【on this day in】11月04日──2005年
【写真】当たり外れがあって当然の未知の強豪、ここまで当たり揃いの選手たちの合同練習は滅多に見られるものではない(C)MMAPLANET
Euro Pro Team
@オランダ・アルクマール、ジム・アルクマール
「アムステルダムから北に30キロほど離れたチーズ市で有名なアルクマールの街の風景はほとんど記憶にない。到着した時点ですっかりと帳が下りきっており、ジム・アルクマールのボヤァっとした灯りしか目に入って来なかった。日中にイッツショータイムのオフィスでバダ・ハリ、ドラゴ、ユーリ・メス、そしてメルビン・マヌーフの取材をし、その後、アルクマールへ移動して練習を撮影させてもらった。アルクマールへの移動はこの写真にも写っているスタッフのドライブでサイモン・ルッツ、遠藤文康さんと共に向かった。途中のレストランで食事を取り、その際ちゅうに席を一度外したスタッフが戻ってくると、なんだか鼻の穴が爛れており、弱冠呂律も回っていない。完全にキメてきたのが分かった。それからアルクマールまで、ハイになったドライバーの運転はホントに死との隣合わせだった。ルッツはこの頃、アルクマールとマイクス・ジムの選手をマネージメントしており、MMA進出も企てユーロ・プロチームを結成させていた。上に挙げたメンバー以外に、ロイド・ヴァンダム、サヒン・ヤクート、カース・ヤクートと重量級から中・軽量級まで若きオランダのトップどころが一堂に会した豪華な合同練習が金曜日の午後7時半より、週に一度だけ行われていた。練習後の集合写真、最後列の左端に非常に温厚な笑顔を浮かべるバダ・ハリがいる。事前の取材では『ストリートファイトなんてしたことがない』と見事なまでに猫を被っていたバダ・ハリは、練習終了後の自らのBMWはF1並みの太いホイールを付けるために改造し、エンジンもチューナップしまくったんだと笑顔を見せていた。アムスへの帰路、運河沿いの対向車線。街灯もない道を我らがクレイジー・ドライバーは160キロもスピードを出してすっ飛ばしている。と、その横を異様な重低音を響かせ、妙な蛍光色のライトで彩られたBMWが一瞬にしてパスしていった。20歳の悪魔王子は10年前の今日から15日後、鮮烈なK-1&日本デビューを果たす」
on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。