【特集アジア】SFLラジ・クンドラ代表に訊く:02
Super Fight League 、インドのMMAプロモーション代表のラジ・クンドラは、MMAがインド国民にまだ認知されていないことを理解したうえで、大会運営を開始。普及も自らの手で行う、まさに同国のMMAパイオニア的存在だ。
【写真】インタビュー後にポートレイト撮影時は、サングラスを着用したラジ・クンドラ氏。背景がまたインドっぽい (C) MMAPLANET
特集アジア、SFLプロモーター=ラジ・クンドラ・インタビュー、第2弾はインド固有の伝統格闘技とMMA普及、インドの巨大な市場について話を訊いた。
――観客層としてのビジネスターゲットは、どのような人々なのでしょうか。
「中級層だよ。マーケットは18歳から35歳、インド人はこの年齢は実に5億人もいるんだ。チケットは米ドルで20ドルから60ドル、インドの中間層にはやや高めに設定している。
もっと安いチケットを販売して、もっと多くの観客を集めようというプランもある。そして、ライブはYouTubeで中継し、編集されたインディアン・バージョンはインドのナンバーワンTV局の録画中継で5億世帯で視聴が可能になっている」
――とにかく数字の話になると、インドは桁が違いますね。
「TV中継が安定し、より多くの資金が流れ込むようになると、もっとビッグネームを招聘したいと思っている。その頃にはこの国の人間も、MMAが何たるか理解できるようになっているだろうし、そうなればTVでライブ中継を行いたい」
――インド人は中国人と並んで、世界のあらゆる場所でインド人社会を形成しています。そして、そんな街では常にクリケットが一番人気のスポーツです。これまで、インド人社会でクリケット以外の、そして格闘技に人気があったことはあるのでしょうか。
「クリケット以上のスポーツは、インド人社会には存在しない。ただし、MMAが2番目に人気のあるスポーツになったとすれば、それで十分なマーケットが存在する。
インドはマーシャルアーツの生まれた国だと言われている。中国に渡り、さらに大きく広がった。マーシャルアーツ人気は高くなる。そして、これからはMMAの時代だ」
【写真】ヒンドゥーレスリングという名称を日本では用いられるクシュティ。土の上で行うインドの伝統レスリングだ
――インドにはクシュティやカラリパヤットなど、古くから伝わるマーシャルアーツが存在します。
「トラディショナル・マーシャルアーツの存在は、絶対的にMMAの普及を助けてくれる。MMAとはボクシング、クシュティの要素が含まれていると紹介し、観客を教育し、お金を支払う価値のあるものだと理解してもらう。
このビジネスを伸張させるには、教育という部分が非常に大切になってくる。MMAはコックファイトでなく、ルールが存在し、美しい戦いだと分かってもらうこと。ケージファイティングは、しっかりと統制されているものだと知ってもらう必要があるんだ」
――だから、クンドラさんはダット氏と第1回大会で、掛け合いのコメディのような話をしながら、MMAとは何ぞやということを説明していたのですね。
「そうなんだ(笑)。ああやって、笑いながらMMAの有り方が分かってもらえるなら、台本なんていらないよ。インドのシルベスター・スタローンと言われているサンジェイは、アドリブでああやって観客を惹きつけたんだ。大したものだ。
サンジェイは観客の気持ちを捉える術に長けている。これからも面白い仕掛けで、MMAの啓蒙活動を行っていくつもりだ。何も自分たちが目立ちたいからやっているんじゃないんだ。あれがMMAという新しいスポーツのプロモーション活動なんだよ。
SFLを見に来てくれたファンは、我々SFLファミリーの一員なんだ。ショーを心の底から楽しんでほしい。私たちの言葉が、長い道のりの第一歩ということなんだ」
――そのためにスポーテイナメントという、楽しめるショーに仕立て上げていると。
「男女のカップルが会場にやってくる。女性はコンサートやダンスショーを、男性はファイトを楽しんでくれれば良い。そしたら、女性の観客は女子の試合があることに驚き、興味を持ってくれる。
MMA市場は何も男性特有のマーケットでない。女性ファンだって存在している。私にとってPRIDEはベスト・オーガナイゼーションだった。頭部への踏みつけがあるなど、ルールがバイオレンス過ぎる点は好きではなかったけどね。ショーとしてはWWEに次ぐもの。シリアスなMMAではベストなショーだったよ」
――ところでズッファ、UFCもインド進出を考えているようです。
(この項続く)