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【UFN95】これがヤヒーラ・マジックか?  力で負けていない田中路教は勝負に敗れる

<バンタム級/5分3R>
ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
田中路教(日本)

腕を下げた構えで左、そして右の突きを見せる田中。ヤヒーラはパンチから左ミドル。田中は近距離で右ミドルを見せたが、ヤヒーラの前進にバランスを崩す。そのままヤヒーラが腰をコントロールしてトップを奪取し肩固めへ。1分以上、絞めを続けるヤヒーラに対して田中は気道を確保しているか。それでも抑え込まれる状態が続き、田中は無理に動くことはできない。目もしっかりし、呼吸をしてブリッジから肩固めを解いた田中はハーフに戻す。

足を抜いたヤヒーラたが、田中はケージを蹴ってバックを取りに来たヤヒーラから一気に胸を合わせてトップを奪取する。残り90秒、ヤヒーラが立ち上がろうとするのを潰した田中。ヤヒーラはハイガードで固める。三角クラッチに移行するヤヒーラだが、上体をしっかりと前方に押し込み、ヒザを臀部に入れていく。田中は1Rを生き残った。

2R、左ジャブを伸ばす田中。パンチの交換からヤヒーラの放った右ローが急所へ。痛がる田中はすぐに試合再開に応じる。サイドステップの田中に組み付いたヤヒーラがバックに回ろうとすると、首を抱えた田中が投げでグラウンドへ。ヤヒーラはバックを取り続け、田中が立ち上がる。シングルで尻もちをつかしたヤヒーラに対し、田中は背中を譲ったまま立ち上がり胸を合わせていく。

即シングルに切り替えたヤヒーラ、田中はここでうまく上体を乗せて腹固めからRNCへ。しかし、粘るヤヒーラはロールしてトップを奪取、スクランブルを仕掛けた田中のバックへ。田中はここも立ち上がりヤヒーラのテイクダウン狙いに首を取ってバックを取りかかる。それでも腰のコントロールを続けるヤヒーラが、結局はボディロックからバックを取り切り、崩しに掛かる。

田中が立ち上がると、ヤヒーラは胸を合わせていく。田中はここも首を抱えて投げるが、バックを取られたままだ。残り20秒で胸を合わせた田中だったが、2Rもヤヒーラのラウンドとなった。

最終回、勝利には一本かKO、フィニッシュが必要な田中。左ジャブから飛び込んで右、そして右ミドルを蹴っていくが、ヤヒーラはこれをキャッチしてバックに回って寝技に持ち込む。背中を取られ仰向けだった田中は、胸を合わせてトップへ。鉄槌を落とすが、ヤヒーラはクローズドガードで固まる。パウンドを続ける田中だが、このままではこのラウンドを取っても逆転はできない。

と、ここでレフェリーがブレイクを命じる。残り3分、右ストレートを入れた田中はボディロックから大内刈りでテイクダウンに成功する。寝技になったヤヒーラはこれ幸いとばかりに腕十字からオモプラッタへ。田中はクルスフィックスに移行して鉄槌を入れる。動きが止まってしまうポジションのなかでヤヒーラが上体を起こしボディコントロール。そのままバックを伺い、トップへ。

田中は払い腰をすかされヤヒーラのバック、ボディロックの状態が続く。クラッチを切り腹固めからパンチの田中だが、ここでタイムアップへ。案の定、ジャッジ3者とも29-28でヤヒーラを支持。これが勝負だが、初回の蹴りがバランスを崩したシーンが悔やまれてしょうがないない。そして、力では負けてない――と敗者が思う勝負で勝ち切るヤヒーラの強さを見た思いがした。


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