この星の格闘技を追いかける

香港&マカオを拠点、レジェンドFC代表インタビュー

2011.07.08

LFC04_Fight9 Pang vs Nam7月16日(土・現地時間)にマカオで開催されるLegend Fighting Championship 05。中国、韓国、日本、豪州、ニュージーランドらアジア太平洋圏のなかでイベントを開催するLFCのプロモーターは34歳、中国人とポルトガル人のハイブリット=マカオ人の母と、ドイツ人の父を持つマイケル・ハスカンプだ。

【写真】LFCライト級王者エイドリアン・パンのファイト。打撃中心のMMA、香港で根付きつつある (C) LFC

香港、イングランドで成長し、経営管理学修士の資格を取得し、ニューヨークを拠点にリーマン・ブラザースに勤務していた彼は、08年に香港に戻ると、いわゆるリーマンショックを経験。09年、職を失うとともに『新しい人生を歩もう』と、幼年期から慣れ親しんできたマーシャルアーツの要素を含んだMMAプロモーションの立ちあげを決意した。

日本でもアジアとの連携を起爆剤に――という声が聞こえて久しいが、まさにその路線で先鞭をつけているのが、レジェンドFCだった。そんなLFCをリードするハスカンプ氏のインタビューをお届けしたい。

――香港やマカオでMMAイベントを行なおうと思ったのは、どんなきっかけだったのですか。

「僕は香港で育ち、母はマカオ出身だったから、僕のホームとしてニューヨークにいるときも、この二つの地区のことを忘れることはなかった。そして、前職を失ったとき、何か別のことを始めるのに、パーフェクトなタイミングだと思うようになったんだ。

香港はアジアでも有数の都市なのに、ハイレベルのスポーツイベントが行われていない。年に一度の7人制ラグビーの大会、香港ラグビーセブンスが一番大きなスポーツイベントなんだ。香港は知っての通り、これだけ長くのマーシャルアーツ・ヒストリーがあり、認知度も高く、競技人口も多く、一つの文化になっている。スポーツとして、マーシャルアーツとして、そしてエンターテインメントという要素を持つ、MMAは最適だと思ったんだ」


――マイケルはそもそも、MMAに興味を持っていたということですか。

「子供の頃からマーシャルアーツが好きだった。6歳のとき、柔道を始めた。8歳の時から家族でタイに住むようになり、10代でムエタイを始めた。高校生活の最後の2年はイングランドで過ごしたんだけど、ボクシングを習った。

その後、大学へ進みカンフーを嗜み、香港に戻ってからはブラジリアン柔術の練習を始めたんだ」

――それはなかなかの格闘技歴ですね。

「でも、僕は別に格闘技のセンスはない。ただ、楽しんで練習しているに過ぎない。ただ、色んな格闘技を学んだおかげで、自然とMMAに興味を持つ素養が出てきていたと思う」

Haskamp【写真】中央がLFCのプロモーター、マイケル・ハスカンプ氏。物腰は柔らかく、芯のある人物という評判だ (C) LFC

――ところでLFCでは、ケージでなくリングを使用していますね。

「個人的にリングの方が好きだっていうのもあるけど、まずは香港におけるMMAのイメージというものに重点を置いたんだ。僕が2010年の1月にイベントを始めるまで、香港では誰もMMAのイベントを開いたことがなかった。

だからケージを使用すると、ネガティブな印象を人々に与えるんじゃないかって危惧したんだ。もちろん、一時的な注目を集めることはできただろう。でも、それは長期間にわたって、MMAを普及させようというLFCのコンセプトとは合致しないものだった」

――いきなりの金網は、注目を集めてもイメージ的にもスポーツからかけ離れている。デンジャラスだという批判の対象にもなりかねないということですね。

「それとMMAなのにレスラーにアドバンテージがある戦場として、ケージは避けたかったというのもある。もっと、スタンドの打撃戦が見たかったしね。今、米国のMMAを見ていると、レスラーが判定勝ちを狙う試合ばかりだ。

もっとエキサイティングな攻防が見たい。そんな戦法の手助けという役割をケージが果たしている。僕はファイターにはフィニッシュを目指してほしい。リングはケージよりも、試合を終わらせる環境になると思っているんだ」

――ルール的には北米のユニファイドルールに、グラウンドでの頭部へのヒザ蹴りを許したものを採用しています。

「基本的にユニファイドルールは好きなんだ。ただし、グラウンドでのヒザ蹴りを禁止する理由が見当たらない。スクランブルのとき、ヒザ蹴りが許されていると、もっと素早い動きが必要になる。上四方というポジションが、もっと有効になる。

袈裟固めの状態での抑え込みだってそうだ。有効な攻撃手段をルール上から省く必要はないって、僕は思ったんだよ」
(以下、後篇へ)

■LFC 5対戦カード

<ウェルター級選手権試合/5分3R>
ベ・ミョンホ(韓国)
ロッド・マックスウエイン(ニュージーランド)

<バンタム級選手権試合/5分3R>
ゾ・ナムジン(韓国)
ヤオ・ホンガン(中国)

<ライト級/5分3R>
ロブ・ヒル(豪州)
ナム・イチョル(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
アレックス・ニウ(米国)
リ・ジンリャン(中国)

<フェザー級トーナメント1回戦/5分3R>
川那子祐輔(日本)
マーク・ストリーグル(フィリピン)

<ウェルター級/5分3R>
濱村健(日本)
ウォン・サイ(中国)

<フェザー級トーナメント1回戦/5分3R>
フランシーノ・チルタ(米国)
ウ・チェンジェ(中国)

<ミドル級/5分3R>
ヤン・ヘジュン(韓国)
パット・クローリー(ニュージーランド)

<バンタム級/5分3R>
スン・ミンエン(台湾)
ヴィンセント・シュウ(香港)

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