑戦者]ティム・ケネディ(米国)
<ストライクフォース世界ウェルター級王座決定戦/5分5R>
ネイト・マーコート(米国)
タイロン・ウッドリー(米国)
<ミドル級/5分3R>
ロビー・ローラー(米国)
ロレンツ・ラーキン(米国)
<ミドル級/5分3R>
キース・ジャーディン(米国)
ホジャー・グレイシー(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
廣田端人(日本)
パット・ヒーリー(米国)
<ライト級/5分3R>
ホルヘ・マスヴィダル(米国)
ジャスティン・ウィルコックス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ジョーダン・メイン(カナダ)
テイラー・スティンソン(米国)
<ライト級/5分3R>
ジョー・ドゥアルテ(米国)
ライアン・クートゥアー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ジェイソン・ハイ(米国)
ネイト・ムーア(米国)