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【Special】HALEOと共にMMAをサポート。ホルトンCEO「格闘技は単なる肉体を使った戦いではない」

David Halton【写真】数々のMMAファイターのサポートを行うHALEOブランドを販売するデービット・ホルトンCEO(C)Bodyplus International

HALEO、MMAファンの間ではお馴染みとなっているサプリメントのブランド。そのHALEOのサプリメントを販売するデービット・ホルトンCEOは、仙台在住のカナダ人。なぜ、その彼が日本でサプリメント販売を手掛け、MMA界と深く付き合うようになったのか。そしてHALEOの目指す、日本人ファイターの強化計画とは。

――HALEOブランドのサプリメントの販売、リーボックとのコラボによる本格的なクロスフィット施設のオープンなど、MMAファンにも非常に密接な関係にあるボディプラス・インターショナルのデービット・ホルトンCEOですが、最初にMMAPLANETの読者に日本との関係を教えていただけないでしょうか。

「私はカナダで生まれ育ちましたが、母が日本人です。ですので、数年に1度は、夏休みに奈良の家族を訪ねていました。とてもラッキーでした。14歳で初めて東京に行った時の事を覚えています。まず原宿にもの凄く驚き、その後で丸の内に行ったのを覚えています。巨大なオフィスビルに更に驚きました。綺麗な女性が大勢食事をしている高級レストランを見て、はやく大人になり、こんなビルの一つにオフィスを構え、最高のレストランで食事をしたいと思いました。その日から、私は日本でビジネスをしたいと思い始めたのです。

カナダに帰ってから 事業をするのに必要と思われる学習のために大学に行き、起業のためのクラスと会計学のクラスを受講しましたが、1週間も経つと自分でやるならこんなところで4年間も理論を学ぶよりも外に出なければならないと考えました。

それで最初の1週間で大学を辞めてしまいました。この悪報を母に伝えるために電話したところ、当時姉が仙台で英語を教えていたので、日本語と日本のビジネス文化を学びに日本に行く良い機会だと言ってくれました。

奈良の祖父母のところか仙台の姉のところに行くかのチョイスがありましたが、仙台の方が楽しそうに思えました。仙台に来てから、トレーニングに使いたいサプリメントを見つけることが出来なかったため、約3年後の23歳の時にボディプラスを創設しました」

――そんなホルトンCEOですが、格闘技の出会いは?

「子供の頃カンフーをしたことはありますが、私は格闘家ではありません。でも男なら誰でも、純粋に本当の戦いが何かと考えると、それが格闘技に行きつくと考えています。私も日本に来てから格闘技を観るようになりました。当時はパンクラスなどのビデオを借りてよく観たものです。私が格闘技から学んだ最大の教訓は、三﨑和雄氏から教わったものです」

――三崎和雄選手とは、どのような形で知り合いになられたのですか。

「8年ほど前になりますが、当時三崎さんのストレングス&コンディショニングコーチをしていた友人を通じて知り合いました。その友人の話では トレーニングを担当しているMMAファイターにHALEOのサプリメントが役立つと思うが、(彼の表現によると)かなり「スピリチュアル」な男だということでした。私と考え方が良く似ているので会わせたいということでした。

三﨑さんが、私が過去に一緒に仕事をした他のプロアスリートと違うことに初めて気が付いたのは、カタログの写真撮影でギャラを支払おうとした時でした。三﨑さんはそれを断り、お金を受け取るよりも私から学びたいと言ったのです。結局はおそらく私の方が彼から学ぶことが遥かに多かったので、彼はあの時ギャラを受け取るべきだったと思いますね(笑)。

ともかく、二人の人生哲学はとても良く似ており、彼の格闘技における信条、私のビジネスのおける信条、競争心も同じなのでずっと前から知っているような気がしています。そして、彼の試合の時にバックステージに入り、リングまで一緒に入場するよう頼まれました。格闘家でないのは私だけで、アドバイスなどができる立場ではありません。私は彼のウォームアップや試合前の準備に対しても、邪魔になるような気がしてなりませんでした。だから私は彼に『私に出来ることは何か』を尋ねたのです。

その時の三﨑さんの返答は、『死やどんな試練にも直面するパワーを貰えるのは親しい仲間から』なので、私にも一緒にいてほしいというものでした。ただ友達をサポートするだけのためにその場に集まり、涙を流し、抱き合ったりしている大の男たちの中で、私は今まで感じたことのない感情を覚えました」

――そのような経験は日常生活のなかでは、なかなか体験できないことですね。

「あの時、格闘技とは単なる肉体を使った戦いではなく、チームやファミリーとして究極のチャレンジに立ち向かい、一緒に成長することだと学んだのです。仕事柄たくさんのスポーツのプロアスリートと接しますが、アスリートの中でも格闘家はトレーニングが最も厳しく、またほとんどの格闘家がチームワークを重んじる最も謙虚で優しい人たちです。

私が格闘技は他のスポーツのように身体的に自分を鍛えるだけでなく、スピリチュアル面や精神面も鍛えるのに最適であると思うのはそのためです。ただし、この話が当てはまるのは日本の格闘技のことで、例えば北米ではそのようなレベルの成長は見られません」

――それはいわゆる武士道というものなのでしょうか。

「正直に言って、私にとって武士道がどんな意味を持つのか言葉で言い表すことが出来ません。個人的には高潔さ、勇気、忠実さ、自己犠牲などを大切に生きることかなと思っています。単純なレベルで言えば日本人の美徳でしょうか。そんな日本人の美徳も、価値観が変化し、または慣習化してしまったことで、日本の人々自身は見落としてしまうことが多いですが、私のように外部から見ている者には明らかです。

ある時私の良き助言者でもある友人から、自分がアウトサイダーであることで、年配の日本人よりもより上手く日本の若い世代に、これらの精神を広められるのではないかという話をされました。その言葉を私は素晴らしい褒め言葉と受け取ることにし、それこそが自分のチャレンジだと思ったのです」

<この項続く>

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