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【UFC188】世界ヘビー級王座統一戦、ヴェラスケス×ヴェウドゥム。正規王者が優位な理由は……

Velasquez vs Werdum【写真】競技特性上、優位なのはヴェラスケス。矛盾するが、その競技特性上不確定要素が高いのがMMA。そこを突くのがヴェウドゥムのすべきこと、だ(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、UFC 188「Velasquez vs Werdum」がメキシコ・メキシコシティのアレナ・シウダ・デ・メヒコで開催される。メインはUFC世界ヘビー級王座統一戦。正規王者ケイン・ヴェラスケスと暫定王者ファブリシオ・ヴェウドゥムが対戦する。

この両者、元は昨年11月のUFC180でTUFラテンアメリカ・コーチ対決としてヴェラスケスにヴェウドゥムが挑戦する予定だったが、チャンピオンの負傷欠場でヴェウドゥムがマーク・ハントと暫定王座決定戦を行い2R2分27秒ヒザ蹴りからのパウンドの連打でTKO勝ち、ベルトをその腰に巻いている。

IBJJF主催のJJWC、ADCC主催のSWWCに続きMMAの頂点に立ったヴェウドゥム。そのグラップリングの強さは当然だが、この偉業の裏にはキングスMMAでハファエル・コルデイロを師事したことで得たムエタイ技術の向上が存在する。第一次UFC参戦を2勝2敗で終え、員数ファイターでしかなかったヴェウドゥムの評価を著しく上げたのが2011年6月、Strikeforceにおけるエメリヤーエンコ・ヒョードルとの一戦、腕ひしぎ腕固めで破ったファイトに他ならない。

ただし、この大金星も翌年6月にアリスター・オーフレイムに敗れたことで分かるように、あくまでグラップリングで皇帝に優った『十に一つの勝利』であった。そんなヴェウドゥムがズッファのストライクフォースの買収、活動停止によりUFCに戻ってきて以来、3年9カ月で5連勝を達成し暫定王者に輝いた。この間、ロイ・ネルソン戦とトラヴィス・ブラウン戦では判定勝ちだが打撃戦で一歩もひけを取らず、マイク・ルソーと先に挙げたハント戦ではTKO勝ち。ミノタウロ・ノゲイラ戦では腕十字で一本勝ちとインパクトの大きな勝ち方を続けてきた。

これらの勝利こそ、打撃の向上により試合を支配したうえでの勝ち星。先のヒョードル戦と比較すれば『10回戦えば、8回、9回と勝利が見込める』勝ち方であった。まさに打撃の成長がMMAファイターとして成功を結び付けたわけだが、これらの対戦相手を見ると格下といえるマイク・ルソー以外、レスリングベースのファイターがいない。グラップラーやストライカー相手に打撃戦とグラップリングを織り交ぜ、勝利してきたことになる。

対してヴェラスケスはアリゾナ州立大レスリング部時代に2度に渡りD-1オールアメリカンに輝いている一流のレスラーだ。ベースが柔術や打撃にあるMMAファイターに対する打撃と、レスリングを基礎としているMMAファイターへの打撃は全く意味が違ってくる。テイクダウンへの警戒度の高さという部分で、その距離やコンビネーションは別物に変わるわけだ。ましてやフリースタイルなど五輪スタイルのレスラーと違い、カレッジでフォークスタイルを身につけたレスラーはテイクダウン後のトップコントロールにも非常に優れている。

体で相手の体を制し、一本は自由となった腕で自由にパンチを落とすこができるのが米国カレッジレスリング出身者のMMAでの大いなる強みだ。よってテイクダウンを許すこと、組み付かれること自体が体力の消耗につながり、警戒が必要となる。結果、優れた打撃の持ち主はその持ち味を発揮することが難しくなる。いや、打撃を有効に入れたとしても、打撃の届く距離、位置は組みつかれる位置であり、相手の領域の足を踏み入れることを意味しており、一撃KOに近いダメージを与えないと、容易にその優劣を逆転されることとなる。

完全なストライカーでスプロールに優れたアンソニー・ジョンソンは、ヴェラスケスの盟友ダニエル・コーミエーと戦い、キレのある右フックやハイキックを入れてなお、そのふり幅のある打撃の隙をつかれるように組みつかれ体力と精神力を削られていった。

現代MMAの技術稼働範囲とでも表現すれば良いのか、レスラーのソレは柔術家やストライカーと比較して、持ち味が発揮しやすい局面が多い。また相手の領域での技術稼働率が高いのもレスラー、特にフォークスタイル・レスラーだ。ムエタイ・ルールでボクサーとキックボクサーが戦った場合、戦う範囲と使える技が多いのは後者、それがMMAではフォークスタイル・レスラーといえる。彼らが苦戦を強いられるのは自分と同じ、レスリングをベースに打撃と柔術を身につけたファイターということになる。

それ以外のケースで考えられるのは、ヴェラスケス当人がジュニオール・ドスサントスに敗れた時のような一発KO、あるいは関節や絞め技を極められる場合だろう。これらのケースは球技になってしまうが、サッカーに例えると一発KOや関節技のフィニッシュはフリーキックやコーナーキックからの流れで決まるゴールだ。一方、レスラーのTKOや一本勝ちは試合の流れのなかで、ディフェンスラインを崩してのゴールといえる。

当然、MMAは球技ではなくファイト。つまり、最後のシュートが入らなくても、ボール支配率の高さが対戦相手の体力の消耗を呼び、勝利に通じる。逆にいえばストライカーのKOや柔術家の一本勝ちは、ゴールにつながらないと勝利に直結しない。

レスラーは支配力を高めることで勝利に近づいていく。もちろん、勝負には何が起こるか分からない。可動範囲や稼働率を越えたところでの勝利を得るためにヴェウドゥムは厳しいトレーニングを課している。それでも競技特性上、一流同士の戦いだからこそ、この試合はヴェラスケス優位という予想をたてないわけにはいかない。そして、その競技特性上不確定要素が高い戦いこそ、MMAであると書き記さないわけにはいかない……。

■ UFC188対戦カード

<UFC世界ヘビー級王座統一戦/5分5R>
[王者] ケイン・ヴェラスケス(米国)
[暫定王者] ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル/1位)

<ライト級/5分3R>
ギルバート・メレンデス(米国/4位)
エディ・アルバレス(米国/9位)

<ミドル級/5分3R>
ケルヴィン・ガステラム(米国)
ネイト・マーコート(米国)

<フェザー級/5分3R>
ジャイー・ロドリゲス(メキシコ)
チャールズ・ロサ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ティーシャ・トーレス(米国/5位)
アンジェラ・ヒル(米国/15位)

<フライ級/5分3R>
チコ・カムス(米国/13位)
ヘンリー・セフード(米国/8位)

<ライト級/5分3R>
エフライン・エスクデロ(米国)
ドリュー・ドバー(米国)

<バンタム級/5分3R>
アレハンドロ・ペレス(メキシコ)
パトリック・ウィリアムス(米国)

<ライト級/5分3R>
フランシスコ・トレビノ(メキシコ)
ジョニー・ケース(米国)

<ウェルター級/5分3R>
アウグスト・モンターニョ(メキシコ)
カホル・ペンドレッド(アイルランド)

<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・ベニテス(メキシコ)
クレイ・コラード(米国)

<ウェルター級/5分3R>
アルベルト・トメノフ(ロシア)
アンドリュー・トッドハンター(米国)

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