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【TUF17】プチ・セレブ=ケーシーと優勝候補サマンの生き残り戦

2013.04.12

Kevin Casey

【写真】ブラックハウスのプロ練習の常連となっているケビン・ケーシー、ジョシュ・サマン戦の課題はレスリング力か(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターで開催される「The Ultimate Fighter: Team Jones vs Team Sonnen Finale」=TUF17 Finale。今回はシーズン17出演ファイターたちのUFCデビュー戦から、気になる試合をピックアップしてみた。
Text by Isamu Horiuchi

ユライア・ホールの恐るべき打撃力ばかりが目立ったTUF17だが、他にも注目すべき選手が参戦していた。日本のメジャー大会経験者でもあり、一時期インターネット・セレブリティとして全米に悪名を轟かせたこともあるケビン・ケーシーだ。

ケビン・ケーシー――、この名を記憶している日本のMMAファンはどのくらいいるだろうか? 2007年9月に開催されたHERO’Sに、ヒクソン・グレイシーの愛弟子という触れ込みで来日しミノワマンと対戦した柔術家だ。師匠譲りの寝技で攻め込むも極めきれず、2RにパンチでKO負けしてしまったケーシー。実は当時すでに西海岸の柔術、グラップリングシーンにおいてはちょっとした悪名を轟かせる存在だった。ギャングスタ・ラップを嗜むケイシーは、各種大会にいかにもガラの悪い取り巻きを連れてきては、トラブルを起こしていた。なかでも、アンチ・グレイシー論者のマーク・ライモンを取り囲んで喧嘩を売り、唾を吐きかけた事件は有名だ。

ミノワマン戦後は連勝を重ねたケーシーは、2009年にyoutubeに一本の動画を投稿することで、ミニ・インターネット悪役スターの座を掴み取る。あいもかわらずガラの悪い取り巻きたちとともに、全MMA選手に戦線布告をしつつ、自らの力を誇示するラップに乗って威嚇的なダンスを踊るという、この動画。なかでも挑発的に踊っていたのが、当時のMTVの大人気リアリティシリーズ「ヒルズ」きっての憎まれ役、 スペンサー・プラットだったために反響は大きかった。この伝説的迷動画に憤慨する者と抱腹絶倒する者が続出し、一躍知名度を上げたケーシーは、翌年5月にはストライクフォースの出場のチャンスを掴むも、人材育成大会チャレンジャーズでマット・リンドランドに3RTKO負けを喫してしまう。

ケーシーはこの頃、自身の黒帯昇格を自ら決定するという迷走を見せている。黒帯を巻いて道場に現れたケーシーは、呆れたヒクソンの次男クロン・グレイシーに出禁を言い渡されることとなり、またしても彼流の伝説を創り上げることとなった。とはいっても、その後は落ち着きを取り戻し、再び茶帯を巻いてトレーニングに励み、改めてクロンからヒクソン・グレイシー柔術黒帯を巻くことを許されることとなった。

改心したケーシーはTUF 17の予選に登場し、見事にチョークで一本勝ちしてハウス入りを果たした。ハウスではかつての攻撃性を封印、他の選手から挑発されても受け流し、逆にそういうことはやめろと説教をする成長ぶりを披露した。しかし、肝心の試合においてはまったく振るわず、コリン・ハートのレスリングに圧倒され1回戦敗退に。敗者復活戦となったロバート・マクダニエル戦でも再び敗北。結局、番組中で唯一実力を見せつけたのは、ハウス内で勃発したフリースタイルラップバトルのみという体たらくだった。逆にいえば、それだけに、ケーシーの今回のフィナーレに向ける意気込みは大きいはずだ。

このフィナーレ大会でケーシーと対戦するジョシュ・サマンは、4度目の挑戦でついにトライアウトを突破してハウス入り予選にこぎつけたファイターだ。マウントを奪うと、大声で「Are you ready?」とアピールし、ハイハイと大声で叫びながら、左右両方の拳を同時に当てるダブルパンチを連打。さらに強烈な肘を落としてロー・ベーシアーを仕留めてみせた。何はともあれ強烈なインパクトを残したサマンは、 2位指名でチーム・ジョーンズ入りとなる。

ハウスの中に入ったサマンは、優勝するために戦略的な振る舞いを見せはじめる。「ダメージ軽減のためにも、最初から難敵とは戦いたくない」と言って、強豪との対戦が実現しないようにコーチや仲間にいろいろ働きかけたサマンだったが、実際の試合では優勝候補に相応しい強さをみせていった。1回戦では、先日のストックホルム大会で鮮烈な一本勝ちデビューを果たしたトー・トローエンと対戦。激しい攻防を繰り返した後に、右で顔面を打ち抜いてKO勝ちしてみせた。

準々決勝では、レスリング力に勝るジミー・クィンランと対戦。グラウンド戦を巧みに凌いで立ち上がると、すぐさまパンチのラッシュをかけてダウンを奪い、そのままバックに付くと、またぞろグラウンドダブルパンチを連打し、たまらずクィンがタップし準決勝進出を決めた。この勝利にJJは「(ダブルパンチは)人に勧めないけど、なぜかジョシュがやると効果的なんだよな」と笑顔でコメントを残している。

強豪との戦いを最後まで避けようとするサマンは、準決勝進出者が出揃うと、『ユライア・ホールと自分との戦いは決勝まで取っておくべきだ』とダナ・ホワイト社長にアピール。サマンの実力を認めた社長もそれに同意し、サマンとホールを別の枠に入れた準決勝の組み合わせを決定した。かくして、全てはサマンの計画通りに進んでいるかに見えたが……。

ここでサマンは思わぬ落とし穴に嵌ってしまう。準決勝戦、格下と目されていたケルヴィン・ガストラムに倒され、抑えられ、削られた末にチョークで一本負け。 まさかの一方的敗北を喫したサマンは、悔しがる以前に呆然とした表情。それでもこのまま終わらないことを誓ってみせた。

かつてインターネット・セレブリティの地位を獲得したケーシーと、自他ともに優勝候補と目されていたサマン。2人のファイターにとって、格闘家人生を懸けた一世一代の戦いが始まる。

■TUF17 Finale対戦カード

<バンタム級/5分5R>
ユライア・フェイバー(米国)
スコット・ヨルゲンセン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ユライア・ホール(米国)
ケルヴィン・ガステラム(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ミーシャ・テイト(米国)
キャット・ジンガーノ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
トラヴィス・ブラウン(米国)
ガブリエル・ナパォン(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
ロバート・マクダニエル(米国)
ギルバート・スミス(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジョシュ・サマン(米国)
ケビン・ケーシー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ルーク・バーネット(英国)
コリン・ハート(米国)

<ミドル級/5分3R>
ディラン・アンドリューズ(ニュージーランド)
ジミー・クィンラン(米国)

<ミドル級/5分3R>
クリントン・ヘスター(米国)
ブリストル・マルンデ(米国)

<フェザー級/5分3R>
コール・ミラー(米国)
バート・パラゼウスキー(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジャスティン・ローレンス(米国)
ダニエル・ピネダ(米国)

<フェザー級/5分3R>
サム・シチリア(米国)
マキシモ・ブランコ(ベネズエラ)

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