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【ONE71】アンジェラ・リーとの再戦=世界戦へ、V.V Mei─01─「精神的に追い込まれることはもうない」

V.V Mei【写真】日本人女子MMAファイターの歴史で、最も大きな舞台&ポジションで戦うことになるといっても過言でないvs.アンジェラ・リーVol.2 を前に座禅に取り組むV.V Mei(C)TSP

19日(金・現地時間)、シンガポール・カランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE71「Unstoppable Dreams」のメインで、V.V MeiがONE世界女子アトム級王者アンジェラ・リーに挑戦する。

そんなV.V Meiの1日をameba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。

MMAファイターであり、ブラジリアン柔術家であり、空手家でもある彼女は国際玄制流空手道連盟・武徳会の森下支部で空手の指導を行い、また同道場で座禅を始めたという。

2年振りのアンジェラ・リーとのビッグマッチを控え、座禅の効用とアンジェラ戦に特化したインタビューをここでは紹介したい。

※アンジェラ・リー・インタビューはコチラから


──座禅はいつ頃から、どのような目的で始めたのですか。

「月に一度、3月からこの空手道場で座禅が始まったのですが、私は集中力を高めるためにやっています。子供たちに空手を指導しているのですが、その子たちも参加して良いですし、誰でも参加できます。そういう意味でも、いずれは地域に貢献できれば良いなと思っています」

──柔術家はメディテーションやヨガなど、呼吸法等で精神を落ち着かせる人もいますが、Mei選手も以前からそのようなことに取り組んでいたこともあったのでしょうか。

「ヨガは柔術家も良くやっていることですよね。LAに留学している時は、サンタモニカにヨガ・スクールがたくさんあって通ったり、学校でもクラスを取っていました。集中力がどうとか、メディテーションという意味でやっていたわけでなく、単に良いストレッチとして取り組んでいたことはあります。柔術や格闘技に役立たせたいという気持ちがあったわけじゃないです。

柔術はやっぱりヒクソンの呼吸法からブームになったんじゃないですか。アレやると強くなる──みたいに、すぐに影響される人が多いから(笑)」

──では今回の座禅は格闘技に役立てることも考えてのことで取り入れているのでしょうか。

「絶対的に集中力という部分では良い影響があります。一番良い姿勢がありますが、どうしても長い時間、半眼といって目を閉じ切らずに一点を見つめていると、姿勢が崩れてしまいます。

崩れた時に、どこを直せば姿勢を取り戻せるのかとか、どこから力み始めるのとかを確認しながら座ることは、自分の体を理解するという意味でも良いことです」

──空手も呼吸と関連している部分はあると思います。

「私はそこまでは考えていなくて、ゆっくりと呼吸をすることで邪魔なモノが入って来ないように集中してやっている段階です」

──以前、練習後に少し呼吸を取り入れたクールダウンをした時にそれだけに眠ってしまったことがあります。

「それって良いことですよ。座禅の先生も眠って良いと言ってくれています。自分なりのやり方があるのでと。私も途中で、意識がどこかに飛ぶことあります。それが深くて」

──無心ということで、試合のことや練習のことも考えないということですね。

「ハイ、何かイメージするのはでなく一切考えない。そうすることで深層心理ではないですけど、無意識のなかで自分のなかで最も気にしていること、やるべきことが浮かぶことがあります」

──無意識化の意識ですね!!

「そこで気付いたことを、なぜなのか考えることで深く入っていけます」

──戦いに対する恐怖が浮かび上がってくることはないですか。

「試合に関してはないですね。経験を重ねると、勝ち負けは別にして自分で納得できる練習、生活をしていると精神的に追い込まれることはもうないです」

──では、この大一番に向けても緊張もしない?

「しないです。もちろん、ONEのチャンピオンシップは凄いことです。凄いことですけど、オリンピックの体操競技でこの着地で動いてはいけないとかっていう状況を思い浮かべると、格闘技はまだリカバリーできる。そうやって考えると、楽になれるんです(笑)」

──体操の選手は、ケージの中に入って殴り合うことより、平均台から落ちない方がマシだって思うかもしれないですけどね(笑)。

「それはあると思います(笑)。そういう風に色々なモノと比較して、自分を落ち着かせるのが私の思考です。つまり不安はある。だから不安を無くすために日々、納得のいくトレーニングをする。質の良いことを重ねていけば、悪夢にうなされることもないです」

──前回の対戦から2年、そういう意味でも自信を持ってアンジェラ・リーに挑むことができますか。

「ハイ。寝技に関しては柔術の試合に出てきましたし、試合前にもアメリカのチェックマット本部で練習を重ねてきたので、そういう部分で自信はついています。

打撃も前回の試合では打撃コーチをつけない状態で試合に臨んでいたのに対し、今回はTEPPENジムにお世話になり、プロ練習にも定期的に参加させてもらってきたので、少しずつ今までにないモノを身につけてきました。後はそれを本番で出せるように持っていくだけです」

──アンジェラはONEルールだけで戦ってきたファイターです。寝技のヒザなども、非常にスムーズに出すことができます。

「う~ん、そんなに怖いと思ったことはないです。練習のときも自分のなかでは常に意識をしているので。そこを深く考考えることはないですね」

──低い仕掛けのテイクダウンなどは、ユニファイドと違い注意が必要になるかと。

「怖いというか、危険だと理解していないといけないですね。でも、そこもあまり気にしていないです」

──ではアンジェラのどのような動きを最も警戒していますか。

「グラウンドにおいては常に仕掛けて来るタイプで、スタミナもある。自分の体形を活かした技を、結構トリッキーな感じで次々と仕掛けて来るので、後手に回ると彼女の形に入ってしまいます。そこに気を付けないといけないです。打撃も一生懸命練習しているようですし、どの局面でも勢いが凄い。怖がらなくて、思い切りの良い選手なので、その彼女の勢いを先手を打って潰さないといけないです」

<この項、続く

■ONE71対戦カード

<ONE世界女子アトム級選手権試合(※52.2キロ)/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]V.V Mei(日本)

<ムエタイ世界フライ級王座決定戦/3分3R>
サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
セルジオ・ヴィールセン(オランダ)

<ONE世界フェザー級選手権試合(※70.3キロ)/5分5R>
[王者]マーチン・ウェン(豪州)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<キックボクシング72.5 キロ/3分3R>
ヨーセングライ・IWEフェアテックス(タイ)
クリス・ンギンビ(オランダ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ラスル・ヤキャエフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ハルン・アトランゲリエフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
イ・ソンジョン(韓国)

<ムエタイ61.2キロ/3分3R>
シントンノーイ・ポーティラックン(タイ)
ジョゼフ・ラシリ(イタリア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ミース・メウ(カンボジア)
シエ・チャオ(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
フオン・シハオ(シンガポール)
シエ・ビン(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ロエル・ロサウロ(フィリピン)
スノト(インドネシア)

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