【WSOF10】ジャッジ3者が50‐44、藤野完敗で王座奪取ならず
【写真】両者鼻血を流した激しい一戦、アギラーは寝技の打撃がスタンドよりも安定していた(C)Lucas Noonan/WSOF
<WSOF世界女子ストロー級選手権試合/5分5R>
ジェシカ・アギラー(米国)
Def.3-0: 50-44, 50-44, 50-44
藤野恵実(日本)
VV.Mei、そして現在はベガス在住のロクサン・モダフェリをセコンドに帯同した藤野は左ジャブを伸ばし、右ストレートへ。かわしたアギラーも左ジャブから右を見せる。細かいパンチを打ち込む藤野にアギラーが組みついてケージに押し込む。ヒザを放つアギラーに対し、藤野は左腕を差して押し返す。素早くショートのワンツーを繰り返す藤野に、アギラーも右を入れる。すかさず右を返した藤野は続いて左を打ち込む。藤野の前進に右を合わせたアギラー、一進一退の攻防が続く。藤野は鼻血を流しているが、果敢に左から右を伸ばす。
細かいパンチの応酬から距離を離れると、アギラーが飛び込んで右を見せる。当たりは浅かったが、藤野の前進に首相撲からヒザとアギラーが攻勢に。アギラーの右を受け、右を返した藤野、流血がどのようにジャッジの裁定に影響を与えるか。
2Rはアギラーの右ローでスタート。連打を見せるアギラーが前に出る。回りながら左から右を返す藤野に再び、右を打ち込む。藤野も左を返すと、アギラーの後回し蹴りを余裕を持ってかわす。相打ち気味に右が交錯するも、勢いはアギラーか。藤野の左にアギラーが右を合わせようとする。と、アギラーの右を受けてやや体が伸びた藤野に左から右と連続でパンチが決まる。
残り90秒、跳びこみながらのアギラーのパンチを藤野は受けてしまう。受けずにパンチを返したい藤野、パンチを受ける距離ではなかなか打ち勝つことはできない。残り10秒、終盤の打撃戦で藤野は打ち負けることはなかった。中盤までの劣勢のままで終わらせず、5R戦を考えると意味のある最後の展開だった。
3R、藤野が左を伸ばすとアギラーはバックステップ、左を当てて右に繋げる。アギラーの踏み込んでからの右をかわした藤野は、左ジャブにシングルを合わされ、ボディコントロールからテイクダウンを許す。背中をつけた藤野に対し、アギラーはそのまま肩固めへ。足を抜いて万全の形となったアギラー、足を戻しに掛かる藤野。アギラーは肩固めを解き、マウントへ移行する。
残り1分30秒、パンチを受けながらケージ際に移動した藤野だが、右のエルボーを連続で受ける。パンチの勢いが増すアギラーに対し、藤野は体を起こそうとするも、再び背中をつけられかなりの数のパンチ&エルボーを被弾した。
4R、サウスポーに構えた藤野は右を受けて、オーソに戻す。と、アギラーの指が目に入ったと藤野がアピール、アギラーはVTJの藤井恵戦でもアイピックが問題になっている。左目が大きく腫れてきた藤野、ドクターが入る。「戦い続けられる?」という問いにイエスと返答した藤野だが、再開後ワンツーを被弾する。藤野の顔の左側にパンチを入れるようになったアギラー、なかなかエグい戦いをする。と、アギラーは右フックから首相撲、ヒザを突き上げる。
アギラーのシングルは回って距離を取った藤野だが、続く組技のなかでヒザを顔面にヒットされる。アギラーは自ら距離を取ると、すぐに前に出てワンツー。相手のパンチを見る=そして被弾する展開が藤野は多くなってきた。残り1分、アギラーに押し込まれた藤野が押し返す。藤野の左に組みついたアギラーがボディロックへ、藤野は倒れなかったが、局面を打開できないまま試合は最終回へ。
藤野は右を受けた直後に右を返す。右から左、さらに右をまとめるアギラー。タフさは見せる藤野だけに、パンチのクリーンヒットを狙い、もう一歩踏み込みたい。右を大きく振るった藤野、最終回だけにこういう勢いが欲しい。藤野がスピードのある左を伸ばすと、チャンピオンは組みついてケージに藤野を押し込む。時間の経過を待つだけで良い王者、ここまでの展開が残り2分を切った現状を生む。
レフェリーのブレイク前に自ら距離を取ったアギラーが、藤野の前進に右を合わせる。と、残り50秒を切ってアギラーがダブルレッグに成功する。万事休すの藤野、エルボーを落され、ハーフで粘るもアギラーが起き上がったところでタイムアップに。ジャッジの裁定は当然王者アギラーに、一本は逃れたが戦いとしては健闘前、完敗の藤野だった。