【UFC173】バラォン陥落、新バンタム級王者はTJ・ディラショー
<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
TJ・ディラショー(米国/4位)
Def.5R2分26秒by TKO
ヘナン・バラォン(ブラジル)
ディラショーの右ローに対し、パンチで距離を詰めたバラォン。組み際、離れ際に両者が打撃の気配を伺わせる。ディラショーは左ハイから距離を取って回り、バラォンがジャブで距離を計る。パンチを見せては、スッと下がりバラォンを混乱させようというディラショーが、アッパーをヒットさせる。さらにディラショーは左から右を打ち込み、距離を取り直す。バラォンのレンジの外から攻撃を仕掛けたディラショーだが、前に出るところで右を被弾する。ガードを下げて、柔らかい構えのディラショーはバラォンのパンチをダッキングでかわし、そのまま裏をとってパンチを狙う。リズムが掴めないバラォンに、再び右ストレートがヒット。キャンバスに崩れ落ちたバラォンはパウンドを被弾しつつも、足関節へ。足関を凌がれると、力なく背中を預けたチャンピオン。ディラショーはバックに回ってRNC、さらにトップから肩固めを狙う。ここを逃れたバラォンが立ち上ったところで、最初の5分が終了した。
2R、大きなUSAコールのなか、右を振るって前に出るディラショー。バラォンはまだダメージが抜けきっていないか。ブラジル人の観客からバラォン・コール、しかしディラショーの右に真っ直ぐ下がってしまう。呼吸を整えているのか、手数を減らし、一気に距離を詰めるディラショーに対し、バラォンがショートのコンビネーションで抵抗する。バラォンの後回し蹴りからパンチの交換、ここはバラォンがやや盛り返したか。続くディラショーのテイクダウン狙いからスクランブルへと、激しい攻防が続く。バラォンのローが急所に入り、試合は一時中断へ。
バラォンはディラショーの右オーバーハンド気味のパンチをヘッドスリップで避け、右フックは受けそうになるが、しっかりと右を打ち込んでいく。ディラショーの跳びヒザに場内は大歓声に包まれるも、右の交錯は相打ち。ディラショーは左ボディ・フックと右ハイをブロックされるも右ストレートを打ち込み、このラウンドを締めた。
USAコールのなか3Rがスタート。バラォンの右が動きの激しいディラショーの顔面を捉える。ディラショーの左ハイを受けそうになった王者は、ワンツーから3つ目のフックを被弾する。バランスを崩したディラショーに対し、距離を詰めないバラォンは左ミドルを受ける。やや近い距離の打撃戦でも打ち負けないディラショーの右ストレートがヒット。ここで追い打ちの連打を決めた挑戦者が、チャンピオンを追い込んでいく。バラォンは右フックから右ミドルを入れるも、下がるシーンが多い。跳びこむような右ジャブを決めるディラショーは、左ミドルから右ストレート、攻めすぎないので反撃をそれほど受けない。左を伸ばしながら、右をアウトサイドに振り、そのままバックに回り込みそうになるなど、スピードでも王者を圧倒しつつあるディラショー。続いて右をヒットすると、バラォンが真っ直ぐ下がってケージまで押し込まれる。パンチを2発から組んだディラショー、テイクダウンは奪えなかったが、このラウンドもチャンピオンを追い込む戦いをした。
4R、いきなりシングルレッグに出たディラショーが揺さぶりを掛ける。まるでユライア・フェイバーのかつてのライバル、ドミニク・クルーズのようなステップを踏むディラショーは、右を打って左ハイにつなげる。ワンツーからスリーを下がるバラォンに入れるディラショー。ワンツーで押し込み、バラォンの反撃にも前に出るディラショーが左を連続で入れる。ディラショーはケージに王者を押し込むと、細かいパンチを繰り出す。バラォンがヒザを返し、距離を取り直すが、続く後ろ回し蹴りでバランスを崩し、トップを取られる。ハーフから右のエルボーを落し、パウンドにつなげるチャレンジャー。バラォンはヒザ十字を抜かれ、エルボーを受ける。チャンピオンは挽回する機会もないまま、いよいよ試合は最終回へ。
バラォンは右ミドル、ディラショーは左に回りながら左ミドル。構えを変えられ王者は距離が合わない。後ろ回し蹴りを外され、パンチを被弾したバラォンは左ハイも受けそうになる。左右のストレートを伸ばしたディラショー、左右の連打で耐えに耐えぬいてきたバラォンもとうとうダウン。ディラショーが追撃のパウンドを連続で落すと、レフェリーが試合をストップ。ついに最強ノヴァウニオンの一角が崩れ、TJ・ディラショーが新UFC世界バンタム級王者に輝いた。