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【ADWP2017】ワールドプロ柔術69キロ以下級、杉江の熱闘を追う。優勝はグリッポ

18日(現地時間・火)から22日(同・土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のIPICアリーナにて、アブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2017が開催された。

高額の賞金を狙って各階級にて世界のトップクラスが競い合い、さらにこのスポーツのレジェンド達による戦いも組まれたこの大会。レビュー第2回目は、日本の杉江アマゾン大輔が出場した69キロ以下級の模様をレポートしたい。


日本代表の杉江は、初戦(=準々決勝)でいきなり優勝候補の米国代表、ジャンニ・グリッポと対戦することとなった。

<69キロ以下級準々決勝/6分1R>
ジャンニ・グリッポ(米国)
Def. by 2-0
杉江アマゾン大輔(日本)

開始早々引き込んだグリッポは、ラッソーガードから仕掛けようとするが、腰を引き足も掴ませない杉江を崩すのは簡単ではないと判断してか、クローズドガードへ。杉江はすかさずヒザを入れてガードを割ることに成功するが、グリッポは横にスイープを仕掛けるように崩し、すぐにクローズドガードに戻す。

その後下からの十字絞め狙いを見せたグリッポは、杉江のラペルを引き出しに。さらにグリッポは腕十字を仕掛けるように横にスピンして杉江を揺さぶりながら、ラペルを杉江の右ヒザ裏を通して掴む。そこでさらに横にスピンしてスイープを狙う。対して、杉江は体を浮かされながらもヒザで着地。ならばとグリッポが勢いを止めずもう一回転してスイープを狙うも、杉江はここもなんとか膝で着地して上をキープして見せた。

ラペルのグリップを離さないグリッポが、さらに内側に回転するようにスイープを仕掛けるが、杉江は体勢を低くして耐える。そんな攻防が続くなか、守勢を余儀なくされている杉江にペナルティが蓄積してゆき、ついに審判がグリッポに2点を与えることとなった。

残り時間が少なくなるなか、杉江は再びヒザを入れることに成功するが、グリッポはそのリストを掴んでラッソーで対応。杉江のヒザを蹴る動きをみせてスイープをちらつかせる。杉江は腰を浮かせて引いて対処するが、両手首を強烈に引きつけられているせいか、パスを仕掛ける糸口はつかめない。残り10秒で距離を詰めて両足担ぎに入った杉江だが、柔軟な体を持つグリッポには効果なし。2-0でグリッポの勝利となった。

将来の世界王者候補グリッポのスイープを耐えるベースの強さを見せた杉江だが、ほとんど攻撃の形は作れず。言い方を変えれば、無理はせずに武器をちらつかせるような形で確実に勝利を得たグリッポの地力が感じられる試合だった。

準々決勝で敗退し3位決定戦進出トーナメントに回った杉江は、その後オーストラリア代表に一本勝ち。次にブラジル代表のタリソン・コスタと対戦した。

<69キロ以下級3位決定戦進出トーナメント/6分1R>
タリソン・コスタ(ブラジル)
Def. by アドバンテージ 1-0 (マイナスアドバンテージ1-1)
杉江大輔(日本)

引き込んだ杉江は、コスタの片襟片袖を掴んで強烈に引きつけにかかるが、コスタは杉江の右足の上に左ひざを乗せてベースを作って堪える。お互い仕掛けきれない展開にレフェリーが両者にマイナスアドバンテージを与えた。

やがて杉江の引きつけを嫌ってコスタが立つと、杉江も立ちながらコスタのズボンを掴んでのテイクダウンに移行しようとするが、コスタがそれを耐えて両者は場外に。

残り2分、スタンドで再開となると杉江はスタンディングからのアームドラッグを仕掛けるが、その動きについていったコスタは膝を付いた杉江の背後に回ることに成功。これでアドバンテージ一つリードする。すぐに杉江も前転してヒザ十字狙いへ。コスタに反応されるとガードに戻す。ここで足を完全の伸ばせなかったこともあり、アドバンテージを取り戻すには至らなかった。

残り1分半。杉江はスパイラルガードでコスタの右足に絡んで仕掛けようとするが、コスタはうまくベースを保って残り時間をやり過ごして終了。アドバンテージ1差を守ってみせた。

下からの強烈な引きつけで、コスタにパスガードを仕掛ける余裕を与えなかった杉江。十分世界の舞台で戦える力があることを証明した試合だったといえるだろう。同時に自らもスイープやサブミッションの形を作ることができず、仕掛けた際をコスタにつけ込まれてまんまと勝利を奪われてしまったのも事実。接戦を勝ち切るポイント獲得術の必要も思い知らされる惜敗でもあった。

なお、本戦の準決勝で杉江を倒したグリッポは、準決勝で同じ米国にしてアリアンシの同門のアイザック・ドーダーラインと対戦。予想通りのモダン柔術戦となったこの試合でグリッポは、先制点を許したもののワームガードからのスイープを決めてアドバンテージ差で逆転すると、最後はダブルガードに持ち込んでポイントゲームを制し、決勝のチアゴ・ブラボー戦に駒を進めた。

<69キロ以下級決勝/6分1R>
ジャンニ・グリッポ(米国)
Def. by 8-0
チアゴ・ブラボー(ブラジル)

先に引き込んだのはグリッポ。ブラボーはグリッポのズボンの背中側を掴んでリフトすると、グリッポの背中とマットの間に向かってダイブするようにバックを狙って見せる。それを防いだグリッポはベリンボロでカウンター。お互い回転したのちに、50/50の体勢で上になったのはグリッポの方だった。

そのまま胸を合わるように体重をかけて50/50を潰したグリッポは、いやがるブラボーのバックを取りかけるが、ブラボーは腰を上げてグリッポを前に落とす。下になったグリッポはすかさずデラヒーバフックを作ると、ブラボーのラペルを取って崩してのスイープに成功。点差を4-0と広げてみせた。

さらに先ほどと同じように、上半身でプレッシャーをかけていったグリッポは、背を向けたブラボーから今度はしっかりとバックについて両足フックを完成、8-0として勝利を確実なものとした。

モダン柔術の騎手という印象が強いグリッポが、相手の50/50を潰す上からの圧力の強さを見せつけて戴冠。今年のヨーロピアンで決勝を争った(グリッポが0-5で敗戦)偉大すぎる同門のレジェンド、コブリーニャを超える活躍をムンジアルで見せることができるのか、注目したい。

■リザルト
【69キロ以下級】
優勝 ジャンニ・グリッポ(米国)
準優勝 チアゴ・ブラボー(ブラジル)
3位 アイザック・ドーダーライン(米国)

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