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【WEC52】WECの名の下で、UFCフェザー級戦線始動

2010.11.09

Vasquez11日(木・現地時間)に行われるWEC52「Faber vs Mizugaki」。12月16日(木・同)にアリゾナ州グレンデールで開催されるWEC53では、フェザー級戦が組まれていないため、WECの名の下で行われる最後のフェザー級マッチアップとなる。さらにいえば、12月4日(土・同)に開かれるTUFシーズン12フィナーレで、フェザー級の試合が早々に組まれるという話もあり、既にこのWEC52からUFCフェザー級戦線のストーリーライン作りが始まっている。

【写真】トップから足関節を狙うファイターは、北米では本当に少ない。ハビエル・バスケスは下になってもダメージを受けず、上を取り返す技術を持つからこその攻撃手段――だが、極めきれないとジャッジにはマイナス作用に (C) GONG KAKUTOGI

既に1月1日(土・同)のUFC125でUFC世界フェザー級王者ジョゼ・アルドと挑戦者ジョシュ・グリスピの世界戦が決定している同階級、今大会ではチャド・メンデスとハビエル・バスケス戦がメインカードで組まれている。

メンデス×バスケス以外にも、グリスピ戦を逃したエリック・コクが代役のフランシスコ・リベイラと対戦するカードを始め、ハファエル・アスンソン×LC・デイビス、カブ・スワンソン×マッケンス・セミザール、イーブス・ジョボウィン×ブランドン・ヴィッシャーの計5試合が予定されている。


スワンソン、デイビスなどタイトルコンテンダーと目されながら、それぞれがメンデス、グリスピに敗退し、一歩後退を余儀なくされたファイターと違い、メンデスはWEC3連勝で、MMA自体もデビュー以来8連勝中。この試合で勝てば、よほどの戦績を持つUFCライト級ファイターがフェザー級に転向しない限り、ユライア・フェイバーの同門=トレーニング・パートナーが次期挑戦権を獲得する可能性はかなり高い。

Mendes【写真】テイクダウン+パウンドだけでなく、ギロチン系のチョーク、そして打撃の駆け引きと、ラッシングパワー以外の部分にも長けてきたチャド・メンデス (C) GONG KAKUTOGI

そのメンデス、ユライア2世という呼ばれ方もするが、同じアルティメット・フィットネス所属選手でいえばユライアよりも、テイクダウン能力の高いジョゼフ・ベナビデスに近いタイプのファイターだ。打撃を散らして、テイクダウンに持っていく削り合いには滅法強い。

一方、対戦相手のバスケスは昨年、待望のWEC参戦を果たしたものの、微妙な判定でデイビス&デヴィダス・タロセビュチスに連続スプリット判定で敗れリリースの危機に面していた。その後はジェンズ・パルバー&セミザールから一本勝ちを収め、試合内容が認められたのか、あるいは期待の新鋭に捧げられた生贄か、メンデスという対戦相手をあてがわれることになった。

バスケスもメンデス同様にベースはレスリングだが、より柔術色が強く、エディ・ブラボー的な動きから、ホリオン・グレイシー流の基本に忠実な身を守る術まで使いこなすことができる。その柔術的な動きは、北米MMAワールドではジャッジの評価を得ることが難しいが、グラウンドコントロールは世界のトップクラスにあることは間違いない。

グラップリング界では派手な動きのバスケスも、MMAになるとテイクダウン+パウンドを主体するファイターに対して、守備的というイメージを持たれてしまう。古傷のヒザの負傷もあり、つねにラストファイトという気概で挑むバスケスは、若きメンデスの勢いに飲み込まれる確率以上に、サブミッションで優位に立つだけの力を持っている。

ただし、爆発力でいえばメンデスが上。極めきれなければ評価はゼロの北米MMAジャッジ陣の間の前では、ガードワークでなくスタンドの展開からバックを制して、トップの態勢で寝技に持ち込みたい。

メンデスは判定で有利なトップキープ=テイクダウン&パウンドに、いかに持ち込むか。他方、バスケスは判定では勝てないがガードワークからトップを奪うコントロールとサブミッション・アテンプトに勝負を託したい。静と動の対決を制するのは、どちらになるか。勝者の今後にも要注目のフェザー級の一戦だ。

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■WEC52 対戦予定カード

<バンタム級/5分3R>
水垣偉弥(日本)
ユライア・フェイバー(米国)

<フェザー級/5分3R>
チャド・メンデス(米国)
ハビエル・バスケス(米国)

<フェザー級/5分3R>
フランシスコ・リベイラ(米国)
エリック・コク(米国)

<バンダム級/5分3R>
ジョセフ・ベナビデス(米国)
ヴァグネイ・ファビアーノ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
デメトリオス・ジョンソン(米国)
ダマッシオ・ペイジ(米国)

<フェザー級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル)
LC・デイビス(米国)

<ライト級/5分3R>
アンソニー・ジョクアーニ(米国)
エドワード・ファーロロット(米国)

<ライト級/5分3R>
ザック・ミッケルライト(米国)
ダスティン・ポワリエ(米国)

<バンダム級/5分3R>
クリント・ゴドフレー(米国)
マイケル・マクドナルド(米国)

<フェザー級/5分3R>
カブ・スワンソン(米国)
マッケンス・セミザール(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブランドン・ヴィッシャー(米国)
イーブス・ジャボウィン(カナダ)

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